第138話 津田沼の湯沢屋もそんなに悪くはなかった
さて、パティスリーでのバイトも終わって家に帰ってきた。
そして、明日の土曜日は
俺は
『こんばんは
『はい、こんばんは』
『明日の買い物だけど、津田沼駅の改札に朝10時に待ち合わせでいいかな?』
『はい、私はそれで大丈夫ですよ』
『ん、了解。
じゃあ、明日よろしくね』
『こちらこそ、よろしくお願いしますね』
というわけで翌日のバイトでは、いつものように開店準備を行い、
残念ながら、今日も雨だが梅雨時だから仕方ないか。
そして俺が改札に到着するのとほぼ同時に
「うーん、雨で多少濡れたり汚れても、目立たないようにしつつ動きやすそうで、それでいて可愛い感じなのはすごいね」
俺がそういうと
「えへへ、雨だからって可愛くない服でデートはやっぱり嫌じゃないですか」
「俺もそろそろ真夏用の服を買わないとだな」
「あんまり服ばかり買っていると、お金がいくらあっても足らなくなりますよね」
「そうなんだよな」
そんな事を話しながら歩いていると、津田沼の南口にある湯沢屋の入っている建物へ到着した。
ここは津田沼駅南口に立地する、地上5階・地下1階の建物で、平成10年(1998年)10月に開業し、湯沢屋がB1F~4Fまで展開していたこともあったらしい。
なにせ、ここの店舗がオープンした時は手芸ブームで、津田沼駅の改札口を超え、北口までの大行列ができたとの話もあるくらいだ。
その時は地下は模型で一階がおもちゃ、二階が生地など洋裁和裁用品、三階は画材、書道用品、文具、工芸材料で四階は毛糸、フラワー材料、手芸材料と言ったところだったらしい。
しかし、手芸のブームの沈静化やおもちゃや模型が売れなくなっていくとともに、店舗面積を徐々に縮小している。
今は二階と1階のほんの一角だけまで売り場は縮小されてるらしいけど、ネットの口コミなどを見ると、今でも毛糸や生地、リボンなどが豊富に並べられていて、文具類やスクリーントーンやコピックなど漫画家さん向けの道具、油絵、水彩画用品や額縁などもあって千葉県では最大の手芸用品店らしい。
まあ、手芸や洋裁人口自体が減っていることに加え、毛糸や編み棒、端切れくらいなら百均でも今は売ってるし、ネットでも生地は買える時代だから、実店舗で手芸店を続けるのはなかなか難しいらしい。
「ここにいい生地が置いてあるといいんだけどな」
「そうですね、雨降りだとあんまり長く歩きたくはないですし」
「それもあるんだよな。
電車で一本とはいえ、単純に日暮里までは結構遠いってのもあるんだけど」
「確かに結構遠くはありますよね」
などと言っている間に建物の二階のユザワヤの入っているスペースにたどり着く。
洋裁や手芸の店というより、手芸、雑貨、ホビー用品を取り揃えた、趣味人のための総合的な店に近いのかもな。
「思っていたより広いし、生地も揃ってるみたいだな」
「そうですね。
これならここだけでもなんとかなりそうです。
今年はシンプルなペールトーンやモノトーンが流行りなんで、そんなに変わった色の生地ではなくても大丈夫ですし。
花柄やストライプも流行りなんですけど」
「なるほど。
だから今日みたいな服装なんだね」
「はいそれもあるんです」
「女の子は毎年流行も代わりがちだし大変だよな」
「たしかに男の人よりは服とかは大変ですね」
「だよなぁ」
「ここは日暮里の繊維問屋さんより数が少ないので、かえって迷わないで済むから楽かも知れません」
「流行の色や柄さえあれば確かにその方が助かるよな」
「はい」
「じゃあ今日はこれを買っていきますね」
「了解、じゃあ俺が精算してくるよ」
というわけで買い物は津田沼だけで済んだので助かった。
「今日の買い物はこれで終わりだし、ちょっとどこかでランチでも食べていこうか」
俺がそういうと
「はい、ぜひそうしたいです」
というわけで湯沢屋の入っている建物の近くにある、評判のいいビストロへ向かう。
病院帰りにランチと思い、津田沼で検索。
ポトフが美味しいと噂のビストロにやって来た。
