第82話 バレーボールに対しては風俗店員の経験が役に立たないか

 さて、球技大会に向けてのメンバーも決まったので、そのメンバーで軽く練習をすることにする。


 バレーボールってちゃんとしたコートやネットがないとやはり練習しづらい所はあるからな。


「じゃ、みんなで練習頑張ろうぜ」


 俺がそういうと東雲しののめさんがにぱっと笑って言う。


「おっけー、私に任せておいてよ」


東雲しののめさんは体を動かすの結構得意?」


「まーね」


 まあ、なんというか東雲しののめさんらしいといえばらしいよな。


 そんな感じで体育館のバレーボールのコートやバレーボールを借りる日を予約して、3組2人ずつで分かれて練習することにした。


 体操服にジャージを羽織ってみんなで集まったら俺が皆に声をかける。


「さて、まずは準備体操と軽くストレッチからやってボールを使った練習をやろうぜ」


 中学のときの昼休みにもバレーボールをやっていたが、あんときはネットを張ったり、かたづけたりに忙しくて、準備体操なんかしなかったっけ。


 準備体操のあと軽くランニングをして体を温めてから、二人組でボールのパスから始めた。


 ちなみに俺は南木なみきさんとコンビだ。


南木なみきさん行くよー」


「はい、どうぞー」


 パスはバレーボールでもっとも初歩的なプレーで、両手の親指と人差し指を使って三角形を作り、味方にボールを渡すための動作。


 サーブ、レシーブ、トス、アタックなどの、ほかの動作よりも難易度は低い。


 だが、試合中も頻繁に使う動作でもあるしこれがちゃんとできればほかにも応用が利く。


「よっと」


 俺が南木なみきさんへバレーボールを投げ、南木なみきさんがパスで返そうとするのだが……。


「えい」


 俺へボールが戻ってくるのだがだいぶずれている。


「んお?」


 初めは、ボールの正面に入って、正確なフォームでパスを返そうとするが……。


「あ」


 パスを返そうとしたが、しあさっての方向へボールがいってしまった。


「ご、ごめん」


「こっちこそごめんなさい」


 うーむ、社会人になった後はボーリングやカラオケはそこそこやったが、バレーボールなんてやらなかったし、すっかり体の動かし方は忘れてる感じだな。


 しばらくしてようやくい互いにパスを返せるようになったので、サーブとレシーブの練習に移る。


 まず俺はサーブで、南木さんへ向けてボールを打つのだが……。


 サーブがネットに引っかかったり、逆に大きく後ろに飛んで行ったりしてうまく入らなかったりしてなかなかうまくつながらない。


「うーむ、バレーのサーブってこんなに入れづらかったっけ」


 俺が首をかしげていると南木なみきさんも苦笑して言う。


「うーん、結構難しいものですね」


 二人で首をかしげていると東雲しののめさんが声をかけてきた


「おーい、そこのへたっぴコンビー」


「んお、事実だけに言い返せないのがつらい」


「そろそろ終わりの時間だって」


「あー、そんな時間か」


 夢中で練習していたらあっという間に時間が過ぎていたらしい。


 それにしても思っていたよりも随分とへたくそになっていたし、これはちょっと、本格的に特訓しないとまずいかもしれないな。

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