第54話 今回の勉強会はみんなで数学をやるか

 さて、あの後は普通に授業を受け、火曜日の放課後だ。


「さて、みんなで勉強会をするために、家庭科実習室に行くか」


 俺がそう声をかけるとみんなはうなずいたので、ぞろぞろ連れ立って家庭科準備室へ移動。


 そして移動しながら皆に声をかける。


「顔出しが可能ならみんなに動画に出演をお願いしたい所なのだけど、今は例の脅迫状もあるから、中垣内なかがいとさんと南木なみきさん以外は、声だけ出演をお願いしたいけど平気かな?」


 俺がそういうとまず西梅枝さいかちさんがうなずいてくれた。


「はい、私は大丈夫です」


 そして、東雲しののめさんもうなずく。


「あたしもとりあえず声だけなら大丈夫っしょ」


 新發田しばたさんもうなずいた。


「わかりました。

 私もとりあえず声だけなら平気です」


 そして、剛力ごうりきくんもうなずいた。


「僕も大丈夫だよ」


 みんなが同意してくれたので、俺はうなずいて話を進める。


「んじゃ、みんなのハンネをそれぞれ決めようか。

 ああ、ハンネっていうのは、ハンドルネームでネット上で使う仮の名前だよ。

 西梅枝さいかちさんは……さっちんでどうだろ?」


 俺がそういうと西梅枝さいかちさんはちょっとだけ考えた後でうなずいた。


「なんか安直な気もしますけど、ありがちな愛称であれば、逆に本名がわかりずらくてよさそうですね」


「んじゃ、西梅枝さいかちさんは……さっちんっと。

 東雲しののめさんは、のびすけでどうだ?」


 俺がそういうと東雲しののめさんはブーブー文句を言う。


「な・あ・ん・で・よー。

 かわいくなーい、却下!」


「じゃあ、しーぽんならどうだろう?」


「んー、さっきよりはいいけど、なんで、しーぽん?」


 俺は苦笑しつつ答える。


「なんとなく、東雲しののめさん、ってさ。

 ぽんぽこ跳ね回ってるイメージがあるから」


「むむー、まあそれでいいけど」


「別に悪い意味で言ってるわけでもないんだけどな。

 新發田しばたさんは……バッグちゃんでどう?」


「君は勉強が得意なフレンズなんだね。

 ですか?」


「そうそう」


「なんだかんだで、結構はやりましたしね、このフレーズ」


「剛力君はむごっち、かな」


「いいのかなあぁ……それ」


「たぶん、大丈夫じゃないかな?」


「僕はそれで、いいですけどね」


「よし、じゃあ始めるか。

 さてさて、童貞のケンジと」


「処女のオトメのコンビにくわえて」


「若葉マークの新人ワカバに」


「さっちん、しーぽん、バッグちゃん、むごっちの4人の新メンバーを加えた。

 グダグダ高校デビューチャンネルー。

 さて、中間テスト対策の勉強方法について。

 今回は数学編だ。

 といっても、新メンバーのさっちん&しーぽんには、別の曜日に別の場所で教えてたんだけどな」


「はーい、しーぽんだよー。

 ケンジのおかげで中学レベルまでの問題は完璧になったっしょ」


「初めまして、さっちんです」


「あ、は、、はじめまして。

 バッグちゃんです」


「最後ですが、むごっちです」


そして西梅枝さいかちさんが説明口調で言った。


「数学の復習は授業当日の24時間以内に10分間、週末の空いた時間に5分間、定期テスト前の期間に2~4分間の最低3回復習すると忘れないということでしたよね」


それに対し俺はコクコクうなずきながら言う・


「そうそう、国語の漢字や英語の単語もそうだけど、数学における基本的な数式も3回復習を繰り返すと、忘れなくなるようなんだ。

 そしてさっちんとしーぽんの二人には前にも言ったけど数学は、暗記よりも公式なんかを理解して解く問題の割合が多いから、覚えることが少ない代わりに、一つ覚え損なうと、その後、全部理解できなくなったりする。

