第12話 言ってはならない

「ねぇ、私。思うんだけど」

「なんだ、しらべ?」

「人が巨大化して化け物と戦うってマンガがあるじゃない」

「ああ、良くある話だな。昔ならウルトラマンとか」


「進撃の巨人だとか、スムージーみたいな名前の子とか」

「パピコかよ」

「あの子たちってね」

「ふむ」


「ビルとかに小指ぶつけて痛たたたっ、てどうしてならないの?」

「いや、それは」

「人間が大きくなっただけでしょ? 生身の人間がちいさいとはいえコンクリートや鉄骨に当たったら超痛いよね」

「そういうことはその」

「車なんかマキビシみたいなもんでしょ? とても痛くて踏みつけるなんてできないよね」


「しらべ、良く聞け」

「うん?」

「世の中には、たとえそう思っても言ってはならないというお約束というものがある」

「知らんがな」


「たとえば、人は転生なんかしない」

「いや、それは」

「魔法を使える世界なんか存在しない」

「そういうことはその」

「魔法は事象改変能力だ。そのエネルギーはどこから来る? 砂漠地帯でどうして水が出せる? なにもないところからどうして火が出る? 経験値ってなんだ? ランクなんか誰がごぉぉぉん」


「はい、ということで、今日はこれまで!」


 思い切り殴りやがった!? まったく、妹なんて、ろくなもんじゃねぇ!

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