第112話 久しぶりの動画撮影だな

 さて、本日の家庭科部の部活動は無事終了。


「ミシンは縫うことそのものより、針や上糸・下糸のセットのほうが大変だったな。

 まあ、取扱説明書を見て書かれている通りにやればちゃんとできるけど」


 俺がそういうと西海枝さいかちさんは苦笑していた。


「私は取扱説明書を見ても、ちんぷんかんぷんでしたよ」


 俺も苦笑して答える。


「まあ、取扱説明書って部品の名前とかをイラスト入りで書いている場所と、それらをセットするときの説明が別々だったりするから、慣れないとわかりずらいよな」


 そして大仏おさらぎさんもうなずいた。


「そうですね。

 たしかに取扱説明書を読んでその通りにすれば、準備などをちゃんとできるというのは人によっては難しいこともありますね。

 男の人はそういうのは得意なようですが」


 俺はその言葉に軽くうなずく。


「確かに人によりますよね」


 俺がそういうと 雅楽代うたしろさんが言った。


「次回は、トートバッグか腰回りはゴムを通して締めるハーフパンツを作ってみまましょうか。

 秦君がコスプレ衣装を自作したいというなら、それに近い物に順次レベルを上げていった方がいいでしょうしね」


 その言葉に俺は喜んででうなずいた


「はい、確かに衣装を縫えるように、徐々に作るものの難易度を上げていかないと駄目ですよね」


 まあそんな感じで和気藹々とした雰囲気で、無事部活動は終わった。


 そして翌日の火曜日は久しぶりに中垣内なかがいととの動画の撮影だな。


 中垣内なかがいとへSNSでメッセージを飛ばす。


『明日の放課後また撮影するけど、そっちは大丈夫かな?』


 メッセージを入れるとレスが即帰ってきた。


『もっちろん大丈夫!』


 中垣内の方も大丈夫なことが確認できたので、一安心だ。


 というわけで翌日の朝。


 俺は中垣内なかがいとのもとへ向かった。


 ん?


 今日は薄化粧してきてるのか?


「おはよう、今日は久しぶりに動画撮影だけど大丈夫そうだな。

 今日は化粧してきてるみたいだけど、似合ってるぞ」


 俺がそういうと中垣内なかがいとは楽しそうに言った


「もちろん、すっごい楽しみにしてたんだからね。

 そうでしょそうでしょ?

 今日はなんの話をするの?」


「そうだな、せっかくだから球技大会の話でもするか」


「うん、それもいいと思うわ」


 そこに声をかけてきたのはかけてきたのは九重ここのえさん。


「二人とも何のハナシヲしてるのデスカ?

