第51話 野宿にて(その3)
「考えても人生に答えなんて出ないと思うよ。ただ日々を感じたままに過ごすうちに、いつの日か振り返った時そこに答えがあったなんてことはよくある。同じ事や物であっても見方を変えれば、全く違ったものに見えてくるのが建築の面白いところだよ。同じ運命の繰り返しだったとしても同じ事じゃないかな。コルはもう新しい目線を手に入れたのかもしれない。であればそこから見えるものをまずは感じ取ってみたらいいと思う」そう言ってクニオも炎を見つめる。
「さ、真似事でもいいから夜は目を瞑ってみたらいい。もしかすると見えなくなることでなんか見えたりするかもよ」我ながらちょっとくさいセリフかとクニオが思った時、コルビーは人差し指を口の前にあてて、
「静かにしてください」と言った。くさすぎて怒られるかと思ったがそうではなかった。
「何者かがこちらに近づいてきます」そういうコルビーの視線の先をクニオも見てみたが、そこは真っ暗闇で何も見えない。
「すぐに二人を起してください」言われた通りクニオはグレゴリーとコウを起す。
「どうされましたかな?」目覚めのいいグレゴリーとは対照的にコウはまだ眠そうだ。
「魔物でも出たか?」コウの問いかけにコルビーが答える。
「あっちのほうから人影が違づいてきます。魔物では無くて人間ですね。人数は三人だ」
「敵とも限らないし、もし戦いになっても相手が人間ならコルも問題ないだろう。丁度3対3だし、ヤバそうだったらまた起こしてよ」コウはそう言ってまた寝てしまった。
「絶対防御(アイソレーション)!」遠くを見ていたコルビーは突如として自分の前に魔法陣による防壁を展開した。この魔法防壁は、前に七大魔将軍のティアマトが使っていたやつと同じだ。しかし魔法陣は二枚重ねになっている。
魔法陣を展開するや否や、鋭い光の矢が1枚目の魔法陣を貫いた。しかしそれは二枚目の魔法陣を貫通することは無くそこで消失した。
「対魔法の絶対防御(アイソレーション)を貫通できる魔法は、私の知る限り絶対貫通(ペネトレーション)だけです。しかも魔法密度が上回った時だけしか貫通できません。それをこの距離で放つとは、相手はかなりの手練れですよ」コルビーが言う。
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