第95話 スパイクレシーブも出来るようになっておけばまあ大丈夫だろう
さて、今日の放課後は球技大会前の最後の練習の機会だ。
昼休みに集まったメンバーで体育館のバレーコートを使って仕上げをしないとな。
「レセプションと呼ばれるサーブレシーブについては、今までの練習で多分なんとかなると思うけど、ディグと呼ばれるスパイクに対するレシーブも出来るようになっておかないとな」
俺がそういうと広瀬君が頷いた。
「たしかにそうだね。
こちらからサーブを開始する場合は、相手がレシーブからつないでスパイク迄できるのが普通だろうから、相手のスパイクを拾わないといけないわけだし」
そして
「たしかにそうだね。
サーブレシーブとスパイクレシーブは全然違うし」
「じゃあ、最後はスパイクレシーブの練習でいこう。
レシーバー3人に声掛け要員のセッター役一人の4人と、トスアップ要員一人とスパイカー1人に分かれるのが良いかな?」
俺がそういうと
「私はそれでいいと思うわよ」
そして
「私も、それでいいと思います」
剛力君もこくっと頷いてくれたので問題はなさそうだ。
「できれば強いスパイクを受けた方が練習になるだろうし、俺はレシーバーを重点的に練習したいから、スパイカーは広瀬君にやってもらえるかな?」
俺がそういうと広瀬君はふふっと笑った。
「ああ、僕はそれで構わないよ」
そして
「んじゃ、あたしは最初にボール上げる役でいくねー」
そして
「わ、私はレシーバー頑張ります」
「じゃあ、私もレシーバーに入るわ」
「じゃあ僕はセッターですね」
と、剛力君がセッター兼声掛けを引きうけてくれたので、ポジションは決まった。
「ん、じゃさっそくいくよー」
打たれたボールは俺のすこし右へとんでくる。
「秦君!」
剛力君の支持とともに俺は落ちてくるボールの落下点へ。
「おーらい!」
さっと腕を伸ばしてボールを剛力君の場所へ上げようとするものの……
“バシ”
「あいた!」
ボールの勢いを上手く受け止められずに、腕から跳ね返ったバレーボールは俺の顔面を直撃し、コートを転々と転がっていった。
「おー、いたたた。
やっぱサーブレシーブとスパイクレシーブはちょっと違うんだな」
それを聞いた広瀬君が笑っていう。
「もうちょっとアゴを引いて、レシーブの瞬間に両ヒジをしぼって球威を弱める事に集中した方が良いね。
アゴが上がっていると、ボールが手に正確に当たらなくなるからね」
「なるほど、アゴを引く…か、了解。
もう一本たのむ」
「あいよ」
もう一度
しかし、今度は俺のボールじゃないな。
「
「は、はい!」
しかしボールについて行けず、ボールは
「す、すみません」
ちょっとしょげてる感じの
「どんまい、どんまい。
最初から上手くいかないのはしょうがないよ」
そして
「二人とも全くしょうがないわね。
私がお手本を見せてあげるからよく見ておきなさい」
「お、おう」
「は、はい」
俺と
「おお、ナイスレシーブ」
「す、すごいです」
俺と
「まあ、こんな感じね。
スパイクレシーブの時はボールが手に当たった瞬間に絶対に手を振りあげないこと、あと膝を使ってあげようとする必要もないわよ・。
腰を落とし、しっかりとボールを見て、ひじを絞って受けることで、球威を落として自コート内にボールを上げる事ね」
「なんとなくわかったような、わからんような……でも、参考にはなったよ」
その後も俺や
「なかなか上手く出来なくてちょっと焦ったけども、なんとかなりそうだな」
俺がそういうとほっとしたように
「本当ですね。
これで皆さんの足を引っ張らないで済みそうです」
そして
「じゃあ、明日はみんなでがんばろーね」
俺は頷く。
「おう、みんなで球技大会楽しめるよう頑張ろう」
まあ、事前にやれることはやったと思うし、あとは明日の本番で全力を尽くすだけだな。
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