第116話 今日の動画撮影はスケジュール計画についてを話したよ

 さて、本日の家庭科部の部活動として行った、日暮里繊維街での買い物は無事終了した。


「うーん、割と時間的にギリギリでしたね」


 俺がそういうと大仏おさらぎさんは苦笑した。


「放課後の部活の時間で問屋街を回ろうとすると時間的に厳しいのは仕方ないですね。

 といっても日曜日や祝日も多くのお店が空いていませんし、土曜日はものすごく混んでいますから、どこかで妥協するしかないですね。

 でも一度行っておいて正解だったとは思いますよ」


 その言葉に西海枝さいかちさんはうなずいて言った。


「はい、日暮里ってあんまり知らなかったですけど、すごくいい場所ですね」


 それに対しては雅楽代うたしろさんもうなずいた。


「あそこまで生地が豊富な場所は他にはちょっとないですからね。

 昔の湯沢屋はTOMATOのように売り場面積も広くて一店舗でいろいろそろったらしいですが、2000年代中頃から急激に首都圏の百貨店やショッピングモールへの小型店舗による店舗数を拡大させたことで経営が苦しくなったことや、若い人で洋裁や手芸をする人自体が減ったこともあって、都心の店舗は閉鎖し、大型店舗でも売り場を縮小していたりしますね」


 俺はそれに首を振る。


「もったいないことですよね。

 津田沼なら競合する店もないし、立地もいいんだから、売り場を縮小しなくてもいけそうな気がするんですが」


 雅楽代うたしろさんは続けて言う。


「趣味で洋裁や手芸をする人は所得が高い人が多く、目的を持って来店するため高層階でも集客でき、テナントとして引く手あまただったと執行役員の方は言っていたそうですが、現在ではテナントとして貸し出す方が儲かるとしたら仕方ないかもしれませんね」


 そんなことを話しながら俺たちはそれぞれの自宅への帰路へ着いた。


 そして翌日は中垣内なかがいととの動画の撮影だ。


 まあ、大丈夫だろうとは思うんだが念のために中垣内なかがいとへSNSでメッセージを飛ばす。


『明日の放課後また動画の撮影をするけど、そっちは大丈夫かな?』


 メッセージを入れるとレスが即帰ってきた。


『大丈夫!

 ちゃんと覚えてるわよ。

 明日はどういう話をするの?』


『そうだな。

 明日は適切なスケジュール管理を行うことが重要だってことでも話すか』


『わかったわ。

 私は適当に話を合わせればいいのよね?』


『ああ、それでいいぞ』


『じゃあ、また明日ね』


『じゃな』


 というわけで翌日の放課後だ。


「さて、じゃあまあ、今日も俺とお前でグダグダしゃべりながら、撮影していくぞ」


「うん、もちろんこっちはいつでもオッケーだよ」


「よし、じゃあ始めるか。

 さてさて、童貞のケンジと」


「処女のオトメのコンビで送る」


「グダグダ高校デビューチャンネルー。

 といっても高校デビューの話題については一学期のスタートダッシュに必要そうのものについては大体しゃべった気がするんで、今回は人間関係の維持にも適切なスケジュール管理を行うことが重要だってことでも話していこうと思う」


