4-2
翌日の夕方に再び病院を訪れると、人狼の小僧は天地創造の初日からその場所にいるかのような姿勢で病室の前に座り込んでいた。
うちひしがれたその
それに、フランチェスキーニ司教のいるボストンの
聖ペテロが彼に対して天国の門を閉ざすとも思われないが、
もし途中で手を伸ばして
小僧は両肩のあいだに
「なにに祈っているんだ?」
声をかけると、小僧はこちらに視線を向けようともせず、濡れた眼をあげて、ガラス窓の向こうを見つめた。
「……愛してるんだ。誰にも渡したくないよ。たとえ神様にだって」
「よりにもよって神父に惚れるとは、不毛の極みだな」
「うるさい」相手が私だと気づいたからなのか、小僧は目にごみが入ったのだと言わんばかりの様子で、そこだけ色の変わったスウェットの袖口で乱暴に目頭を
「神に喧嘩を売るのは、いくらお前でも無謀だと思うがね」
「放っといてくれ。神様なんかいらない。俺にはクリスが必要なんだよ。俺がこんなにお願いしてるのにもしクリスを死なせたりしたら、俺は金輪際あいつらの手助けなんかするもんか。悪魔に魂を売るほうがマシだ。なにが神の猟犬だよ」
……まあ、必要なものを決めるのは理屈ではないからな。
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