第103話 夏の予定がどんどん入っていくな

 さて、白檮山かしやまさんとは今年のお盆にコミスパで一緒に同人誌の買い物をしたり、コスプレをすることになりそうだ。


「そういえばまゆちゃんもコミスパ行きたいなら一緒に回ってもいいかもね」


 白檮山かしやまさんの言葉に俺はうなずく。


「まあ、新發田しばたさん、銃ラブにあれだけはまってるなら1日目は参加したくなりそうではありますね」


 コミスパは三日間開催されるが、おおまかに言えば1日目は、ゲームが多くどちらかと言えば男性向けが多めだけど女性向けゲームの同人誌なども当然ある。


 2日目は女性向けが多め、3日目はかなりの割合で男性向けって感じ。


 一般人が考えるコミケは3日目のエロ同人ばっかりというのが主なイメージなんだろうけどな。イン


 というわけで、俺は新發田しばたさんの所へ、白檮山かしやまさんと一緒に向かった。


新發田しばたさん、俺と白檮山かしやまさんはお盆のコミスパの1日目と2日目に参加するつもりなんだけど、新發田しばたさんも一緒に行ってみる?」


 俺の言葉に新發田しばたさんは「うーん」とうなった後申し訳なさそうに言った。


「ご、ごめんなさい。

 いきなりコミスパに参加すのはちょっと怖いです」


 それを聞いていた白檮山かしやまさんはうんうんうなずいてから言った。


「たしかに、いきなりコミスパ夏への参加はハードル高かったかもね。

 なら、もっと小規模な同人イベントに秦君と一緒に行ってみて、雰囲気とかがわかったらもう一度参加するかどうか決めてみたらどうかな?」


「いや、白檮山かしやまさん?

 そこで自分じゃなく、俺の名前を勝手に出すのはどうかと思いますが?

 まあ、小規模イベントだと浅草橋の東京卸商センターとか東京文具共和会館、あとは平和島の東京流通センターとか、池袋のサンシャインシティあたりでもやってるし、そういうところで雰囲気とかを感じてみるのも手かもね」

