086 それぞれの結果
「くそー、覚えてやがれ!こんな田舎村、俺からやめてやる!」
(おじさんの悪意のこもった血走った眼差しが継母のそれとダブって見えた俺だった)
養豚場でブッヒーを虐めていたおじさんはその後直ぐに解雇されたそうだ。
なんでも仕事をせずに遊んでばかりいるのをみんなに見られていたという。
一発解雇。
この世界では予告もなく「はいキミ明日から来なくていいよ」というのが普通に通るのだ。
いずれにせよ、今回のことはいろいろ考えさせられた。
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「シスター、こんなときはどちらが正しいの?どうするのが良いんだっけ?」
雨の日はシスターナターシャから座学を教えてもらっている。
ブッヒーの事件から、俺は領経営についてのあれこれも学び始めた。
これからは司法面、行政面、立法面各方面の正しい考え方も学んでいかねばならないと思う。
そうした領経営の在り方をシスターナターシャから学んでいるが、同様に俺は、サンデー商会のサンデーさんやミカサ商会長の話を無性に聞きたくなった。
とくに若い経営者のサンデーさんに、経済面でのデニーホッパー村の将来のありようを聞きたかった。
村の共有資産として動き始めたばかりのカウカウの牧場やブッヒーの養豚場、コッケーの養鶏場。
それらはみんなが楽に生活できたらいいなという、安易と言えば安易な俺の考えから始まった。
幸い、カウカウもブッヒーも順調に飼育できている。コッケーなんかはさらに順調そのものだ。
これら家畜の飼育。後付けで言えば、デニーホッパー村のみんなが将来的にも共に栄えていきたいとする考えから始まったのだ。
みんなが参加して、その結果として成功できたらいい。
だけど成功するとは限らない。
成功したら成功したでどう分配すればいいんだろう。逆にしなかったら‥。
もしまたブーヒーを虐めたおじさんみたいに悪い人やズルをする人、サボる人が出たらどうするのか。誰からみてもわかる規範や規約が有ればいいんだけど。
そんなことをサンデーさんからも聞きたかった。
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妹のスザンヌは村の学校では級長みたいな役割をしているという。何年か前の俺みたいだ。明るくて誰にでも優しいスザンヌは、誰からも好かれている。
学校のみんながスザンヌを代表として勉強も運動も遊びも団結しているのよとシスターナターシャも嬉しそうに教えてくれた。
兄として俺はスザンヌを誇りに思うし、嬉しい限りだ。
弟のヨハンも元気だ。
ちょっと前までは「あーあー」しか言えなかったのに、今ではけっこう話すようになった。おしゃべりなスザンヌと比べると、物静かだけど。
1歳となったヨハンはそこらじゅうを探検して歩いている。
家の周りはもちろん、村の中も危険な魔獣はほとんど居ない。
塀の中は、安全が保たれている。
畠にはチューラットやアルマジローはたまにいるけど。
小さな子どもも安心して遊べるのがデニーホッパー村だ。
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「アレク君、来週の休養日は居るっすかー?サンデーちゃんが来るっすよー。アレク君に会いたいって言ってるっすよー」
「本当?ぜったい居るからねー」
サンデー商会のシルカさんがうれしいことを教えてくれた。
サンデー商会のサンデーさんが村まで来てくれるという。
俺は久しぶりに会えるサンデーさんから直接話が聞きたかった。
次回 経営者 11/12 12:00更新予定です
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