第153話 いつのまにか九重さんと新發田さんはだいぶ仲良くなっていたみたいだ。

 さて、翌日の土曜日もパティスリーでのバイトだ。


 最近は売上が上がってるということで俺は朝7時から上りは16時、新發田しばたさんは10時に出勤で19時までとレギュラーのシフトと同じ長さで入ることになった。


 まあ、土日祝日はサービス業にはかき入れ時だし、人手が大いに越したことはないんだろう。


 今まで土曜日は朝一番に出勤して開店の準備で掃除や仕込みをして10時に白檮山かしやまさんが来たらバトンタッチしていたけど 今日からは一緒に働けるな。


 そしていつものように朝7時にパティスリーに出勤。


王生いくるみさん、おはようございます」


「はい、おまようございます。

 今日は長いですが適度に息を抜いてやってくださいね」


「はい、わかりました」


 ショーケースやガラスなど店内の掃除を済ませ、フルーツのカットなどのキッチンでの、パティシエの補助作業をしつつ開店までは黙々と働く。


 そして10時の開店前には白檮山かしやまさんと新發田しばたさんも来た。


白檮山かしやまさん、新發田しばたさん、おはようございます」


 白檮山さんはニッと笑うと俺に言った。


「うん、おはよー。

 今日は一緒に働けるし、よろしくねー」


「ええ、こちらこそ。

 どっちかといえば俺は壬生いくるみさんの手伝いで奥にいることが多そうですけど」


 そして新發田しばたさんもニコリと微笑んで


「おはようございます。

 人手が足りなくなったら呼びますのでヘルプをお願いしますね」


「ん、了解。

 コアタイムだと二人だけはきついかもしれないからね。

 ちなみに白檮山かしやまさん、土曜日のコアタイムっていつくらいですか?」


 俺が白檮山かしやまさんにそのように聞くと、少し考えてから答えてくれた。


「天気とかによるけど大体10時から15時くらいと17時から19時くらいかな」


「だいたいランチやディナーと同じ時間帯ってところですね」


「そうそう。

 買い物の前や後、あるいは家に帰る途中とかに立ち寄るってパターンが多いみたい」


「このお店は動線から考えると立地的に悪くはないですけど、駅ナカや駅ビル、あるいは駅前の店に比べればやっぱりちょっと落ちるってところかな?」


「たぶんそうだね」


「そうなるとこれ以上集客を増やすとしたら、金をかけて宣伝しないと厳しいかな」


「うーん、多分そうだね。

 そのあたりのことは私じゃなくて壬生いくるみさんと話したほうがいいと思うけど」


「でもホールで実際にお客さんお入りを見ている人のほうがわかることもありますからね」


「それは確かに」


 そして焼き上がったスイーツなどをショーケースに飾っていると早速来客があった。


「いらっしゃいませ」


 最初の来客は俺の知ってる女の子だった。


「ハウディ!」


九重ここのえさん?!」


「はい、また来てしまいましたヨー」


「あ、球技大会のテニスの女子ダブルスの優勝のお祝いをした時にここに来たからその時に気に入ってくれたのかな?」


「ハアイ、そのとうりデース」


「えーと今日はテイクアウト?

 それともイートインで食べていくの?」


「もちろんイートインで!

 ゆっくり食べていきマスヨー」


「では、こちらへどうそ」


 俺は九重ここのえさんをイートインスペースへ案内して着席させた。


 そして後は新發田しばたさんにバトンタッチする。


「じゃあ、新發田しばたさん。

 後は任せていいかな?」


 俺がそうきくと新發田しばたさんほほえみながら頷いた。


「はい、任せておいてください」


 俺とバトンタッチした新發田しばたさんはメニューを持って九重ここのえさんとにこやかに話をしてから戻ってきた。


「今日もお店のおすすめで、とのことです」


「了解。

 新發田しばたさん、九重ここのえさんは結構よくくるのかな」


「はい。

 土曜日は結構来店していますよ」


「そっか、九重ここのえさんには、このお店を気に入ってもらえたみたいだね」


 九重ここのえさんが部活に入っているかどうかはわからないが、どこかの部活に所属しているなら部活仲間とかをつれてきてくれるかもしれないな。


 所属している小集団に対して口コミで評判が広まってくれるとありがたいんだけどそうはいかないか。


 今回もサッパリ目の旬のフルーツケーキで行こうかな。


 俺はショーケースから白桃とヨーグルトクリームのスモールケーキとブルーベリーとヨーグルトチーズのセミフレッドを用意して新發田しばたに渡してあげた。


「お待たせしました。

 当店自慢の一品の白桃とヨーグルトクリームのスモールケーキとブルーベリーとヨーグルトチーズのセミフレッドです。

 どうぞ皆さん召し上がれ」


「オウ、とても美味しそうデス」


 ちなみにセミフレッドは半解凍状態のアイスケーキのような半イタリアのスイーツで、夏にはぴったりだと思う。


 九重ここのえさんはニパッと笑んでうなずいた。


「では遠慮なくイタダキマスヨ」


 その後も九重ここのえさんと新發田しばたさんは楽しそうに話をしていた。


 そして俺と白檮山かしやまさんは手招きされた九重ここのえさんに言われた。


「9月7日は新發田しばたさんの誕生日なんデスヨー。

 だから私たちでハッピーバースデーパーティシマショウ」


「ん、確かに9月7日は新發田しばたさんの誕生日だったっけ。

  俺はそれでいいと思う」


そして白檮山かしやまさんも頷いた。


「もちろん私もいいわよ」


 新發田しばたさんとは東雲しののめさんの時にバースデーパーティをやった仲間とはちょっと繋がりが弱いしこのお店で知り合ったメンバーのほうが気兼ねしないで良いかもしれないな。


「強いて言うなら九重ここのえさんと女子ダブルスでペアを組んで、祝勝会で一緒だった西梅枝さいかちさんは一緒にここで食べたことがあるから呼んでもいいかもだけど」


 俺がそう言うと九重ここのえさんはにこっとわらっていう。


「それは秦くんに任せマース」


「じゃあ時間のある時に確認してみるよ」


 とまあその後バラバラとお客さんが来て忙しくなったので俺達は仕事に戻ることになった。


 そして九重ここのえさんがケーキを食べ終わると軽々を済まして帰っていってしまったので新發田しばたさんの誕生日パーティについて詰めて話すこともできなかった。


 まあ、今は仕事中だし今日はたしかに忙しかったし、そこら辺は明日以降にゆっくりやるか。


 予定


 7月21日:新發田しばたさんと小規模同人イベントに参加


 7月29日:西梅枝さいかちさんとホタル観賞


 8月1・2・3日:文ちゃんと海


 8月5・6・7・8日:九重ここのえさんと山でキャンプ


 8月10日:文ちゃんの誕生日


 8月のお盆:白檮山かしやまさんとコミケ1日目2日目に参加


 8月20日:中垣内なかがいととプールデート


 8月23日:南木なみきさんと水族館デート


 8月26・27日:弥生ちゃんとTDR


 7月末と8月末:東雲しののめさんと宿題


 9月7日:新發田しばたさんの誕生日

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