第13話 噂
ある日、修行を終えて兵舎の横に設置されてるベンチに座って休んでいると、二人の兵士が私の隣にあるもう一つのベンチへ向かってきた。
一人は20代後半くらいで、ショートヘア、筋肉質な大きな体格持っていた。
もう一人は年齢が少し上で、アゴひげを生やし、落ち着いた感じをした。
彼らは私の隣のベンチに座り、私と同じようにここでしばらく休むつもりだろう。
彼ら2人はとても親しげに話をしていた。彼らが楽しそうに話しているのを見て、私も興味を持った。
盗み聞きするのは褒められた行為ではないが、私は耳を傾けて、何を話しているのか聞いてみたかった。
私はそっと横に座り、休憩しているふりをしながら彼らの会話を聞き、時間を潰そうとした。
「君がさっき言ったのは本当なのか?」
「うん、信頼性は高い。前に休暇があって、家に帰ったんだ。家族と久しぶりに食事して飲んでたら、村の周りで奇妙な噂を聞いたんだ」
「奇妙な噂って?」
「そう、俺の故郷の近くには結構大きい池があるだ。最初は特に何もなかったんだけど、最近になって異常なことが続いているみたいだ」
「何が?水妖が出て、人を引きずり込んでるとか?」
「もしそれだったら、とっくに領主様に報告してるよ。噂なんか広がらないさ」
「じゃあ、何が起こったんだ?」
「誰かがそこで、そこに現れてはずのないものを見たんだ」
「え?それだけ?ただの幻覚じゃないの?」
「最初はそう思ったよ。君と同じように、家族にも同じ質問をしたんだ。誰かが水辺で月岩果を見たとか、水の中に見たことのない魚を見たとか、水底で光り輝く金を見たと言ったりしたんだ」
「うん?君の家族はその金を取りに行かなかったのか?」
「何でそこに注目するんだ?行ったけど、水に手を触れた瞬間、金は消えたみたいだよ」
「家族が君を楽しませようとして、からかってるだけじゃないか?」
「そんな可能性もあると思ったよ。後で近所の人に聞いたんだけど、みんなが奇妙なものを見たわけではないけど、見たものも様々だったんだ」
「自分で確認に行ったのか?」
「もちろん行ったよ!でも、何も奇妙なものは見つからなかったんだ」
「それで、後はどうしたんだ?」
「んー、村の人たちと相談して、今後はできるだけ池に行かないようにすることにした。何かあった場合も、最善策は一緒に行くように勧めた。幸い、今のところ被害はないようだ。今日帰ってきた時も、領主様に報告したよ」
「領主様はなんって言ったんだ?」
「近日中に処理すると言ってくれたよ」
「それなら安心だな。何も起きず、数日で噂は消えるだろう」
「そうなるといいが」
うん?池?いろんな幻覚?
このような不安定要素が自分の領地内に現れることは、私が願う安定して実力を上げられる生活にとっては、あんまり喜ばしいニュースではないな~
夕食時に、私は父親に相談して、解決策があるかどうかを尋ねてみようか。
夕食時、家族全員が食卓につき、食事を共にしていた。
父親はテーブルの端に座り、母親は彼の右側に、ステファン、私、そしてスコットといった順番で母親の隣に座ていた。
反対側には、ザックとアンナ嬢が父親の隣に座っていた。アンナ嬢は既にザックと結婚しているため、未婚男子が彼女の隣に座ることはあんまりよくない。
ついでに言うと、グレイチェンが結婚する前はアンナ嬢の隣に座っていた。
夕食を楽しみ、デザートもそろそろ食べ終わった頃、私は父親に先程聞いた噂について尋ねみた。
⋯⋯⋯⋯
話を聞いた後、ザックとステファンは重い表情を浮かべていた。明らかに、私と同じように、領地内に未知のものが現れたことは良く思っていないだろう。
母親とアンナ嬢も少し心配そうな表情をしており、それぞれ自分の夫を見て、少しでも安心したいと思っていたのであろう。誰もが心配する中、一人だけ呑気な奴も行った。
スコットは、四年間で身長がかなり伸びたものの、相変わらずいたずら好きで、自分のデザートを食べ終わると、私の残りの分をじっと見つめて、少し分けてもらえないかと期待する眼差しをこちに向けてくる。
まぁ、あげないけど。私は彼が手を伸ばす前に、残りのデザートを全部食べてしまた。
「ふむ」父親は私と弟のやりとりを見て見ぬふりをし、全員の視線を集めた。
「この件は放置できない。しかし、すべての人員を動員するわけにもいかない。この池は、北にあるフィッシャー騎士の領地と接している場所にあり、大規模な軍隊の動員は不用意な疑いを招くだけだ。よって、3日後に、ワシとステファンが20名の兵士を連れて現地に行く。ザック、お前は残りの兵士を率いて、屋敷の守備を固めろ。出発して4日後に私たちが戻らなかった場合は、周辺の領主たちに救援を求めるように伝えて構わん。もしも、ワシらだけで収拾がつかないと、奴らにも被害が及ぼすかも知れん。喜んで引き受けるであろう」
「お父様、私も一緒に見て回りたいです!」
「ハーランド!これは遊びじゃないのです。真剣に考えなきゃいけないことなのよ!」母親が少し不満そうに私を叱りました。
「まぁ、そんなに緊張することでもない。ここ数年、彼の修行の進捗はみなが見ているところだ。今や、初級騎士とも張り合えるほどに強くなった。体が発育し終わると、すぐに『命の種』を業種し、騎士に覚醒できるだろう」父親は母親を宥めながら、続けて「ハーランド、お前がついて行きたいのなら、付いてくるがいい」と言いました。
「あなた、でも……」母親はまだ何か言いたそうでしたが、父親が手を振って遮りました。
「彼はいつかは独立するんだ。これからもいろんな困難があるだろう。今のうちに経験を積んでおいても損にはならないだろう」
「それなら、わたくしも強く主張することはできなくなりましたね。」母親は諦めながらも、「ハーランド、安全に気をつけなさい。お父様とステファンから離れないでね。分かりましたか?」と身の心配してくれた。
私は頷いて約束した。
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