第47話 ふとした拍子に、中毒患者は禁断症状が出る
非実体の
というイヤな事実が判明した。
この事実が示すのは——
・ここらには、
・ゴーストは、空中を上方向にも問題なく行ける。
——とゆーこと。
それがつまり、どーゆうコトかとゆーと……
空中を進んでいるあーしにも、ゴーストはガンガン襲いかかってくる——ってコト。
いやぁ、めっちゃ襲いかかって来たワ。
最初に見つけた、“
——やれ、“
——やれ、“
——やれ、“
——やれ、“
出るわ出るわ、オバケ共が。
コイツらは全部、“
名前とかその辺は、“鑑定”使って判明したカンジ。
つーかその鑑定にもさ、出てたジャン? なんか『
たぶんコレ、フツーに殴ったりとか、そーゆー攻撃が効かないってカンジのやつと思う。
まあそもそも、実体がないのがこのゴースト系のモンスターの特徴っぽいから、そりゃ、フツーの攻撃は効かんのじゃろ。——ポケモンでもそーだったし。
いやそれさぁ、あーし、ヤバくね? ってなるやん?
だって、あーしの攻撃手段とか剣くんオンリーやし。剣で斬るダケやし。
んじゃ、ゴーストとかお手上げやん……?
ところがどっこい、あーしは無事にゴーストたちの襲撃を乗り切った。
では、剣くんしか無いあーしが、どーやってゴースト共を撃退したのかとゆーと……
……いや、ね、フツーに、その剣くんで、斬った。
や、だって、とりま試しに攻撃したら、フツーになんか倒せたから。
——あ、フツーに効くんだ……。
ってなった。
まあ、ね……あーしの剣くんにかかればね、霊体だかなんだか知らんけど、フツーに、斬れるってことなんしょね。
まあそーは言っても、相手は空中を自在に移動してるワケだし、こっちは上には攻撃なかなか飛ばせないしで、それなりに戦うのもタイヘンだった。
でもそこはイロイロと工夫しつつ、ワイヤーとかのアイテムも駆使しつつ、戦ってさ。
工夫しようと思えば、なにかと工夫出来るモンよな。
じっさい、あーしはこの戦いの中で新たな発見をすることもあった。ナニゴトも
まあでも、ゴーストとの戦いを問題なく乗り切れた一番の理由としては、やっぱ“
コイツはフツーに、この場所でも上に攻撃飛ばせるジャン?
んでこのワザで飛ばした斬撃も、なんかフツーに
だからまあ、ぶっちゃけ何が来ても
そうと分かってからは、もう……ゴーストなんてただの
ふっ……見た目どーりの
そんなワケで、ゴーストもあーしにとってはただのザコだったンデ、連中の襲撃が特に問題になるコトもなく、あーしは空中をスイスイと“
まあゆーて、ゴーストもそう
つっても今のあーしって、ヒマな時に出来ることがほとんどなんもナイんよねー。
ソレよマジ。ヒマなんよ。
てかよー、スマホが無いってのが一番キツいんよ。
ゆーてスマホさえあれば、ヒマなんていくらでも潰せるんよ。現代っ子なあーしとしては。そう、ネットさえ繋がればナ。
動画見たり、音楽聴いたり……スマホさえあれば、ゆーてなんでも出来るジャン?
まあやっぱり、スマホ使って一番やるコトと言えば、SNSやけど。
てか友達と話してれば、時間なんていくらでも過ぎてくかんね。
なんならあーし、よゆーで一日中ぶっ通しで友達と電話し続けてたこともあるし。
日がな一日、メッセのやり取りしてるのとかもしょっちゅーだし。
ゆーてこの退屈な時間は、あーしにスマホ中毒の禁断症状を起こさせていた。
——曲かけてテンション上げてぇ〜!
——気になってた動画の続き観てぇ〜!
——写真撮ってインスタ上げてぇ〜!
——てかマジ友達と話してぇ〜〜!!
だってあーし、イマゆーて空前絶後のストーリー体験してるし。
こんなんSNS上げたら秒でバズんだろーが、ゼッテー。
——
——空飛ぶ船から見る景色?
——くっそ便利な
……
いやまあ、逆に? あんまりバズり過ぎて、むしろ炎上するかもしれんなー?
なんならいい反応ばっかじゃなくて、“手の込んだ嘘つき”とか、“最近のJKは最新のCGを駆使することを覚えたのか”とか、“これ◯◯のパクリですね、以前も見たことありますよ”とか、クソみたいな反応してくるヤツらも湧いてくるやろな。
そー考えたら、リア友だけに話したほーが無難かもねー。
……アッキーとか、いったいどんな反応するだろなー。
ゆーてアイツはけっこーな野蛮人の才能あるから、あーしがモンスターぶっ殺してる動画とか見ても、むしろ楽しそーにキャッキャ♡ってするだけカモ。
ミラぽよは……どーだろ。
あん人はあーしが話しかけても、いつも澄ましてるとゆーか、なんか塩対応だケド……でも、ゆーてこんなビックリな体験のハナシなら、さすがのあの子も驚いた反応すっかな……?
