第117話 新發田さんは確実にオタ沼に踏み込んでるな
さて、翌日の金曜日は、放課後にバイトのある日だ。
学校が終わったので、俺はパティスリー”アンドウトロワ”へ向かう。
「
俺がそう挨拶すると
「はい、今日もよろしくお願いしますね。
あら? 今日は珍しく一人ですか?」
まさか
「えええ、俺って、
「ええ、しかも毎回違う女の子ではないですか。
私としてはお得意様が増えるのでありがたいですが」
その言葉を聞いて俺は首を傾げた。
「あれ、俺がいないときにも女の子たち来てたりするんですか?」
俺の言葉にに
「ええ、それ以外にも動画を見たという方も来てくださってます。
なので、夏で売り上げが落ちる時期ですが、昨年に比べればあまり落ちていませんね。
常連さんが増えて、本当に助かっていますよ」
そして
「
「うん、おはよー。
まあ、彼はいろいろとマメですからね」
「ええ、そうですね。
開店前の掃除や仕込みなどは嫌がる人も多いですが、彼は嫌がらずに丁寧にやってくれますし、お店の宣伝もしてくれていますしね」
そんな話をしていると
「こんにちはー」
俺は首を傾げた後
「あれ、今日のシフトに
俺がそう聞くと
「いえ、今日はお客さんですよ。
今日のおすすめはなんですか?」
ああ、そういうことか。
「今日は旬のアメリカンチェリーのタルトとレアチーズケーキかな?
飲み物は甘いアイスミルクティーあたりがいいかも」
「じゃあ、それでお願いします」
そういう
「承知いたしましたお嬢様」
俺はショーケースからアメリカンチェリーのタルトとレアチーズケーキをとり、アイスミルクティーをティーカップに注いでトレイに置き戻る。
「お待たせいたしました。
本日のおすすめです」
そういってケーキと紅茶をテーブルへ置く。
「わ、おいしそうですね。
いただきます」
そういうと
その横で笑いながら
「そういえば最近は銃剣乱舞はあまりやってないのかな?
前は眠そうにしてたけど、最近はそういうことはあんまりないし」
「そうですね。
大体銃剣士はそろえてしまいましたし、それにやることが単調なのでちょっと飽きてしまいました」
その言葉に
「まあ、ソシャゲってそういうものらしいしね」
「でも、銃剣乱舞はいつ中断して、いつ再開してもいいゲームですから、気が向いたらやってますけどね。
今はむしろイラストを描いたり、二次創作の漫画や小説を読んでる方が多いです」
「なるほど、そういう方に進んじゃったか」
そんなことを話している二人は楽しそうだ。
そういえばある漫画のセリフに”オタクはなろうと思ってなったもんじゃねぇから、やめることもできねぇよ”というセリフがあったが、確かに足を踏み入れるきっかけはあるんだけど、気が付いたらいつの間にかなっているものではあるよな。
そして
「そしてそういうものを読んでいると、自分でも書いてみたくなるんですよね」
それに対して
「なら書いちゃえばいいんじゃない?」
しかし、
「でも、私は漫画も小説も書いたことがないので……」
それに対して俺は言う・
「どんなことでも最初はあるし、とりあえず書いてみればいいんじゃないかな?
漫画のほうが難しい気がするからまずは小説からでも」
俺の言葉を聞いた
「確かにそうですね。
でもいきなりサイトに投稿するのは怖いので、書きあがったら秦君が読んでみてくれますか?」
俺はうなずいて言う。
「もちろんいいよ。
最初から長いお話を書こうとするのは難しいから、短めでちゃんと結末が分かる話とかのほうがいいかもね」
「なるほど、確かにそうかもしれませんね」
そして
「秦君が読み終わったとでいいから私にも読ませてね」
「はい、ぜひお願いします」
まあしかし、二次創作に手を出し始めるとは……
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