ドアを開けてみると女性スタッフが対応してくれる。
「いらっしゃいませ。
ご予約のお客様でしょうか」
「あ、いえ、予約はないです」
「ではこちらへどうぞ」
そして俺達は奥のテーブル席へ案内された。
メニューと、ワイングラスと瓶に入った水が、運ばれてきて
ちゃんと、グラスに水を注いでくれる。
メニューを見て俺はランチポトフセット、
最初に運ばれてきたのはカボチャの冷製スープで濃厚で美味しいスープだった。
「うん、生クリームのクリーミーさとカボチャの味はよく合うな」
「そうですね。
ちょっと蒸し暑いので冷たいスープはすごく美味しいです」
ライスとパンとで選べるがビストロなので俺達はパンを選んだ。
パンは手作りらしく、湯気が立つ程温かい状態で、外はカリッと中はふわっとしていてバターも、コクがあり美味しい。
そしてそれぞれのメインが運ばれてきた。
ポトフだが野菜の旨味がとても濃縮されていてめちゃめちゃ美味かった。
野菜も冷凍されたものではないらしく、噛むと野菜の旨味が出てきて美味しい。
肉は3種類入っていて、ソーセージ・豚バラ・手羽先でじっくり煮込まれた肉はトロッとしていて、口の中に入れるとジュワッと消えてなくなるくらいのトロトロでこれまた美味かっ。
真鯛のポアレもだいぶ美味しそうだ。
最後にはプリンとアイスコーヒーが運ばれてきたが、ほろ苦いカラメルとコーヒーが合うと思う。
これで1300円は安いし、サーブの時間が早くてストレスにならないのもいいな。
食べ終わったら俺達は席を立って、会計を済ませて店を出た。
「ありがとうございました」
「ごちそうさまでした」
そして時計を見るとまだ13時半くらいだ。
「元々他にも行くつもりだったから、まだ時間がだいぶあるけど、どこか二人でゆっくりできるところにでも行く?」
俺がそう聞くと
「はい、ぜひそうしたいです」
「んじゃ、雨でものんびり過ごせる、千葉県の船橋市総合教育センターに設置されている、プラネタリウム館に行ってみようか。
津田沼北口からバスに乗って、飯山満入口で下車して徒歩3分だからそう遠くないし」
「あ、ならそこにしましょう」
というわけで俺達は津田沼駅の北口からバスに乗って、船橋市総合教育センターに設置されている、プラネタリウム館に行くことにした。
雨でも満天の星が楽しめて、暑くも寒くもなくて、蚊に悩まされることもないロマンチックな時間が過ごせるプラネタリウムは、絶好のデートスポットではある。
子供向けが午前中で午後の1時半と3時半からが一般向け。
高校生なら250円で一時間の星空体験をできるのはかなり安い。
周辺の景色も隣の総合教育センターの実際の景色から夕空にかわりさらに星空になるようにされているので、違和感なく夜空にに没頭でき、やがて街の灯りを消して空気も澄ませた時の満天の星が映し出される。
まあ設備自体が昭和62年(1987年)のものとかなる古いが、ドーム径18m、座席数は255席あり、県内最大級で歪みのない自然な星空を満喫できるのは良い。
プロジェクターとのハイブリッドで全天周映像も楽しめ、その日の夜空に見える星空の“生解説”とアットホームなナビゲーターのトークもテンポがよく、非常に魅力的だな。
投映時間は1時間ほどで終了し、その後天体写真が並ぶ展示ホールを眺めたあとバスで津田沼に戻れば17時を過ぎていた。
「今日はありがとうございました。
すごく楽しかったです」
「こっちこそ楽しかったよ。
今日はありがとうな」
なんだかんだで二人で楽しめた一日だったな。
クリア
土曜日:
予定
日曜日:皐月おばさん&弥生ちゃんに洋裁を教わる
7月10日:
7月21日:
7月29日:
8月1・2・3日:文ちゃんと海
8月5・6・7・8日:
8月10日:文ちゃんの誕生日
8月のお盆:
8月20日:
8月23日:
8月26・27日:弥生ちゃんとTDR
7月末と8月末:
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