ギャルと剣くん 〜なんか異世界に飛ばされたっぽいケド、超イケメンな相棒(剣)が(オートで)無双するので、マジであーししか勝たん〜
第50話 気をつけろッ! おそらくは今の状況ッ! スタン——攻撃を受けているッッ!
第50話 気をつけろッ! おそらくは今の状況ッ! スタン——攻撃を受けているッッ!
——————ッ!
あーしは目覚めた。
——ここは……
……って、そりゃそーか。あーしが目覚めるのは、そりゃあーしの部屋に決まってるわ。
あーしはいつものクセで、まずは枕元に置いているスマホを手に取った。
——ってスマホあんじゃん!
……ん? は……? いや、スマホがあんのは当たり前じゃろ……??
……寝ぼけてんのかな、あーし。
あー……んじゃ、まずは顔でも洗うかー。
あーしは目覚ましに顔を洗うため、勝手知ったる我が家の中を、寝ぼけマナコのままフラフラと、まずは洗面台に向かった。
。
。
。
「おはよー」
「おっ、おはよう」
「おはよう、すーちゃん。おみそ汁出来てるよ」
顔を洗ってから、手早く学校に行く支度を進めたあーしは、朝メシを食べに台所にやってきた。
そんで、すでに食卓についていたオトンと、流し台で作業してるオカンに朝のアイサツして。
あーしも自分の分を用意して、席に着く。
朝はだいたいいつもこのメニューって定番の、
あーしは「イタダキマス」と言ってから、食事を始めた。
——なんだろう、別になんて珍しくもないメニューのハズなのに……
——なんか……やたら懐かしく感じるナァ。
不思議に感じながらも、あーしは食事を終わらせると、ちゃちゃっと歯を磨いたりと支度を済ませてから、すぐに学校に向かった。
チャリこいで
通い慣れた道を、向かい風に
駐輪場にチャリを置いて、下駄箱でスリッパに履き替えてから、
教室の中に入ると、すでにあーしのグループのメンツはみんなそろっていた。
「——お、やっと来たか、イオン」
「イオっちゃぁん! おっはよぉ〜」
「はよー」
「おはです」
「おはよーございまーす」
みんなが
そのよーすを見たら……なんだか感激してしまうあーし。
「お〜〜……、なんかみんな、久しぶり〜〜」
「はぁ? なに言ってんの? 昨日も会ったっしょ」
「変なの〜」
「あらら、もしかして
「のっけからヒデーなオイ! これだからミラぽよは……。って、そーだ、あーしミラぽよに会ったら言おうと思ってたコトが……!?」
「? 私に言いたいことですか? 一体なんの文句なんですか?」
「いや文句じゃねーケドっ、——あれっ? ……なんか、あったと思ったんだケドな〜? ……なんだったっけ……?」
「……それって、たぶん——」
「え、ミラぽよ、分かるカンジ……?」
「やっぱり
「オイっ! あーしはまだ十七だぞ!」
「私もですよ」
「知ってるよ!」
「おや、それは覚えてましたか」
「たりめーだろ。タメなんだから、そこはとーぜん、そーっしょ」
「数字の計算は……大丈夫みたいですね?」
「だから! モーロクしてねーって!」
「はいはい、そーですね」
「てかっ! ……なんとなくは分かるケド、モーロクって——どーゆう意味だっけ?」
「……ノリで生きてますよね、あなたって。時々
「おーい、どーせまたなんか失礼なヤツなんしょ、ソレ?」
「いやいや、誉めてますからぁ——」
それからもあーしは高齢の——じゃなくて、恒例のやり取りをミラぽよと繰り広げていたら——
「まーたこの二人は……まー、いつもどーりか」
「コイツらはいつもこーですよ」
「そーそ。仲良しさんだから」
「基本的にイオちゃんはぁ、ミラっち相手だとオモチャにされちゃうよねー。でもぉー、それが見てて楽しい、ってゆうかぁ」
「オマエ……。ま、イオンが来るとな、すぐ
「ムードメーカーですからね」
そんなカンジの、“
そうして授業が始まる頃には、なんとなく朝から違和感が続いてビミョーだったあーしのテンションも——フツーに良好になっていた。