 銃ラブの女審神者中心オンリーとかも探してみればあるはずだし」


 俺がそういうと新發田しばたさんは目を輝かせて言った。


「あ、それって女審神者つまり自分プレイヤーと銃剣男士のお話がメインってことですか?」


「うん、そうだよ」


 女性向けゲームの同人だからと言ってもBLばかりじゃないというか、こっちのほうが多分多いとは思う。


「そ、それは行ってみたいです」


 うん、やはり新發田しばたさんは夢女子に近いっぽいな。


 白檮山かしやまさんが自分ではなく俺と一緒に行くように勧めてるのも、がっつりBL大好きな自分とは好みが合わないっていうのもあるんだろうな。


「じゃあ、俺が良さそうなイベントを探してみるから、見つかったらSNSで行く日時を相談しようか」


「はい、ありがとうございます」


 そんな俺と新發田しばたさんのやり取りにいい笑顔でぐっとサムズアップする白檮山かしやまさん。


 とりあえず俺は手帳を取り出して、新發田しばたさんと銃ラブオンリーイベントとメモをする。


 まあ、今週の日曜日日はふみちゃんと買い物に行くし、来週の土曜日はふみちゃんの学校の文化祭を見に行く予定だから早くても来週の日曜日以降だな。


 そんな話をしていたら西海枝さいかちさんがおずおずと俺に声をかけてきた。


「あ、あの、私も秦君と一緒にお出かけしてみたいです」


 ここでそんなことを言われるのは少し意外だったけど、西海枝さいかちさんにはいろいろ世話になってるしもちろん否やはない。


「あ、うん、もちろん西海枝さいかちさんと一緒にお出かけはOKだけど、何をしたいとかどこに行きたいとかはあるかな?」


 西海枝さいかちさんは割となんでもそつなくこなすから逆に強い好みとかわかりづらいんだよな。


「えっと、ホタル……一緒にホタルの光を見てみたいです」


「ホタル鑑賞かぁ。

 うん、もちろんいいけど、船橋運動公園でのゲンジホタル鑑賞会には間に合わないかな……、あそこ鑑賞できる期間がめちゃ短いんだよね。

 だとすると市川の大町公園のヘイケボタルがいいかも?」


 俺の言葉に西海枝さいかちさんが首を傾げた。


「意外と近くでもホタルを見れる場所があるんですね。

 でも、ヘイケボタルだと長くみられるのですか?」


「うん、ゲンジボタルだと5月下旬から6月上旬なんだけど、船橋運動公園のは鑑賞できる期間が6月中に四日間くらいなんだよね。

 その点市川の大町公園のヘイケボタルは7月下旬から8月上旬まで見れるから夏休みに入ってからでも十分間に合うんだ。

 ついでに近くの市川市動植物園でレッサーパンダとかモルモット、コツメカワウソなんかのかわいい系の動物とか、あとはバラとかの植物をのんびり見てもいいかも」


 俺がそういうと西海枝さいかちさんは笑顔でうんうんとうなずいた。


「あ、それはすごくいいと思います」


「了解、一応ホタル観賞ができる期間をちゃんと調べてから、行く日を連絡するね。

 雨が降ってるとホタルの光は見れないみたいだから、確実に梅雨が明けてからのほうがいいかな」


「なるほど、わかりました」


 俺はもう一度手帳を取り出して西海枝さいかちさんと市川動植物園でホタル観賞と書き込む。


「二人ともズルイデース、私も一緒に遊びたいでスヨー」


 そういうのは九重ここのえさんだ。


「ええと、うん、別に俺は問題ないけど、九重ここのえさんは何をしたいとかあるのかな?


「夏休みといえばキャンプですよー」


「キャンプかぁ。

 アメリカの場合学校主催の、野球やアメフトにサッカーみたいなスポーツ、チアリーディングやマーチングバンド、ダンスやミュージカルにオーケストラなんかの強化合宿ブートキャンプや大学の体験入学をするやつがあるみたいだけどそういうのじゃないよね?」


 俺がそう聞くと九重ここのえさんはうなずく。


「もちろんデ-ス。

 涼しい山の中デテントを張って釣りやカヤックとか川下り、テニスや自炊を行うキャンプデスヨー」


「ああ、アメリカでも普通にそういうキャンプもするんだ。

 アクティビティの数が多い気もするけど、あっちだと2週間から1か月くらいは期間をかけるみたいだしな」


 ちょっとアメリカのキャンプに偏見を持ちすぎたかとも思うが、日本のキャンプの一般的な定義が狭いんだよな。


「はい、そうですヨ。

 きっととても楽しいデス」


「とはいえ泊りがけとなると両親なんかとも相談しないといけないしなぁ。

 それに日本じゃ2週間でも期間が長すぎるから、せいぜい3泊4日ぐらいまでになるとも思うけど」


「ソウナノデスカ?」


「日本の夏休みは40日くらいだし、親はお盆くらいしか休みはないしね。

 まあ、有給は余ってると思うから多分何とかなるとは思うけど」


「それはよかったデスヨー」


「ああ、そうしたら連絡を取りう会えるようにSNSのアドレス交換したいけどいいかな?」


「もちろんデ-ス」


 というわけで九重ここのえさんとアドレス交換してから、手帳にメモをする。


 九重ここのえさんと山でキャンプ、と。


 前の高校生活では夏休みだからと特別なことは何もなかったが、今回はもういろいろ予定が入っていってるな。


 弥生ちゃんやふみちゃんもどこかに一緒に出かけたいと言いそうだし。


 うれしいことではあるが今年の夏は大変なことにもなりそうだ。


予定


今週末日曜:ふみちゃんと買い物デート


来週土曜:ふみちゃんの学校の文化祭


6月25日:広瀬君の誕生日


7月10日:東雲さん誕生日


8月のお盆:白檮山かしやまさんとコミケ1日目2日目に参加


未定:新發田しばたさんと小規模同人イベントに参加


未定:西海枝さいかちさんとホタル観賞


未定:九重ここのえさんと山でキャンプ

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