055 閑話 合同ランチ会
「来週の休養日の昼、ジャンとアンナの家のみんなで俺ん家に来てくれよ。お昼にみんなでご飯を食べるから」
「「わかったー」」
俺は家族ぐるみの付き合いをしている仲良し3家の合同ランチ会を企画した。
この世界では朝夕2食が当たり前なので昼にご飯会をやるというだけでとても贅沢な気持ちになる。
ここのところ誰もがずーっと頑張ってきたから、そんな贅沢もたまにはいいだろうと思って俺はランチ会を企画したのだ。
マリア母さんも張り切ってたし、昼から酒が飲めると隣のチャンおじさんも喜んでいた。なぜかアンナのお母さんがスザンヌ並にキラキラした目で特に喜んでいたけど。
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ランチ会には土魔法で作った大きなテーブルと人数分の椅子を用意した。
飲み物。
大人用にはサンデー商会から買ったエールとワインを用意した。
お金はマリア母さんが出してくれた。
エールは俺の水魔法でキンキンに冷やしてある。これだけで格段に旨いお酒のはずだ。
「こ、これは貴族様の飲み物なのか‥」
「これもアレク君が考えたのか?」
「ち、違うよ。ほ、本に載ってたから試してみたんだよ」
「そうなのか。でも冷えたエールは最高にうまいぞ、アレク君!」
「俺、エール飲んだことないし‥」
予想通り、大人は皆大喜びしていた。
「アレク君これはすご過ぎるわよ‥」
とくにアンナのお母さんが満面の笑みで飲み続けていた。
子ども用にはこないだみんなで採ったノスグリの実をヒントにしたノスグリのジュースだ。
ノスグリの実を風魔法で濃縮、冷えた水で割り薄めた甘いグレープジュースみたいなソフトドリンクだ。
「「「アレク(お兄ちゃん)、これうまーい!」」」
マリア母さんやジャンのお母さんのようにあまりお酒が得意でない女性用には、ワインをノスグリのジュースで割ったものを用意した。
「飲みやすくておいしいわ!」
「ホントね!」
これも大好評だった。
昼間からの楽しい酒宴?大人たちが酔い潰れそうになる中、アンナのお母さんはエールや芋酒を片手に、ずーっと平然と浴びるように飲んでいた。下手すれば3家で1番お酒が強いのかもしれない。
食べもの。
メインはニャンタおじさん提供の大型魔獣のステーキだ。
サイドには俺考案のマッシュポテト。肉汁が沁みたマッシュポテトは好評だった。ほかに芋から作ったポテトフライにポテチ、芋に小麦粉を混ぜて作った芋餅と芋尽くしだ。
もちろん、シリアルバーやチューラットハンバーグ、アルマジローのツクネ串もある。
俺はシンプルに母さんが茹でてくれた芋が大好きだ。
「「「うまーい!」」」
「肉は敵なしだー!」
アンナが絶叫していた。
これらの新作料理も本から勉強したとみんなに話してある。みんな不思議がるが、誰もが納得してくれている。
うん、美味しいからなんでもいいんだよ。
▼
「「ご馳走さまーアレクばいばーい」」
「ジャンばいばーい」
「スザンヌばいばーい」
陽が翳りだすころランチ会が終わった。
本当に楽しい1日だった。家族や仲の良い仲間の笑顔にまた明日からがんばろうと思った俺だった。
「楽しかったわねー」
「本当だなー。ウップ、飲み過ぎたわー」
「お肉も最高だった!」
アンナの家族3人も笑顔で家まで帰る。
ふと、アレクの家のほうを振り返るアンナ。
ついさっきまで楽しかった空間だ。
(あれっ?なんだろう?この感じ)
アンナはアレクを想うとなんだか胸がキューっと痛くなった。
そういや、最近アレクが居ない毎日もなんだか憂鬱だった。
これって‥。
私、アレクが‥。
アンナはアレクが好きなことを自覚したのだった。
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