 なのでまずは中学生や小学生レベルのものでも、わからなかったら恥ずかしいと思わないで、きちんと理解して解けるようにするのが大事なのさ」


 俺がそういうと東雲しののめさんがうなずいた。


「うん、あたしもそれはよくわかったよ」


そして新發田しばたさんは感心したように言った。


「へえ。そうなんですね」


「うん、そうなんだ・

 なんで細かく復習をするのは大事・

 じゃ、まあ、教科書問題の数式展開・因数分解・平方根の計算をみんなやってみようか」


 という訳で教科書の問題をみんなに解いてもらうことにした。


「うーんうーん、因数分解は確か”たすきがけ”だっけ」


 東雲しののめさんがうんうんうなってるが他のメンバーは大丈夫みたいだ。


「そうそう、落ち着いてやれば大丈夫だぞ」


「ここをこーして、あれ?

 あ、ここがこうかな、よしできた!」


「うんうん、ちゃんと高1レベルの数式計算ができるようになったようで、俺はうれしいよしーぽん」


「いやあ、やればできるもんだねぇ」


 そういう東雲しののめさんを温かい目で見守るみんな。


「言っておくけどしーぽんの戦いは、まだ始まったばかりだからね?」


俺がそういうと東雲しののめさんは少し膨れながら言った・


「うー、わかってるてば」


「まあ、こんな感じで数学は基礎的な「積み上げ型」の教科だから、わからなければ中学校までの定理や公式、解法を恥ずかしがらずに、再度理解するために小学校や中学校の問題から覚えなおしてから高校の数学Ⅰに取り掛かるのが大事だ。

 わからないことはすぐに何がわからないのかを確認し、問題集などを解けるか確認していくのが大事だぞ。

 今日はこんな所で終わりだ」


 そこへ東雲しののめさんが言う。


「わからない事はわからないままにしないのが、大事だってことだね」


「そうそう、わからないことは恥ずかしいことじゃない。

 わからないままにしておく方が、後でテストが戻ってきたときの点数で、恥ずかしいことになるってことさ」


「みんな、またねー」


 という感じで、今回は数学の勉強方法について、役に立ちそうなアドバイスの動画を撮った。


 そしてこの動画は再生回数が50万を超えて、チャンネル登録も5万人を突破してしまったのだ。


 個性の強いメンバーが増え、特に今回は東雲さんがああでもない、こうでもないとやっていたのがよかったのかもな。


そのころの匿名掲示板


 ------掲示板の反応------


[完全に]ケンジのハーレムちゃんねるについて語るスレ[美少女ハーレム?]


 1:名前:名無しのお兄ちゃん

 ここは自称高校デビュー、ユアチューバーのケンジのハーレムチャンネルについて語るスレです。

 現状は他のユアチューバーについての話題を出さないようにお願いします。


 2:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>1

 スレ立て乙


 3:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>1

 スレ立て乙

 しかし、さらに新メンバーでしかも4人かよ。

 顔出ししてないからわからないけど、みんな可愛いんだろうな


 4:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>3

 本当にケンジって童貞なのか? ぜってえヤリチンだろ。

 それはともかくしーぽん可愛いな


 5:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>4

 新メンバーの中でもしーぽんは今回目立っていたな。

 ちょっとあほの子っぽいのがいい。


 6:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>4

 ああ、確かにケンジはヤリチンだとおもうぞ。

 メンバーも毒牙にかかってるんか

 神よ、ケンジに天罰を!


 7:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>5

 確かに、またタイプが違うよな。

 バックちゃんはアニオタか?


 8:名前:名無しのお兄ちゃん

 >>7

 名前からするとそんな感じはするな


 9:名前:名無しのお姉ちゃん

 >>8

 まあ、そのうちほかの新メンバーもわかってくるだろ


 10:名前:名無しのお兄ちゃん

 しかし、まだまだメンバーが増えそうな気がするのは俺だけかな?


 11:名前:名無しのお姉ちゃん

 >>10

 俺もだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る