第5話 環境指標としての鳥の点数

1点 スズメ

1点 ハシブトガラス

1点 ムクドリ


2点 キジバト

2点 ヒヨドリ、ハシボソガラス


3点 ツバメ

3点 カワラヒワ

3点 ツグミ


4点 シジュウカラ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ


5点 モズ、メジロ、ホオジロ

5点 ヒバリ、キジ


6点 イカル、ウグイス、エナガ


8点 オオルリ、コゲラ、カワセミ


10点 アオバズク、カッコウ、ホトトギス


-4点ドバト


「これで合計50点になるんだ」

「なにが始まったんです?」


「いや、野鳥には点数があるよって話をな」

「いきなり過ぎるやろ。あれ? なんかマイナスの鳥がいるけど?」


「ドバトのことか。街中で人が手に持っているエサにまで群がるハトがいるだろ。あれは環境がボロボロのところに住む鳥だ」


「まさか鳥にマイナスがあるとは。商店街近くにある公園とかにいるやつだよね?」

「そうそう」


「あれはいないほうがいいのか。食べたろかな」

「こらこら。法律上では保護鳥だから、勝手に獲ったら罰金ものだぞ。でもドバトが悪いわけじゃない。人が暮らす環境として、良くないところに住む鳥ということだから」


「罰金はおにぃが払うからいいとして、コロナウイルスを持ってたりするのかな?」

「払わねぇよ。持ってるとすれば鳥インフルエンザ……って時事ネタを突然放り込むなよ」


「4点以上には、聞いたことのない鳥がいっぱいいるなぁ」

「知らないのが普通だろうな。鳥の名前なんて知らなくても受験に関係ないし」


「レア度だと思えばいいよね?」

「ま、まあ、そういう見方もできるかな」

「よし。くじを引こう。11連ガチャってない? 1回分余分に引けますよ的な」


「あるわけないだろ。地道に1羽ずつ探すんだよ」

「ちっ。まあ目標は25点だからすぐかな?」

「25点ぐらい、この地域だとほんとにすぐだから困っちゃうなもう」


「困るんかい。ってことは、ここにはそんなにいるの?」

「俺が知る限りで、ここは50点満点だ」

「ええっ? そうなの? どんだけど田舎よ!!」

「ツッコむとこはそっちか! 住んでるから分かりそうなものだろ」


「そうだった。最寄りの駅まで徒歩で30分かかるもんね」

「自転車なら10分とかからんぞ」

「帰りのあの坂道をどうやって登ってこいと?」


 ふたりの住むところは、山の中腹あたりを切り開いて作られた住宅地です。家から駅までは下りで楽ですが、帰りは延々と登るという苦行が待ってます。


「そこはがんばれ。俺も高校のときまではがんばったんだから」

「うぅむ。私はバスで通うつもり」


 コミュニティバスが走っています。田舎あるあるです。


「根性なしめ」

「それは生まれたときに、あの世に置いてきた」

「あの世ってどこだよ」


「この世じゃないところ。それよりここには、10点の鳥までいるってこと?」

「10点の鳥は、ホトトギスがいる」


「3羽分の名前があるけど、あとは?」

「ホトトギス、アオバズク、カッコウのうちのどれかがいれば10点なんだ」

「なんだ、あの表はそうやって見るのね」

「読者目線の解説乙である」


「でもおにぃ、それってすごくない? それ超レア鳥だよね。良く引けたね」

「引いた言うな。ガチャじゃないっての。声を聞いただけだがな」

「声だけかよ!」

「声だけでもいるってことが分かるからええやろ」


「別の鳥と間違えてたらどうすんのさ」

「ホトトギスは間違えようがない。鳴き声はしらべも聞いてるはずだぞ」

「私は知らないよ?」


「カッコウならカッコウって鳴くだろ?」

「そりゃそうだよね」


「ウグイスは、ほーほけきょ」

「うんうん。そうか、個性的な鳴き声ってのがあるんだね。じゃ、ホトトギスはホットトギッスーって鳴くんかな?」


「どんだけ自己主張の強い鳥だよ。とっきょきょかきょくって鳴き声、聞いた覚えはないか?」

「おおっ。それ、魔王が個人の発明権利を認めたときの呪文的な」

「別の話を混ぜるな、危険!」


「夏休みの朝に聞いたことがあるような気がする」

「そうそう。6月にはもう鳴いてるけどな。夏鳥だから日本には渡り鳥としてやって来る。声がしたら10点ゲットだ」


「やっぱりあの声か。そんな簡単に見つけられて、レア鳥としての自覚が足りないね」

「鳥の自覚ってなんだよ。いることは分かるが、姿は俺もまだ姿を見たことはないけどな」


「声がするほうを見ればいいじゃない?」

「夏は葉がふさふさだろ? 鳥の姿はなかなか見えないんだよ」


「なるほど。おとんの地肌ぐらいなら探すの簡単なのに」

「それ、おとんに言うなよ。気にしてるんだから」

「おにぃもそのDNAを受け継いでるよね」

「俺にも言うな!!」


 まったく、妹なんてろくなもんじゃねぇ!

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