第820話

前回のあらすじ!

ムシ力大佐によって開発されたハチモンスターの大軍が襲い掛かってきて大ピンチ……かと思いきやメデシンが生成した殺虫剤であっさりと撃墜!

かがくのちからってすげー!



「まずいまずい、このままだと遅刻してしまうわ!」

魔法少女メデシンこと毒島葉子は必死に走っていた。丁度、目の前の信号は青なので、さらに足を踏み入れそのまま渡り切ってしようとする。しかしその直後、突如信号機が赤く光り、否が応でも急停止せざるを得ない。

「なんなのよ、もう!」

癇癪を起した彼女は、つい目の前の信号機を蹴とばす。すると、うめき声を上げながら信号機が根元からぽっきりと倒れる。

「まさか、あなたワルワール団!?」

いつの間にか電柱の部分は枝分かれし、手足のようになっている。まさに、これが信号機の化物ということを物語っていた。ただし倒れているが。

「シン兄貴、大丈夫ですかい!?」

さらに、横断歩道の対面側にあった信号機も動き出し、もう一方に駆け寄る。

「この程度、かすり傷にもなんねぇよ。」

兄貴と呼ばれた信号機は、そう言って立ち上がる。

「それより、お前は魔法少女だな?」

「もしそうだとしたらどうするのよ?」

「俺達は人間どもが信号を渡る直前に赤信号に変わったことで地団駄を踏んでいる姿が何よりも生き甲斐なんだ。だからその邪魔はさせねぇ。行くぞ、ゴウ!」

「分かりやした!兄貴!」

そう言ってふたりのワルワール団が大きく飛び上がり、硬い拳を突き立てる。それと同時に葉子は魔法少女に即座に変身し、応戦する。

しかし二対一ということに加え、コンクリートと鋼鉄の身体は注射針を通さなければ毒も効かない。あっという間に追い詰められてしまった。

「魔法少女も大したことなかったようだな。」

「そうっすね、シン兄貴。このままどうしてしまいましょう。」

信号機たちは油断していた。魔法少女はあと二人いるということを。

突如、地面から巨大な根が出現し、化物どもを拘束する。動けなくなったその隙に、超高速の車いすが流星のように降り注ぎ、敵を粉砕する。この一連の動きはあまりに速く、彼らの悲鳴すら聞こえなかった。

「間一髪でしたわね、メデシン。」

チェアーとグラシーズはすぐさま仲間のもとへ駆け寄る。

「……ありがとう。助かったわ。」

「ヒーローは遅れてやってくるものですよ~。」

ほっと一息ついた時、突如粉々となった信号機から再び声が聞こえてくる。

「お前たちに一つ聞きたいことがある。信号機って、全国にいくつあるだろうなぁ?」

気が付いたときには時すでに遅し。大量の信号機に囲まれてしまった。

「この数、一体なんなのですわ!?」

「警察庁によると、信号機は全国に車両用が約127万、歩行者用が約103万、合わせて約230万あるらしいよ~」

「何のんきに検索かけているのよ!早く対抗策を考えなさい!」

「ならこちらは、わかめを増やして対抗しようか~」

「わかめを増やしたところで状況を打破できるか!」

「少し待ちなさい。メデシン。私たちの必殺、わけわかめスープアタックにはわかめ以外にもダシや胡麻といったものにも大量の魔力を使いますわ。それらに使う魔力を全てわかめの方に注げば一気に増えて対抗できるのではなくって?」

「た、確かに……」

「なら私が椅子でバリケードを作りますわ。崩される前に唱えますわよ。」

そう言うと、周囲にパイプ椅子が絡まってできた壁が出現し、信号機たちを吹き飛ばす。

それを確認すると同時に3人はそれぞれ手を差し出し重ね合わせる。

「「「わけわかめオンリー!!!」」」

美味しいスープになるはずだった魔力を全てわかめに注ぎ込むことでわかめの濁流を生み出し、信号機たちを飲み込んでいく。



そして、世界はわかめに包まれた。







あまりに増えすぎたわかめは多くの国で多数の被害を生み出してしまった。

その責任を取るため、魔法少女たちは世界中を巡り、そこで増殖したわかめを食べつくす旅が始まる。


第5部、【わかめ珍道中】開始……!!!



                             


                             しません。

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わかめスープを飲め!!!!! まじゃじゃあ @majajaaa429

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