第140話 衣服を完全自作しようとすると結構細かく採寸しないとだめらしい特に女性は

 さて、毀滅の刃の水柱のコスプレ衣装を自作するために、洋裁をやっている皐月おばさんや弥生ちゃんの家に来て色々教わった。


 さらに、二人は俺のために俺の体の大きさを採寸したあと、型紙まで作ってくれた。


 あとは色の合う生地を探し出せば多分大丈夫だろう。


 今回は日暮里に行かないとダメそうだけどな。


「あとは白檮山かしやまさんが蟲柱のコスチュームをうまく作れるかかな?」


 俺がそういうとお母さんが聞いてきた。


「そういえば先輩と一緒に漫画のキャラクターの衣装を自作して着ることになったって言っていたわね。

 どういうキャラクターなの?」


 俺は漫画のペーシを開いて見せる。


「このふたり組のうちこっちの水柱が俺がコスプレするキャラで、こっちの蝶の羽みたいな羽織の蟲柱が先輩がコスプレするキャラだね。

 両方とも主人公兄妹に次ぐ人気キャラなんだ」


 それを聞いた弥生ちゃんが言った。


「蟲柱って女性キャラだよね?

 先輩ってもしかして女の人?」


「うん、同じ高校の二年生でバイト先のパティスリーの先輩でも有る人。

 弥生ちゃんは中垣内なかがいと南木なみきさんと一緒にアンドウトロワで動画撮影した時に見てると思う。

 あの時、接客は俺がしたから喋ってはないと思うけど」


 俺がそういうと弥生ちゃんはジト目になった。


「あっくんの周りって、女の子ばっかりだよね」


「あー、幼稚園のときから小学生の時まで弥生ちゃんとばっかり遊んでたからか、女の子と一緒にいるのが不自然な感じじゃないんだよな。

 その代わり男友達がなかなか作れないんだけど」


「うーん、それじゃあ仕方ないか」


 そして皐月おばさんが言う。


「それじゃあ女の子の採寸のしかたや型紙の作り方を教えてあげたほうが良いかしら?」


「あ、そうしてもらえると助かります」


 俺がそういうと皐月おばさんが言う。


「基本的なところは章ちゃんと同じように作ればいいけど、男の子と女の子だと採寸の仕方もぜんぜん違うからね。

 モデルは私やあなたのお母さんより弥生のほうが良さそうね。

 私達だと背が低すぎると思うし」


「あー、たしかに弥生ちゃんのほうが背丈は近いですね」


 そう言うと弥生ちゃんは顔を赤くしていった。


「う、うん、じゃあ私が採寸のモデルをやるね」


 そこで皐月おばさんが言った。


「あらあら、あなた達小学校までは普通に一緒にお風呂に入っていたじゃない。

 それに私は章ちゃんのおむつを替えてあげたりしたことも有るし」


「お母さん、私もう大学生なんだよ?」


 そう言いながら弥生ちゃんは部屋を出て行ってしまった。


「皐月おばさんにおむつ替えられたことあったの俺?」


 それを聞いてお母さんは笑ってる。


「そうよ、覚えてなかった?」


「そりゃ覚えてないよ……」


 そんなことを言ってる間に弥生ちゃんはTシャツに短パンという薄着に着替えてきていた。


「それじゃあ、お母さん、あっくんに採寸のしかたを教えてあげて」


「はいはい」


 というわけで俺は弥生ちゃんをモデルにして、皐月おばさんに女の子の採寸のし方を教わることになった。


「女性の採寸の仕方だけど、最低限トップバスト・アンダーバスト・ウエスト・ヒップ・背丈・腰丈・股上・股下・背肩幅・袖丈は測らないといけないわね。

 細かいところまで入れるなら、ミドルヒップ・手首回り・背幅・ゆき丈・胸幅・乳下がり・乳間・頭回り・首回りもあったほうが良いかしら」


「何となく分かるものもあるんですがミドルヒップとかゆき丈・背幅・胸幅・乳下がり・乳間ってのが全然わからないんですが」


「ミドルヒップはウエストラインとヒップラインのほぼ中央で、ウエストラインから8〜10cm下がった、腰骨の上端ぐらいのところね。

 ウエストとミドルヒップのサイズ差が大きい場合、サイズ選びが難しくなるからハイウエストのパンツやタイトスカートを作るときにはミドルヒップのサイズも測ったほうが良いわよ。

 弥生の場合は……」


 と皐月おばさんが弥生ちゃんのミドルヒップのサイズを測ってみせた。


「なるほど」


「それから、ゆき丈は首の付け根から袖先までを測った、シャツの専科の真ん中から袖先までの長さね。

 弥生の場合は……」


 と皐月おばさんが弥生ちゃんのゆき丈のサイズを測ってみせた。


「なるほどこれも大事なんですね」


「背幅は後ろの右の腕付け根の脇の下あたりから左の腕付け根の脇の下の間まで。

 胸幅は右の腕付け根の脇の下から左の腕付け根脇の下までの間まで。

 乳下がりは前中央で首の付け根からバストの一番高いところまで。

 乳間は左右の乳首から乳首の間の幅ね。

 このあたりは個人差が大きいからブラジャーとかブラカップ込みの衣装を作るときとかは大事なのよ」


 その言葉に弥生ちゃんはやっぱり顔を赤くしている。


「お、お母さん?

 流石にだいぶ恥ずかしいんだけど?」


 そして俺も流石にちょっと照れてしまった。


「あー、今回は下着は作らないからそこまでは測らなくていいかな。

 バニーガールの衣装とか踊り子っぽい衣装だとあったほうが良いんでしょうけど」


「確かに今回の衣装だとそこまで細かくは測らなくてもいいかもしれないけど、覚えておくにこしたことはないわよ」


「たしかに女性の場合体の凹凸が激しいから採寸も大変なんですね」


 俺がそういうと皐月おばさんはうなずいて言う。


「本当は市販の洋服を買うときも採寸やフィッテングはしたほうが良いのだけど、なかなかそこまではしないことが多いわね」


 そして採寸したサイスから縫い代などを加えた型紙の作り方まで教えてもらえた。


 しかし、俺のやつだけではなく白檮山かしやまさんのコスプレの手伝いもできるかもしれないのは行幸だな。

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