いつもと変わらん退屈な授業が終わって。
昼休みには、“
気づけばあっという間に放課後。
ということは……部活の時間だ。
あーしは部室でテニスウェアに着替えると、部室に置いてたマイラケットを持って、テニスコートに出る。
いつもどーりの練習メニューをこなす。
もはや慣れた日常の一コマなんだケド……やっぱりあーしは、ここでもなんか違和感を覚えてしまう。
や、別に、ハッキリとしたアレってワケじゃナイんだケド……
なんなんだろーなー、コレ。この、感覚。
……なんかあーし、このマイラケットより
いやいや、テニス部のあーしが、マイラケットより一体ナニを振り回し慣れてるとゆーのか。
あーしが今までの人生の中で一番振り回してるのが、このマイラケットなんだから。
他に一体ナニが——
と、考え事して
あーしはとっさに——
「満月大根斬り!」
「ちょっ!? 先輩ッ? な、なにやってんですかっ……?」
「——あっ、いや……」
「もーう、なんの必殺技なんですかーソレ〜」
「ご、ゴメン……。なんかちょっと、ボーッとしてたワ……」
「せんぱーい、しっかりしてくださいよぉ。ボーッとしてるからって、いきなり必殺技出されても困りますってぇ」
「す、すまねぇ……」
「いいですよぉ。それじゃ、今度はアタシとラリー、お願いしますね♪」
「おけおけ。……ってか、アレー、知らんのけ? 『満月大根斬り』ってのはサ——」
「いや先輩、アタシそっちの会話のラリーは求めてないですー」
「あっ、……りょーかいっすぅ」
——なぜあーしはとっさに『満月大根斬り』を……???
……いや、なんか、以前にもこんなコトなかったっけ……?
その時の記憶が、とっさにあーしにこのワザを……?
——いや、なワケねーだろ。
なんで以前に使ったことあんだよ。どんなシチュエーションだよ。——野球してたんか? いやいや、フツーに野球してても出てこねーから!
……ふぅ、どーにも今日は、変なカンジだゼ……。
部活も終わったところで、あーしは帰路につく。
どーにも今日は変な一日だった。
いや、フツーにいつもとおんなじ一日のハズなんだけど……むしろオカシイのはあーしのほーか。
——なーんか
あーしは自宅に向かってチャリをこいで進みつつも(ちなみに帰り道も、なぜかいつも向かい風なのである……( *`ω´)プンスコ)、やっぱりなんだかよく分かんねー感覚に悩まされていた。
今日起きた時からずっとしているこの感覚は、ある程度の波はあっても、今日一日中ずっとあーしに付きまとっていて、それも、時間が経つごとに徐々に大きくなっているよーなのであった。
そして、放課後の部活も終わって帰る段階の今となっては——いよいよあーしにも無視できないくらいの
そう、それはなんだか——『コノママではいけナイ……!』——とあーしに強く訴えかけてきているよーなアレで……
しかしあーしは、何がどういけないのか、まるで自覚することが出来ない。
そして、そのこと自体が、またあーしに焦りを
——なんだかこのまま、フツーに家に帰っちまうのは、なーんか、アレだな……
そんな風に思ったあーしは、寄り道してフラッと近所の公園に立ち寄った。
公園内の自販機で買ったジュースを飲みながら、ブランコに座る。
足だけ動かして軽くブランコを揺らしながら、あーしはボーッと、なにを考えるでもなくしばらくの間、そーして揺られていた。
もう夕方だからか、公園内にはあーしの他に誰もいなかった。
なんだかやけにセンチメンタルな気分になったあーしは——無意識に取り出していたスマホを操作して——たくさんの連絡先の中から選ぶまでもなく、アイツに電話をかけた。
少し不安になる長い着信音の後。
ちゃんとアイツ——アッキーが電話に出た。
『オウ、ジャー子。わりぃ、待たせたな。ちょっとスマホが見つかンなくてよ』
「アッキー……」
『なんだよ? 久しぶりに声聞いたと思ったら、なんかやけに元気ねーじゃん。なんかあったんか……?』