「スケジュール管理って、なんで必要で、実際どんなことをすればいいのかな?」


「スケジュール管理が必要なのは時間は有限だからだ。

 んで、何か予定を立てたらそれをちゃんとメモしておくこと、メモの見直しはこまめに行うことだな。

 そうして自分の予定をしっかりと把握しておけば、仲がいい友達の誕生日に誕生日プレゼントを買い忘れたりとか、お返しをし忘れたりすることもなくなるはずだ」


「まあ、あんたはそういうの本当にマメだもんね」


「こういうのは他人との関係を良好に保つためには重要だし、働いて仕事において他人と関係ができるともっと重要になってくるけどな」


「そういえばあんたパティスリーでバイトしてたっけ?」


「そうそう、俺が働いているパテスリーの店のオーナーは、もうハロウィンやクリスマス用のイベントスイーツとかの試作とかポスター作りなんかもしてるよ」


「はっや。

 クリスマスなんてまだ半年以上先なのに?」


「気温が下がって寒くなってきてからが、スイーツの売れる季節だからっていうのもあるし、そこでコケると死活問題だからな」


「まあ、自分のお店のことならそれくらい先のことでも、ちゃんと考えて予定を立てておかないといけないってことになるわけね」


「あとは、ダブルブッキングを防ぐという意味でも予定を把握しておくには大事だ」


「あんた、夏休みにいろんな女の子と、いろんなところに行くみたいだしね」


「そのいろんな女の子にお前さんも入ってるわけだがな。

 そして当人以外にそれを話してるわけでもないのに、なぜか周囲のみんなにばれてるのはなぜだと思ったりするわけだが。

 それはともかく、お出かけの予定がかぶってしまった、いったいどうすりゃいいんだ?

 といった事態を起こさないためにもスケジュール管理は大事だ」


「そんなことを高校一年生で普通にやるのは、あんたぐらいなものだと思うけど」


「あと、相手を誘ったりすることに遅れをとることも少なくなるはずだ」


「今から夏休みのデートプランを入れまくってたのは、そういう理由もあるわけ?」


「そりゃ、家族とのお出かけや、もしかしたらほかの男からのお誘いだってあるかもしれないだろ?

 無論スケジュールを立てていても、天気が悪いとかそのほかの予期せぬトラブルがあってうまくいかない可能性もあるけど」


「それで出かける日の翌日も念のためで抑えてあるわけね」


「まあ、大雨とかだとお出かけどころじゃなくなるしな。

 両方ダメになる可能性もゼロじゃないけど、そこまで考えていたらきりがない。

 かといって予定をあんまり詰め込み過ぎても、実行が不可能になるんで、ある程度の余裕は持たせて予定通りに行動できるスケジュールを立てるのも大事だ。

 以上」


「以上って、割と抽象的でアドバイスになってなくない?」


「といっても誕生日の確認と事前のプレゼント準備やお返しとかはともかく、お出かけで具体的なことを言うのは難しいけどな。

 まあ、誕生日プレゼントにせよ、お出かけにせよ相手の好みを把握するのは大事だと思うけど。

 ああ、開催日時が決まってる花火大会とか夏祭りとかなら、5W1H、つまり、いつ・どこで・だれと・何を・なぜ・どのように行うか、ということは決めやすいかもな」


「ふうん、あんたもいろいろと考えてるのね」


「そりゃ、みんな楽しい気分になれることが大切だからな」


「確かにそれは大切よね」


「ってな感じで、今回はこんなところだ」


「みんなまたねー」


 という感じで、今回はスケジュール予定の立て方のことを話した動画をとった。


 そしてこの動画は再生回数が80万を超えて、チャンネル登録も7万5千人を突破してしまったのだ。


 そのころの匿名掲示板


[完全に]ケンジのハーレムちゃんねるについて語るスレ[美少女ハーレム?]


 20:名前:名無しのお兄ちゃん

 今回は珍しくケンジとオトメだけだったな。


 21:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>20

 あんまり人が増えるとかえってわかりずらくなるし、たまにはいいんじゃないのか。

 しかし、ケンジはもう夏休みの女の子とのお出かけスケジューリングをしてるだと?

 しかも複数の女の子と


 22:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>21

 ケンジは爆発しろ!


 23:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>22

 マジでそれなんだよなぁあ。

 まあ、動画撮影に協力してるメンバーなんだろうけど、なんでケンジはそういうことをサラッとできるんだ?


 24:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>23

 それだと相当な数なんだが?


 25:名前:名無しのお姉ちゃん

 >>24

 そうだよな、俺なんか夏休みに出かける予定なんてまだなんもねーぞ


 26:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>25

 安心しろ俺もだ


 27:名前:名無しのお姉ちゃん

 >>26

 大体の奴はそうだろ、ケンシがおかしいだけだ


 28:名前:名無しのお姉ちゃん

 俺もそうおもうよ。

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