第3話 森の神殿にて
なんとかトライデント・イノシシも仕留め二匹の巨大な獣をかついで森の奥にある聖域を目指す。
ほどなくして森の神殿にたどり着き、俺はえっちらおっちら階段を登って中に入る。
神殿内部は古い石造りで壁や柱には蔦が絡みついている。
天井はとうの昔に崩落して、床の上に瓦礫が散乱している。
かつて広間だった場所の奥。巨大な黒い慰霊碑のその下に、巨大な鳥の巣のようなものがあった。
俺はその巣のそばまで歩み寄り背負っていた獲物を床の上に落とす。
「こんだけありゃたりるだろ。さーてと」
巣からいくらか木の枝をくすねて焦げ跡のついた床にやぐらを組むと、腰の後ろにつけていた矢筒からボウガンの矢(クォレル)を一本とりだし、ナイフをつかって粉末状にする。
火薬の粉末をやぐらにふりかけ、近くに落ちていた拳大の石で叩きつけると炸裂音とともに火薬が爆ぜてやぐらに火がついた。
火を絶やさぬよう息をふきかけながら巣からじゃんじゃん木の枝を拝借する。
さあて、そろそろ獲物を焼こうかな。
そう思っていると、不意に辺りが暗くなった。
「お、きたか」
俺が呟いた直後、巣にひときわ巨大な影が落ちてきた。
凄まじい風圧にさらされ腕で顔を庇う。
腕の隙間から見えたのは赤い鱗に覆われた強靭な四肢。
丸太のように長く太い尻尾。
剣山のような鋭い歯がずらりと並んだ口。
思わず魅入ってしまうほど美しい黄金の瞳。
自然界どころか魔獣界でもその名を知らぬものはいない最強格の種族。
――――レッドドラゴンだ。
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