さすがアッキー。長い付き合いなだけある。お見通しジャネーノ……。
「いや……まあ、うん、チョット、ね」
『ンだよ、らしくねーな。悩みでもあんのか?』
「うーん、そーかも……」
『先に言っとくけど、アタシにアドバイスなんて求めてもムダだぜ? 特に、恋愛の話なんてされた日にゃぁな……足のつかねぇ刃物を貸してやることくらいしかできねぇぞ』
……相変わらずイカれた女だなコイツぁ……。
『……もしかして、マジに恋愛の話なんか? ……刃物、いるか? なんなら手伝うぞ』
「ナニをだよっ?? ——いや、いや、恋愛の悩みじゃねーから。その刃物はしまってクレ……」
『なんだ、そか。——んでも、悩み自体はあんだろ? なんの悩みなン?』
「うーん、ソレがねぇ、なんと言えばいいのか……」
『……アタシには言いにくい悩みなのか?』
「え? いや、別に、そーじゃなくて。……なんて言えばいいのか、うーん、そう、ハッキリしないんよね。あーし自身にも、そのー、悩みの内容がさぁ……自分でも分かんねぇんよ」
『ふーン……ま、悩みって大体そんなモンだよな』
「うーん、そういうアレともチョット違うってゆーか……」
『あーー? ……どーゆうことか、サッパリ分かんねぇな』
「いや、うん、だよねー」
『……だったら、そーだな。——まあ、それでもあえて、アタシがオマエにアドバイスしてやれることがあるとすれば……アレだな、悩みゴト全般に対してのアドバイスってやつなら、あるぜ』
「ほう……んじゃ、ソレ、詳しく」
『よしきた。じゃあ——いいか? 最初にな、悩みの内容が“暴力”で解決するかどうかを、まずは考えるンだ』
「……んー??」
『“暴力”でどーにかなるなら、“暴力”で解決すればいい。結局のところ、色々と悩んでもそれが最善の解決法になるんだか
「——? えっ、あー、っと」
『“暴力”では解決できない……そんな時に初めて、“頭”を使うんだ。——言っておくが、コレは知恵を絞れって意味で、ヘッドバットを使えって意味じゃねーか
「……いや、あのさぁ」
『まーあとは、頭は頭でも“頭数”だな。——戦いは数だぜ、ジャー子。数的有利は何にも勝る
「お、おう、そーかい」
『だからまあ……助太刀が必要ならアタシを呼べよ』
「っ!」
『オマエからの
「アッキー……」
『それで……? 具体的に、どこの誰と揉めてンの?』
「いや揉めてねーから。オメーと一緒にすんなって。あーしはケンカなんてゼンゼンしたこともナイ——、……ハズ?」
『なんだ? 自信なさげだな。やっとワルに目覚めたのか? ——まー確かに、意外と根は良い子ちゃンだか
「意外はヨケーだっつの……。——んん……?」
『グレたくなったンならいつでも付き合うぜ? そこは任せとけ』
「——って、はぁ? あーしはグレたりしねーから。あーしは犯罪とは無縁の女子高生——って、なんか前にもコレ言ったっけ……?」
『んー? いや、どーだったかな。なんか普段から言ってそーな気もするが、まったく知
「……ううぅん……??」
『え、なに? そんなに悩むことか? いや、だってこんなくだ
「…………いや、まあ、そーなんだけど」
『ちょっとナイーブ入ってンじゃねー? もしくは……“あの日”か?』
「いや……ソレはナイ」
『……えっ、もしかして……、“オメデタ”の方、か……?』
「はぁっ?! なんでそーなんだよ! ちげーから!」
『なんだ、違ったのか』
「たりめーだろ」
『言いにくい悩みってゆーから……オマエのキャラ的に一瞬、けっこーイイ線行ってるんかと思ったンだがなー』
「オマッ……ぶっ飛ばすぞ……ッ?」
『おいおい、ケンカはダメだろー。お腹の赤ちゃんにさわるし、胎教にも良くねーぞぉ〜?』
「……ヨシ分かった。これから招集するからスグ来い。イマまさにぶっ飛ばしたいヤツができたワ」
『——あ、わりぃ、アタシこれから別件でカチコミあるから、いけねーわ☆ すまンな♡』
