第100話 昼食と球技大会当日第三試合目
さて、第二試合はだいぶ苦労したが、何とか勝つことが出来た。
「はあ、ずいぶんきつかったな」
俺の言葉に広瀬君が頷いて言った。
「確かに僕のスパイクは殆どシャットアウトされてしまっていたからね。
まあ、ブロックアウト戦術が上手くいったから、なんとかなったけど」
「広瀬君は器用だよね」
俺がそういうと彼は苦笑しながら言った。
「君の方がよほど器用だと僕は思うけどね」
「そうかな?」
俺がその言葉に首をかしげると広瀬君は言った。
「まあ、君の器用さは対人関係や勉強とかが突出してるからね。
音楽関係や運動関係も実は下手に見せてるだけじゃないかって思ってたけど」
「まさか、歌や運動は本当に得意じゃないさ」
そう言われて俺はふと思い出した。
「ああ、そういえばもう少ししたら広瀬君の誕生日だっけ?
たしか6月25日だったよな」
「君は本当そういうことを良く覚えてるね」
「まあ、広瀬君は俺の数少ない男友達だしな。
せっかくなら仲のいい友達の誕生日とか祝ってみたいじゃん?」
「まあ、君の場合は特に驚く要素でもないけど、そういう所が本当器用だよねって思うよ」
そう言ってくくっと広瀬君は笑った。
「んー。
まあ、そうなのかもな。
それはともかくいったん解散して昼飯と昼休み休憩をしっかり取っておこうぜ」
「そうだね」
ほかのみんなも頷いたのでここでいったんバレボールチームは解散。
「秦君、一緒にご飯食べませんか?」
そう声をかけてくれたのは
「あ、うん、それは助かるよ」
というわけで俺たちは手を洗ってから中庭のベンチに移動。
今日の弁当はおにぎり二個に沢庵だった。
因みに
「サンドイッチとおにぎりどっちにしょうかちょっと迷ったんですけど、今日は運動しっぱなしだから少し塩が強い方が良いかなって思っておにぎりにしました」
「なるほど、それでおにぎりなんだね。
早速食べていいかな?」
「はい、どうぞ」
「じゃあ、早速いただきます」
とおにぎりを一つ掴んで口に入れる。
「うん、塩味がしっかりきいてて美味しい。
鮭のおにぎりはやっぱり王道だよね」
「えへへ、気に入って貰えてよかったです」
それから付け合わせの沢庵をポリポリ食べた後、もう一つおにぎりを手に取って食べる。
「こっちは梅のおにぎりだね。
うん、こっちも美味いね」
「はい、それならよかったです」
コンビニのおにぎりはかなりバリエーションはあるけど、結局は鮭とかツナマヨとか、梅、昆布、たらこや明太子といったど定番が人気なんだよな。
「運動前は糖質を中心に栄養補給して、消化の悪い脂肪や食物戦はあんまりとらない方が良いからね。
だからおにぎりと沢庵なら理想的だね」
「え、えへへ、本当はから揚げもつけようかなって思ったんですけどね。
ちょっと固くなり過ぎちゃって……」
「んー、そうすると鶏肉に下味をつけてからの漬け込み時間か揚げてるが長すぎたのかもね。
漬け込み時間長いほうが味がしみ込んでおいしくはなるけど、浸透圧の関係で水分が鶏肉から出て行ってしまうから塩梅が難しいよな」
「そうなんですよね」
「なんで唐揚げを作る時は肉に下味をつけるときに水を一緒に揉みこんでやるといいらしいよ。
あと下味をつけるために漬け込む時間も、30分くらいでも十分らしいね」
「そんな短くてもいいんですか」
「揚げ物は俺だが大好きだから、お母さんが良く作ってくれるし、もうちょっと細かく聞いてメモしてこようか?」
「あ、秦君が大丈夫でしたら、むしろ秦君のお母さまに秦君の好みのメニューを直接教えて欲しいです」
「え、あ、うーん別にそれは大丈夫だと思うけど」
「お母さまの都合がいい日がわかったら教えて下さいね」
「え、あ、うん、じゃあ聞いてみるよ」
お母さんより、世話好きないとこの大学生やお隣さんのお幼馴染とかち合ったとき大丈夫かなぁという気もしないでもないが……まあ、二人にもちゃんと話せば大丈夫、だよな?
そしてそんな感じで他愛もない話をしながら休憩を取って、第三試合に臨んだ。
「くっ、実力が違い過ぎる」
基本的なオープンスパイクしか打てないこっちに対して、相手はクイックやブロードと言った、低くて速いトスに合わせたスパイクをバシバシうってくるために、こちらのブロックもレシーブも間に合わず、ほぼ一方的に負けてしまった。
「ああ、くそ。
手も足も出なかったな」
まあ、2年間みっちり部活で連携も加えて練習をしてきたんだろう相手にちょっと練習しただけの俺たちが勝てると思う方が無理があるんだけどな。
スポーツは身長などの適性もあるが練習量の差が実力に大きく反映されるものだから。
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