第8話 無事4人で班を編成できたし当日のための段取りをつけとくか

 さて、学校の中の教室などの施設を見回って校内の新入生オリエンテーションをこなしたのちには、土日を挟んで来週月曜の校外オリエンテーションの班分けがあり、希望者は好きな奴と組めるが、残りは適当に4人組にされていった。


 まあ俺たちは俺、西梅枝さいかちさん、広瀬君、東雲しののめさんの4人で無事組めたけどな。


 見てみても男女混合の班はあんまりなくて、男同士や女同士の班のほうがやはり多い。


 ぽつぽつ男女混合の班があるが自主的に組んだ班と強制的に組まされた班ではだいぶ雰囲気が違うな。


 前者は和気あいあいとしてるけど、後者は何かぎくしゃくしてる。


 それはともかく当日の為に段取りを組んでいくとするか。


 やっぱり楽しい雰囲気で過ごせるようにしたいからな。


 ”前”ではクリスマスイブにTDSトウキョウディスティーシードでデートしたことがあったけど寒いのに会話も弾まなくて雰囲気最悪だった。


 ぶっちゃけ真冬や真夏にディスティニーデートなんてやるもんじゃないね。


 段取りを組むために必要な情報を得ておくのも大事だ。


 それからオリエンテーションなので、各班は好きなテーマゾーンにて記念撮影してそれを提出することが必要だ。


「んじゃ、まず決めよう。

 俺たちの班はどこのテーマゾーンで記念撮影する?」


 俺は3人に聞いてみる。


 そして西梅枝さいかちさんは、


「ファンタジーゾーンがいいです!」


 といい、東雲しののめさんも、


「やっぱファンタジーゾーンっしょ?」


 と有無を言わせず言う。


 んで広瀬君はといえば、


「僕はどこでもいいよ?」


 と多分空気を読んだんだろうな。


「まあファンタジーゾーンは一番夢の国っぽい場所でもあるしいいんじゃないかな?」


 ということで俺が意見を出すまでもなく、多数決で記念撮影はファンタジーゾーンに決定した。


 ワールドバザールゾーンなら速攻で目的クリアできるんだけど、まあちょっと苦労するのもいい経験になるかもしれない。


「んじゃ次に、各自がこれに絶対乗りたいっていうアトラクションを一つずつ挙げてこうか。

 時間的には4つなら人気のアトラクションでも十分回れると思う。

 あと絶叫系とか水面系がだめとかあったらそれも言ってくれな?」


 誰かが高所恐怖症や水面恐怖症とかの可能性も考えておいた方がいいからな。


 まず手を挙げたのは東雲しののめさん。


「やっぱ、スプラッシュ・コースターは外せないっしょ?。

 ちなみに絶叫も水面もどっちもokだよー」


「まあ人気ナンバーワンアトラクションだしな。

 ただ今の季節だとちょっと冷たいかもな、水が」


「そういうふうに下がること言わないー」


 次は西梅枝さいかちさんだが、


「私はミッギーの家がいいです。

 私も絶叫も水面も特に問題はないですね」


「ああ、それも人気らしいよな」


 男でも楽しめるかどうかは微妙な気もするが女の子は大体好きだろう。


 二人のアトラクション選択の違いが、それぞれの性格を表してるようで実に面白い。


 そして広瀬君だけど、


「僕はホーンテッドハウスがいいな。 

 絶叫系も水面系も特に問題はないよ」


「了解。

 広瀬君はなかなか渋いところついてくるねぇ」


 そして最後に俺。


「んで、俺としてはカリブ海の海賊がいいんだけどどうかな?

 混雑状況によるけど平日なら10分ちょっとで乗れるみたいだけど、結構楽しいと思うんだあれ。

 水面系と絶叫系のどっちも楽しめるし」


「ならそれもいいんじゃーん?」


「待ち時間があまり長くないのに楽しいならとてもいいと思います」


「僕も特に問題はないと思うよ?」


 ということで乗りたいアトラクションも決まった。


「それから4月上旬だとまだまだ寒い状態でアトラクション待ちをしないといけないはずだから、各自でしっかり防寒対策はしておいた方がいいと思う。

 だから冬用コートにマフラーや手袋、使い捨てカイロもいくつかあった方がいいかもしれない。

 タンスにしまってるなら出してきた方がいいと思うよ」


 俺がそういうと西梅枝さいかちさんが感心したようにうなずいた。


「確かに何もない外でアトラクションに乗れるまで何時間も待つのって寒そうですよね」


「まあ間違いなく寒いし、女の子はスカートだから余計に寒く感じると思う。

 パンツスタイルがOKだったらまた違うんだけどね。

 最悪は園内でパーカーとかを買うって方法もあると思うけど高くつくだろうし最初から用意しておくに越したことはないかな?」


 そう俺が言ったら東雲しののめさんが首を傾げた。


「記念品として買っていくにはいいんじゃん?」


「まあ記念品としてはありかもな。

 でも園外で着れるようなデザインじゃないと思うけど」


「それもそっかー」


「あとはバスの中での暇つぶし用にトランプとウノを持って行った方がいいと思うけどこれは俺が用意する?

 誰か持ってるならそれを使ってもいいと思うけど」


 これに対してはまず西梅枝さいかちさんが済まなそうに言う。


「ごめんなさい、私は持ってないです」


 そして東雲しののめさんもてへぺろという感じで言う。


「うちのどっかにはあると思うけど、正直どこにあるかわかんないなー」


 そして広瀬君も、


「あると思って家に帰ったらないってこともありそうだし、秦君に買ってきてもらえると助かるかな?」


「了解、じゃあ最後にだけど、念のためみんなと連絡取れるようにSNSのIDを交換してグループ登録もしておこうか。

 それはちょっとっていうなら無理にとは言わないけどね」


 俺がそういうと東雲しののめさんは明るく言う。


「あたしは全然いいよー」


あっけらかんという彼女にかすかに苦笑するがそういう風に言ってくれるのは助かることでもある。


「まあ、そんな気はしてたよ」


「別に嫌がることないしー?」


 そして広瀬君も言う。


「じゃあ僕もID交換しておくね」


「ん、了解」


 西梅枝さいかちさんは、スマホを手にちょっとためらっていたけどやがて意を決したように言った。


「じゃ、じゃあ私もやります」


「いや、西梅枝さいかちさん?

 そんなに気負わなくても大丈夫だからね?」


「そんなこと言われても……やっぱり男の子とこういうことするなんて初めてですし緊張しますよ」


 西梅枝さいかちさんがそういうと東雲しののめさんがニカっと笑って言う。


「ほら、秦ぴっぴ天然タラシだからーあっちは緊張なんてしないしー」


 そして西梅枝さいかちさんはちょっと膨れて言った。


「本当ですよね!」


 あれ、なんか俺悪いことしたか?


 まあこれで連絡は取りやすくなったし問題はないよな。

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