第96話 球技大会当日第一試合目
さて、前日の放課後にスパイクレシーブの練習までなんとかこぎつけたことで、それなりの自信をつけて迎えた球技大会の当日。
6月も半ばを過ぎればもう梅雨の季節ではあるが、今日は空はからっと晴れた晴天で、絶好の球技大会日和だった。
まあ、バレーボールは体育館で行うので雨でも問題はなかったりするが。
しかし、テニスやサッカーなどの試合には若干影響を与えそうな横風が吹いているようだ。
まあ、球技大会自体、クラスメイトとの親睦を深めつつ、他のクラスの生徒との間の交流も図ることで、よりよい人間関係を築くことが目的だが、球技というスポーツを通して勝利を目指して精いっぱい頑張ることも大切という建前らしい。
まあ、うちの学校は音楽系文化部のほうが運動系部活動より立場が強いという変わった学校でもあるが、郊外オリエンテーションや中間テストなどを通じてクラスメイトとの距離を詰めることができなかったとしても、集団で行う球技を通じて仲良くなれるならそれに越したことはないからな。
とはいえ、あんまり勝敗にこだわりすぎても、チームに亀裂が入ったりするかもしれないから、ある程度はうまくできるようにはしたほうがいいとは思うし中々難しいところではある。
うちの学校は1学年8クラスで1年から3年までまとめて試合をするので全部で24チームのトーナメント戦。
3年生クラスは1回戦シードで、1年生や2年生は5回勝ち抜けば優勝という形になる。
そして俺たちのバレーボールチームは輪になって話しをしていた。
率先して声を上げてるのは
「さて、昨日までの頑張りを無為にしないためにも、みんなでがんばるっしょ」
俺はこくりとうなずく。
「そうだな、せっかくみんなで一生懸命練習したんだし勝利を目指して頑張ろうぜ」
しかし、
「私、き、緊張してきちゃいました」
そんな
「大丈夫だよ。
もうここまできたら昨日までやった練習を思い出してやるべきことをするだけだし、
それに、多少失敗してもだれも責めたりしないからさ。
まあ、俺も上手く出来るか正直心配だけど、もう開き直って楽しめるようにするしかないしな」
俺の言葉に
「そ、そうですよね」
「まあ、試合とかで緊張するのは普通だし まずはゆっくりと大きく深呼吸をしてみたら少しは良くなるんじゃないかな?」
「深呼吸ですか?」
「うん、深呼吸は単純だけど有効な緊張緩和のテクニックだから」
「わ、わかりました」
素直にすーはーと深呼吸をする
「あ、少し落ち着いた気がします」
「ん、それならよかった」
そんな感じで球技大会の試合が始まった。
そして最初から俺のサーブで始まるのはちょっと予定外だ。
まあ、アンダーハンドサーブであれば、一発で相手コートへサーブを入れる自信はあるしなんとかなるだろうい。
「おーし、サーブいくぞー」
ボールを前へ落とすようにトスアップしボールを相手コートへ向かって手で打ち上げる。
「そーれ!」”ボムッツ”
狙いは相手後衛の俺から見て右側と真ん中の選手の間だ。
そして狙った所へボールは飛んでいく。
アンダーハンドサーブなので勢いはないが、比較的細かいコントロールが効き、いい感じで相手コートの選手の間に落ちていったボールとお互いを見ていた選手同士がとるのを譲り合って、その結果として誰もボールに触れることなくボールは相手コートに落ちた。
「お、サービスエースだな、ラッキー」
そしてもう一度俺のサーブで、今度は俺から見て左側と真ん中の選手の間を狙ったが、さすがに今度は譲り合いをすることもなく、普通にレシーブでボールは拾われた。
そしてトスアップされたボールを相手がスパイクするが、広瀬君がピシャっとキルブロックして相手コートへボールを2点目だ。
「広瀬君、ナイスブロック!」
俺は右手で広瀬君にハイタッチをると広瀬君もニッと笑った。
「まあ、たまには僕も周りにいいところを見せたいからね」
そしてまた俺のサーブからだが、今度の相手のアタックボールは、俺と南木さんの間に飛んできた。
セッターの位置にいる
「秦ぴっぴ、いったよ!」
「了解!」
そう言って俺はボールの落下点に飛びこんでレシーブをなんとかあげた。
「ナイスレシーブ!」
そういう
「えい!」
剛力君のスパイクはブロックされたが、それを
なんだかんだで俺たちのチームは練習の成果もあってか連携もうまく取れており、お見合いでボールを落としたり。逆にお互いにボールを拾おうとしてしてぶつかるようなこともないまま一回戦は無事勝利した。
「やたー、一回戦突破だよ!」
何時もの事だが
「よっしゃー」
みんなでハイタッチして一回戦突破を喜ぶ。
次の試合まではまだ時間が有るし、休憩を取りながらテニスの試合をしているはずの
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