「ふーん、——なら場所教えてよ。あーしも加勢しに行くからサ」
『敵の方にか〜? おいおい、やめとけやめとけ。アタシらがやってるレベルのバトルにゃ、オマエが参加したって足を引っ張るだけだぜ』
「そーかい。んなら、ちゃんとアンタに加勢してやっから」
『無能な味方は有能な敵より厄介なん——いや、それが狙いなのか……?』
「死なば諸共ジャ」
『死ぬなジャー子っ、お腹の子は、どーなる……っんんwww』
「まだ言うか——ってか笑ってんじゃねー!」
『……いや、わ、悪ぃ……っひひwww』
「どんだけ笑ってんだよ! オイ! そもそもオマエが言い出したんだか
『……ゴメゴメ、悪かったって』
「……ったく——」
『なんなら、アタシ……名付け親になってやっても——』
「それ以上このくだ
『……それも悪くねェなァ』
「……もう帰れオマエ」
『なんだ、悩み相談はもういーのか?』
「もうこれ以上は、オメーがあーしの悩みのタネになんだよ……」
『あはぁ、光栄だな。なんなら、四六時中アタシのことで悩んでくれたっていいンだぜ?』
「きめぇコトゆーなし。……マジ、いったいどーゆー思考回路してたらぁ、そんなセリフが出てくんの?」
『アタシの友達やるってことは、そーゆうことだか
「いま痛感してるわい」
『あははっ、そりゃよかった! ……さて、ンじゃそろそろ、言われたとおりにお
「……そか、分かった。そんじゃ……バイバイ、アッキー」
『おう』
「なんか、ひさびさに話せて……よかったよ」
『別に——またいつでも話せるさ。じゃーな、ジャー子。いい
「いやまだ夕方だか
『とーぜン、オマエの
そう言って電話は切れた。
親友のアッキーと話して、ソレで
というか、会話の中でめちゃくちゃ違和感とゆーか……つーかなんだコレ? いや、マジで……なんかやたら変なカンジしたぞ、イマの会話。
アッキーと話す内容がオカシイくなってしまうのは、これはマジで今に始まったコトじゃねーし。それはタブン関係ナイ。
なんか……そーね。
さっきのハナシにも出てきたケド、なんかやけに特定の言葉に反応してしまうよーな気がしたんだケド……なんだ? どれが……?
うーん……分か
いっ、いまっ!?
なんかっ、えっ、どれ、アレっ?
“分かんねー?” んー? “分からねー?” は? マジで分からん。ええぇ、アッルェ……?
気のせい……なのか?
うーーーーー!!!
モヤモヤする……!!
ダメだ、分からん……
あー、あー、やっぱ、んー、……ダメだぁ。さっぱりピンとこねぇ。
あー……こりゃ、ムリ過ぎて日が暮れる系のヤツだわ……
いや、てか、もうすでに日ぃ暮れてるわ。
気づけば周囲は薄暗くなっており、ポツポツと電灯がつき始めていた。
うわー、暗くなってきたなー。
……しゃーない、こりゃもう帰
あああッッッ!!!
るァっ、
違う、こっち——
そう、コレ!
…………“ラナ”……??
——『“ラナ”』——
心の中で強くそう呼びかけた直後——あーしは、一人の女の子のことを思い出した。
——そう……だ、
——
——
ここではない……ドコとも知れない場所で出会った、同い年の勝ち気な女の子、
あーしに、再び逢える“おまじない”をかけてくれていた……
——思い、だした……!
そうだ、あーしは……
そっからウチに帰ろうと思っても、ゼンゼンどーすりゃいーのか分かんなくて……
そこであーしも、とりま冒険者とかゆーのになって、んで依頼受けて、森に行って…………?
……アレ? いや、でも、どーなってんの、コレ?
なんであーし、いきなり帰ってこれたん……?
分からん……分からん……分からん時は——“鑑定”じゃ!
あーしはとりま、“鑑定”のスキルをブッパした。
『“
判定……結果——
“
……………………はァ???
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