 球技大会と言っていたヨウデスガ」


「あ、うん、今日は久しぶりに動画撮影するからその話をね」


 俺がそういうと九重ここのえさんは少し考えた後に言った。


「ア、球技大会のトキニ、言っていた動画撮影トイウヤツデスネ」


 そう言う九重ここのえさんに俺はうなずきつつ言う。


「うん、そうだよ」


 そして九重ここのえさんは屈託のない笑顔で言った。


「なら私も混ぜてほしいデース」


「ああ、球技大会の話だしちょうどいいかもな。

 その際のハンネは俺がケンジ、中垣内がオトメって名乗ってるけど、九重ここのえさんはどうしようか?」


 俺がそういうと九重ここのえさんは首をかしげていった。


「ハンネってなんデショウカ?」


「ああ、ハンネっていうのはハンドルネームのこと。

 インターネット上で活動するときの仮の名前のことな。

 ペンネームやラジオネームと同じようなものと思ってくれればいいと思うよ。

 特に思いつかないなら……ロティでいいかなって思うんだけど」


 俺がそういうと九重ここのえさんはうれしそうにうなずいた


「あ、はい、それでいいデース。

 向こうでの愛称デシタシネ」


 シャーロットの愛称はシャーリィだったりロティだったりするが普通にそう呼ばれていたみたいだな。


「ん、じゃあ撮影をしている時、必要な時は俺たちはロティって呼ぶから、俺のことはケンジ、中垣内はオトメって呼んでくれるかな?」


「はい、わかりましたヨー」


 そして俺たちのやり取りを見て、中垣内なかがいとはちょっとむすっとしてる。


「そんな顔して一体どうした?」


「だって、久しぶりに二人っきりで撮影できると思ったのに」


「うーん、まあ言いたいことはわからなくもないけどな。

 でも九重ここのえさんとも仲良くやっていこうぜ。

 中途半端な時期に転校してきたうえに帰国子女ってのは大変みたいだし」


 中垣内なかがいとはため息をついた後言った。


「わかったわよ。

 実際人の輪に入りづらいのはつらいわよね」


 と中垣内なかがいとが言うと、九重ここのえさんは申し訳なさそうに言った。


「ゴメンネー、でもうれしいデスヨー」


 というわけで放課後いつもの家庭科室で撮影開始。


「よし、じゃあ始めるか。

 さてさて、童貞のケンジと」


「処女のオトメのコンビにくわえて」


「新人ロティでおくる」


「グダグダ高校デビューチャンネルー。

 さて、今回は球技大会についてだ」


 そこで中垣内なかがいとが言う。


「まあ、うちの高校の球技大会はもう終わっちゃったけどね」


 俺は苦笑しながら言う。


「まあ、そうなんだけどな。

 とはいえ中学や高校では定番のイベントで、これからの奴もいると思うから、高校デビューの話題にしておくけども。

 実際球技大会を通じて仲良くなれることもあるだろ。

 で、球技大会に参加するなら自分の得意な種目に可能な限り気が合うやつと参加しろ。

 が俺の結論だな」


 そこで九重ここのえさんが言った。


「ハイ、自分が得意な競技に参加したほうが活躍できますネー。

 私はテニスの女子ダブルスで優勝シマシタシ」


 俺はそれにうなずいた。


「実際にロティはすごかったからな。

 さすが日米ハーフだけあってスピードやパワーが違い過ぎた。

 まあ、うちの学校は音楽や演劇などの芸術系部活は強いけど、体育会系はいまいちってのもあったとは思うけど」


 そこで中垣内なかがいとが言う。


「とはいえあたしたちは真面目に部活をやってただろう三年生にあっさりやられちゃったけどね」


 俺はそれにうなずいて言う。


「まあ、強いわけではないと言っても、2年の間みっちりバレーボールをやってきた3年生が相手じゃほぼストレート負けも仕方ないだろ」


 俺がそういうと中垣内なかがいとがさらに言う。


「あんたは最初サーブもレシーブもぜんぜんできなかったくらいだしねぇ」


 俺は苦笑してそれにこたえる。


「中学の時は昼休みにバレーボールして遊んでたからいけると思ったんだけどな。

 まあ、俺みたいにそもそもスポーツが得意じゃないってやつでも、オトメみたいに練習に付き合ってくれる奴がいれば、そこそこプレイはできるようにはなるが」


 中垣内なかがいとはふっと笑って言った。


「まあ、本当にそこそこまではだけどね」


「そういう点でロティは迷わずテニスを選んだのはそれが得意だったからだろ?」


 俺がそういうと九重ここのえさんはニコニコ笑って言った。


「はい、その通りですよー。

 もっとも私がやっていたのはラクロスでしたけど、ラケットを使って球を打つテニスとは似たようなものがアリマスカラネー」


「まあ、そうだよな。

 ってな感じで、今回はこんなところだ」


「みんなまたねー」


「ジャネーー」


 という感じで、今回は球技大会の時のことを話した動画をとった。


 そしてこの動画は再生回数が70万を超えて、チャンネル登録も7万人を突破してしまったのだ。


 そのころの匿名掲示板


[完全に]ケンジのハーレムちゃんねるについて語るスレ[美少女ハーレム?]


 1:名前:名無しのお兄ちゃん


 ここは自称高校デビュー、ユアチューバーのケンジのハーレムチャンネルについて語るスレです。


 現状は他のユアチューバーについての話題を出さないようにお願いします。


 2:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>1

 スレ立て乙


 3:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>1

 スレ立て乙


 しかし、さらに新メンバーで今回はハーフの女の子か。

 しかもめっちゃ美人でスタイル抜群じゃねーか。


 4:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>3

 マジでケンジって童貞なのか?

 どうやってあんな美人な女の子がどんどん動画撮影に協力してるん?


 5:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>4

 まあ、ケンジの口のうまさなんだろうな。

 しーぽんとは違った意味で、ちょっとあほの子っぽい感じだけど。


 6:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>4

 ああ、確かにケンジは口は回るよな。

 ケンジは爆発しろ!


 7:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>5

 確かに、また微妙にタイプが違うよな。

 今回はさわやかスポーツ美少女だろ?


 8:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>7

 校内の球技大会で優勝って話だしな。

 ケンジは負けたみたいだが、ざまあ。


 9:名前:名無しのお姉ちゃん

 >>8

 でも、仲良くワカバと練習してたみたいだしそれはそれでおいしくねーか?


 10:名前:名無しのお兄ちゃん


 たしかになぁ

 しかし、まだまだメンバーが増えそうな気がするのは俺だけかな?


 11:名前:名無しのお姉ちゃん

 >>10


 俺もそうおもうよ。

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