第63話 新發田さんが銃剣乱舞をやってみたいというのでスマホ版をダウンロードしてあげたよ

 さて、バイト先のパティスリーでやっていた、白檮山かしやまさんとのBL話は、新發田しばたさんが俺たち二人を呼びに来たことで中断。


俺たちはホールに急いで戻って、素知らぬ顔で接客をこなす。


 こうして普通にバイトをしている所だけ見ていると、白檮山かしやまさんが薄い本スマートホンの沼に頭までどっぷりと浸かっている腐女子だということは全然わからんけど……な。


 まあ、イベントなんかに参加するアクティブ腐女子、は意外とそれとはわからなかったりするんだけども、基本的には余所行きの社交性仮面ペルソナをかぶるのは女の子の方がうまいものだ。


 結局その後はなんだかんだとお客さんがひっきりなしに来てバタバタしていたので、そのまま上がりの時間になってしまった。


 王生いくるみさんが俺たちに声をかける。


「では、秦君と新發田しばたさんは、今日はこれで上がってください。

 秦君は明日はまた7時からでいいですか?」


「ええ、それでいいです」


「では秦君の上りは13時にして、新發田しばたさんは13時に出勤で19時まででお願いします」


「了解です」


 俺がそう答えると、新發田しばたさんもうなずいた。


「わかりました」


 そして俺たちは着替えてパティスリーを後にした。


「あの、秦君、よければ教えてほしいことがあるのですが」


 新發田しばたさんがそう声をかけてきたので、俺は首をかしげながら答えた。


「ん、なんだろう?」


「私も銃剣乱舞というゲームをやってみたいのですけども、パソコンがないとできないのでしょうか?」


「いや、銃剣乱舞-ONLINE- Pocketっているスマホ版もあるからスマホがあればできるよ」


「あ、そうなんですね?

 それならよかったです」


「うん、何なら今ゲームのインストールだけでもしてみる?」


「はい、お願いします。

 私こういったゲームってやったことなかったので」


 と、あっさりスマホを俺に渡してくる新發田しばたさん。


 少し無警戒すぎる気がするんだけど……とりあえず検索からダウンロードページに行き銃剣乱舞-ONLINE- Pocketをダウンロード。


 ダウンロードが終わればタイトル画面に行くのでスタートして、まずはチュートリアルからスタートだな。


「はい、チュートリアル画面まで行ったから チュートリアルで手に入る最初の銃剣男士を選んでみて」


「あ、はい……」


と言いながら 新發田しばたさんは真剣に画面を見て誰にするのか見比べていた。


「これなら蜂須賀虎徹ですね」


「蜂須賀虎徹か……。

 新發田しばたさん、意外と派手なイケメンが好きなの?」


「あ、はい、そうかもです」


「じゃあ、あとはチュートリアルの指示に沿って、ゲームを進めてみるといいよ」


「どうやればいいのかとか、秦君は教えてくれないのですか?」


「あ、うん、ゲームはね。

 知っている人間に効率がいいやり方を聞いてその通りにやるより、自分でいろいろ試してみたほうが楽しいからね。

 後から考えると無駄なことに思えることがあっても、好きなように遊ぶことこそが楽しさにつながるんだと俺は思うよ」


「なるほど、じゃあ、私なりにやってみます」


「うん、全然進めないとかがあったらSNSのメッセージをくれればアドバイスはするけどね。

 全然進めないのもつまらないだろうし」


「あ、はい。

 その時はお願いしますね」


 とそんな感じで俺たちは駅で別れた。


 新發田しばたさんが銃剣乱舞にはまるかどうかはわからないけど、結構はまり込みそうな気はするな。


 特に今までソシャゲをやったことがないならなおさらな気がする。

 

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