第99話 球技大会当日第ニ試合目

 さて、九重ここのえさんと西海枝さいかちさんたちのテニスの試合も終わって、そこそこ話もしたので、そろそろ体育館に戻らないとな。


「じゃあ、俺たちは次の試合があるし、そろそろ体育館に戻るよ」


「ハーイ、ワカリマシタヨ」


 九重ここのえさんがにこやかにそういうと。西海枝さいかちさんも言った。


「次の試合頑張って下さいね・

 ああ、こちらは次の試合までは少し時間が有りますから応援しに行きますよ」


「ナラ、私も一緒にイキマスヨ」


「あ、それなら余計に頑張らないとな」


 そして東雲しののめさんがにやにやしながら言った。


「まあ、女の子が見てる前で格好悪い所は見せられないよねぇ」


 おれはそれに対して苦笑しかできない。


「そーやってプレッシャーかけるのは辞めれ」


 まあ、九重ここのえさんと西海枝さいかちさんたちがせっかく応援してくれるっていうんだから、格好悪い所は見せたくはないけどな。


 次の対戦相手は1回戦シードの3年生クラス。


 そして俺たちのバレーボールチームは輪になって話しをしていた。


 今回も率先して声を上げてるのは東雲しののめさんだ。


「さて、一回戦より大きな人がいるけど、落ち着いてみんなでがんばるっしょ」


 俺はこくりとうなずく。


「そうだな、まあ、シードになるってことはそれだけ実力が高い可能性は高いけど、せっかくだし勝利を目指して頑張ろうぜ」


 南木なみきさんも今回は落ち着いている。


「が、がんばりましょう」


 そんな感じで球技大会の第二試合試合が始まった。


 今回は相手のサーブで始まる。


 身長が高めの女生徒がボールを高く上げ、ジャンプフローターサーブを勢い良く打ってきた。


「いくわよ、それ!」”ボムッツ”


 ボールを打つ打点が高くなるジャンプフローターサーブは、アンダーハンドサーブと比べればスピードと威力が段違いに上だが、だからといって落ち着いて対応すればひろえなぃわけではない。


「はたぴっぴ!

 行ったよ!」


 東雲しののめさんの指示に俺は頷いてボールの落下点へと移動する。


「任せろ!」


 そう言って俺はボールの落下点に飛びこんでレシーブをなんとかあげた。


「ナイスレシーブ!」


 そういう東雲しののめさんは広瀬君へとトスアップをした。


「はっ!」


 広瀬君のスパイクは正面にいた男子生徒に綺麗にブロックされたが、それを南木なみきさんが拾い上げ、東雲しののめさんは今度は剛力君へボールをトスアップし、それを剛力君がスパイクして相手コートへボールをたたき込んだ。


「ナイスキー!」


 おれは剛力君に掛け声をかけ、ハイタッチ交わした。


 広瀬君のスパイクは正面にいた男子生徒はほぼブロックを成功させてしまい、かなり苦労した。


「広瀬君についてるブロッカーはかなりブロックが上手いし、もしかたしら、バレー部のレギュラーポジとかかもなぁ。

 ミドルブロッカーってやつかな?」


 ミドルブロッカーはブロックをプレイの中心にするポジションで、レシーブ専門のリベロとともに守備の要となるポジション。


「力づくとかでブロックを抜くのは難しいと思うから、相手ブロッカーの指先を狙ってブロックアウトを狙ってみたらどうかな?」


 俺が広瀬君にそういうと彼は苦笑してみせた。


「簡単に言うね。

 まあ、ねらってみるよ」


 そして西海枝さいかちさんの応援が聞こえた。


「頑張って下さい!

 相手も疲れてますよ」


 続けて九重ここのえさんの声も聞こえてきた。


「ファイトデスヨー」


 一回戦に比べるとだいぶ苦戦したが、とにかくあきらめずにボールを拾い続ける事で、なんとかニ回戦も無事勝利した。


 東雲しののめさんが率先して声を上げる。


「やたー、ニ回戦も突破だよ!」


「それにしても広瀬君は頼りになるな」


 俺がそういうと彼は苦笑して答えて。


「まあ、女の子の応援をうけてるのに。無様な負けの光景は見せたく無いしね」


「まあ、それはそうだよな」


 まあ、俺は得点を決める方では大して役に立てなかったが、何とか勝てて良かったぜ。

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