19.ジーナ&バレスVSカイル
ジーナとバレスはアイコンタクトを取ると、カイルを挟み撃ちにする。いつでも斬りかかれる態勢だった。しかし、カイルにとってはどうということはない。
「どっちでもいいからさぁー!ミサイルだっけな?その場所を教えてくれないか?」
それに対してジーナもバレスも答えることはなく、二人の剣が光を纏うと、同時に素早くカイルに斬りかかってきた。
「何も言わないのはひどいぞぉー!」
カイルはそう言いながら、高くジャンプして攻撃を回避した。二人はカイルがそこからいなくなったことで、ぶつかりそうになる。
「バレス殿ぉー!」
ジーナが声をかけると、ギリギリで衝突を避けた。そして、上から落ちてくるであろうカイルを串刺しにしようと試みる。
「やるなぁー!やっぱり二人とも本気なんだな。でも・・・」
クルリと串刺しになるのを回避し、着地するも今度は突き刺しの攻撃を繰り出してきた。それをカイルは人差し指と中指ではさみ、それぞれ両手で止めてみせる。
「指二本で私の剣を止められるなんて。でも!・・・」
ジーナは剣で突き刺そうと動かすが、びくともしない。歯が立たないのはわかっているがそれでも力を入れて動かそうと試みる。バレスも同じだった。
「なんか俺が悪者みたいだな。これじゃー!でも、俺は約束を破られて、みんなに手を出すってと言われたらさぁー。大人しくしてられないんだよ。だから、また聞くけど、ここのどこにあるか教えてくれぇー!」
すると、それを聞いたジーナは口をニヤッとさせ笑みを浮かべる。
「そろそろ、時間になる頃か!もう、無駄だ!獣ぉー!!」
「それは困るよ。ジーナちゃん」
すると、二人の光を纏っていた剣から、光そのものがカイルの元へ吸収され始める。
「ジーナ!危険だ!離れろ!」
バレスがジーナに声をかけ、離れるが、ジーナは離れようとしない。ジーナの剣から光が失われると、剣をはさんでいたカイルの人差し指と中指にの力を入れると、剣にヒビが入り始めた。
「剣は騎士にとって命だ!引けぇー!!」
剣の亀裂は広がっていく。バレスは止めるがそれでも後ろに引こうとしない。このままではジーナ剣がいつ割れてもおかしくなかった。
「アンジェ様をこれ以上失望させたら、私の立場が無くなる。騎士の命にかけてでも止めてみせる!!」
剣にヒビが入る中でも必死に押し返そうとするが、それでもカイルには歯が立たない。
「俺がなんかどんどん悪者になっているような!それにしても、ジーナちゃん達の力をもしナナミが持ったとしたらナナミの方が強くなるかもなぁー!」
それを聞いてジーナはふきだしてしまった。
「あの隠れていた女のことか?獣ごときが扱える力ではない。扱おうとすればすぐに死ぬことになる」
「そんなのやってみなければわからないさぁー!それより・・・」
カイルはジーナのヒビが広がっていく剣を見る。
「君の剣が悲鳴を上げているよ!まずいんじゃないのこれ」
「くそぉー!」
バレスの背中に光の翼が現れると、高く飛び上がり、そこから一気に加速をつけカイルを斬ろうとした。
「よし!」
カイルに刃があたると、バレスは確信したが、寸分で避けられてしまった。しかし、満足気の様子。
「なるほど!そんなことも出来るんだ。俺、飛べないからうらやましい!」
カイルが避けたおかげで、ジーナの割れそうな剣からカイルを引き離した。これがバレスの狙いだった。
「バレス殿!このままでは私たちは・・・」
ジーナは複雑表情バレスをみつめた。
「使えない騎士どもだ!もうお前たちには期待しない。とにかく発射までその獣を近づけるな!」
建物の方から放送が入ると、その声はガリフだった。すると、どこからか大きな機械音が聞こえてくる。地面から突き出てくるように”神の逆鱗”と呼ばれるミサイルが上がってきた。
「あそこか?おしえてくれよなぁー!もう、相手にするのは終わり。また、会おうな!!」
ミサイルが出てくる方向に走っていこうとすると、ジーナとバレスはカイルの足をそれぞれ掴み、近づくのを阻止しようとする。
「いかせない!逆らおうとする獣たちは死ぬべきなんだぁーーー!!」
ジーナはそれを必死に叫んで言った。それにカイルは自分の足止めをしているジーナの方を見る。
「この世界は君たちのものじゃないし、神だろうがなんだろうが勝手に決める力ないんだ!」
「獣ごときがぁーーー!!」
ジーナとバレスが自分の足を離そうとしないので、足で一発で振り切って走っていった。
「カウントダウン開始!60・59・58・・・」
建物の方からカウントダウンの放送が始まった。
「なるほど!もうすぐか!」
カウントダウンの意味がわからなかったが、雰囲気でなんとなくわかった。
「諦めろ獣!絶望して殺されろ!」
ガリフの声が聞こえてくるが、カイルは聞いていない。ミサイルに飛び乗ることに夢中だった。
「まだ、行ける!!」
「3・2・1・0」
ミサイルが飛び立とうとすると、カイルは高くジャンプして飛び乗り、ミサイルにつかまる。そしてカイルを乗せどんどん上空に上がっていく。
「俺は必ず戻ってくる。アンジェちゃん、ジーナちゃん、しばらくお別れだぁー!」
笑顔で片手を振った。地上が小さく見えるくらいの高さになると、ミサイルは横方向に傾いて着弾地点のカイル達が暮らすシチの方へと飛んで行った。
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