本編

第590話

前回のあらすじ!

黒板をひっかいたような不快な音が学校中に鳴り響いて授業に全く集中できない!

きっと人間に嫌がらせをし続けるワルワール団の仕業だ!

やつらを止めるため、魔法少女たちは行動を始めた!



「何か見つかりましたか?」

一足先に集合場所にいたチェアーは魔法で生み出したゲーミングチェアーでくつろぎながら二人にたずねる。

なんかムカつくわねと言いながらも、メデシンは答える。

「学校中に響いているから放送室が怪しいと思ったけどそこには特になにもなかったわ。」

「グラシーズはどうなのですか?と言いたいところですが相変わらず絵面がキモイですわね。」

眼球の代わりに巨大な根っこを地面に向けて生やしたグラシーズは答える。

「学校中の地下に根を張ってみたけど特に何もなかったかな~。でもキモイはひどくないかねキモイは~。」

「しっかし元凶はどこにあんのよ。まさかこの教室の黒板とかいうんじゃないよね?」

「ギクッ!!!」

「「「え?」」」

奇妙な音を出したのは目の前にある黒板からだった。

「先手必勝!!」

そういってメデシンはすぐさま怪しい物体を蹴り上げる。

ぐぎゃと言いながら黒板は外れ、その正体が露わとなる。濃い緑色の底辺から大きな足が生え、両端から爪のとがった手が生える。そしてチョークが宙に浮きあがり、黄色く光る不気味な瞳を描いた。

「まさかバレてしまうとはな。オレはワルワール団ブラックキキー様だ。これ以上の邪魔はさせぬ。ここでおぬしたちに引導を渡してやろう。」

「黒板をひっかいたような音で嫌がらせし続けるなんて許せませんわ!」

「でもこんなありきたりすぎる場所にいるなんて思いもよらなかったな~。」

「だけど、正体さえわかってしまえば!」

そう言ってメデシンは得意の巨大注射針をブラックキキーに突き刺す。

「そんなもの、効かぬわ!」

なんと針を刺すことができずに弾かれ、さらにはカウンターを食らってしまう。ブラックキキーはさらに追撃をかけようとするが、グラシーズはそれを許さず、根っこで右腕をからめとり、動きを止める。

「この拘束を解くことはできないんじゃないかな~。」

「だが無意味だ!」

しかし、左手の長い爪で根っこを切り刻んでしまう。

「今度はわたくしの出番ですわ。」

すると次々と車いすが現れ、それがなんと時速300キロで敵へと迫る。

「なんの!」

ブラックキキーは瞬時に仰向けで寝転がる。その体は意外と薄く、車いすはすべて避けられてしまう。

「攻撃が全くと言っていいほど通用しないよ~。どうしよ~。」

「どうだ!まいったか魔法少女よ!」

「なるほどね。でも今のでいい作戦が思いついたわ。」

「メデシン、それは一体どういうことですの?」

それはねと小声で二人に伝える。

「というわけで根っこさんたち行ってらっしゃ~。」

グラシーズの根は土の中を通って地面からブラックキキーの足を締め付ける。

「なぬ、足元だから爪が届きづらい…もっと爪を伸ばしてしまえ!」

シャキンと凶暴な爪がさらに長くなる。

それを見たチェアーは再び高速車いすが再び発進させる。

ブラックキキーは足をふさがれており倒れられないので、車いすを素手でつかもうとする。

しかし、飛んできた車いすは手のひらにあたる前に長く伸ばした爪に命中。そして、爪は割れた。

「ぐああああああああ、爪が、爪がぁ!」

「爪はきちんと短く整えておく。これは基本中の基本ですわよ。」

「うぬぬぬ、ぐ。」

ブラックキキーはあまりの痛さに何も言えないようだ。

「今だ!さあ行くよ!」

「「「必殺!わけわかめスープアタック!」

わかめのような何かがブラックキキーを飲み込んでいく。

「そういえば音を使って一度も戦ってない……ぬわー!!!」

こうして異音の正体、ブラックキキーは消え去ったのであった。


しかし、また新たな事件が魔法少女に襲い掛かる!


続く

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