うわー、ミラぽよがどんな反応すんのか見てーわー。
——ってなカンジで。
あーしはジッサイにスマホが使えない事実に打ちのめされないよーに、スマホを使えたらこんなコト出来るのになー、ってのを妄想して、ヒマな時間をなんとか乗り切ったのだった。
……いやまあ、逆にそのせーで、むしろスマホ使えないことをより深く
まー少なくとも、おかげでなんとか、単調な空の旅にも退屈することはナカッタよ。
そんなカンジに、順調に空を進むことしばし。
気づけばあーしは、目的地にたどり着いていたのだった。
目的地とはつまり、“
コンパスの導きに従い進んだあーしが到達した場所にあったのは——巨大な塔か、あるいは、城のよーな、そんな——めっちゃデカい
そしてコンパスは、明らかにその城の最上部を指していた。
——ふむ……なら、登るか。
あーしは城の入り口には行かず、飛行船乗ったまま近寄って行って、高さ的に城のいーカンジの場所にある——ベランダとゆーか、バルコニーとゆーか、あるいは屋根なのか——なんか降りれそーなところに着陸すると、ひとまず飛行船を片付けた。
さて、それじゃ……壁を登るか。
とーぜんのよーにあーしは、城の中にワザワザ入るつもりはなかった。
なので城の外壁を登っていこうと、とりま取っ掛かりを探ってみたところ……
——えっ、
なんか城の壁には
なにやら見えない壁があるみたいなカンジで、手が壁まで届かない。
手に限らず、ワイヤーのアンカーを撃ち込むことも出来なかった。
……まいったなー、どーすっか。
まあ、
んなら……
実はあーしは気がついたのだ。
この場所でも、空中を上に行く方法ってヤツを。
きっかけは偶然だった。
ゴースト共と空中で戦っていた時に、たまたま発動したのを、あーしがめざとく発見した。
本来ならあの
んでよく調べてみたら……見つけちゃったのよ、そのやり方を。
用意するものは三つ。
宙に浮くものを二つ。それからワイヤー。
あーしの場合は、“
まず、ワイヤーを使って上まで持ち上がって、その場でバルーンを使う。
バルーンによって空中に浮いた状態で、今度はワイヤーの先端に剣くんを繋いで、剣くんを持ち上げるよーに、さらに上にワイヤーを伸ばす。
そして、限界まで上にやったところで、今度は剣くんをその場に浮かせる。
すると——なぜかバルーンはその場から上昇を開始して、剣くんを追い越すと、ワイヤーが届くギリギリの高さまで上がって、そこで止まる。
なので、そっからまた剣くんを上に上げるという、その繰り返し。
……ってなワケで、はい。
たどり着いたわ、城の最上部。
……いや、なんでアレで上に行けるのかは、あーしにもよく分からん。
でも、前にも空中でワイヤーを伸ばすってのを試して、それは出来たってのは分かってるから……たぶんその辺が関係してんじゃねーかなー、と思う。
ま、細かい理屈はどーでもえーんよ。要はそれで上に行けるってコトが重要だかんね。
さて、それじゃ、“
あーしはその場を見渡してみる。
城の最上部は狭くて、特に何もない。
つーかたぶん、ここはただの屋上ってか、屋根じゃろ。
あーしはコンパスを取り出すと、“希望”のカードをセットして、起動する。
すると針は、下を指し示した。
「……」
あーしは無言で剣くんを鞘より引き抜くと——クルッ——その場で一回転する。
すると丸く斬られた床が下に落下して、あーしは
……コレ一回やってみたかったヤツ……!
あーしは謎の達成感を感じつつ、やって来た部屋の中を見渡した。
するとっ——明らかにソレっぽいブツがドン! と正面にあった。
——コレ、か……?
そこにあったのは、何に使うのかよく分からない形状のブツで……とにかくなんか
——“鑑定”……あー、ダメだ、よー分からん……。
だがとにかく、コンパスは間違いなくソレを指していた。
——ここまで来たら……やるっきゃないか。
“鑑定”でも詳しくは分からなかったケド、コレに触れたら何かが起こる——それは分かった。
剣くん
触れた瞬間アウトってカンジではないケド、安全なブツとゆーワケでもゼンゼンないとゆーか……。
ま、どーせ触れる以外の選択肢はねーから、触れるしかねーんだケド。——さすがにぶっ壊すのはやめとけってのは、なんとなく分かるし。
あーしは一度、自分の装備を改めて確認した。
いやこれ、触れたらゼッテーなんか起こるヤツやし。出来る限りの準備をするべきやろ。
とはいえ……あーしに出来る準備なんて、そんなない。
準備を——と思ったところで、けっきょくあーしは、それまでとほとんど変わるトコはなかった。
唯一、変化としては、あの(
いや、まあ、念のためにね。いちおーこれも、それなりの防具ではあるからね。——まさか、またコイツを被ることになるとは……
別に……なんか喋ることも無かろうし。その点は問題なかろ。
準備を終えたあーしは、ついに……そのブツに触れた。
その瞬間——なにかが起きた。
一瞬、意識が途切れたよーな感覚がした……気がする。
あーしは周囲を——“
さっきまでの部屋の中ではない。
四方が暗黒に閉ざされた空間で、その中に浮いているのは、それなりの広さの薄っぺらい足場。——その足場は案の定、支えもなく宙に浮いている。
あーしはその足場の上に、ポツンと一人で立っていた。
そう、立っているのはあーし一人。
しかしあーしの眼前には、一人の——いや、一体の
うっすらと透けている半透明の体のその
あーしは反射的に、ソイツに“鑑定”を使った。
——あるいはそれは、未知なる存在の視線に射すくめられた恐怖の裏返しか。
『“
判定……結果——
名称——『
族種——『
属性——『闇/霊』
特性——『
…………なんかヤバそーなのいるぅぅぅ……!!
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