第24話 折込む(6)
「リュウビが死んじゃうなんて嫌…っ! もっともっと長生きしてずっと私と子どもの傍にいて欲しいんです!」
「……ふっ」
「え」
湧き上がる哀しみの感情からリュウビを抱きしめた私の頭上で朗らかな笑い声がした。
「は、ははっ…。ミズキ、おまえはそんなにも俺を好いておるのか」
「あ、当たり前です! 私はリュウビが好きで……愛しているんです!」
「そうかそうか……愛い奴だなぁ、本当に」
「っ!」
リュウビは私を岩の上に優しく横たえ性急に着ていた服を乱した。
「堪らんな。おまえはいとも簡単に俺を腑抜けにさせる」
「な、何を……あっ」
露わになった双丘の頂をチュッと甘噛みされブルッと身震いした。
「たまには陽の下でおまえを抱くのもよいな」
「や…っ、んんっ」
ねっとりと舌を這われねちっこい音が静かな森の中に響く。
(急になんでこんな展開に?!)
訳も分からず戸惑いつつもリュウビから与えられる甘い官能に逆らうことなんて出来なかった。
「あぁん、あんあんっ」
「はぁ……ミズキ、ミズキ」
ぐっしょり濡れている私の中にガンガン押し込められるリュウビのモノはいつも以上の太さと強度を示し容赦なく私を冒した。
「や……そ、そんな激しくしたら……あか…赤ちゃん、がぁ…っ」
「案ずるな。神の子はそんなに脆くはない。んっ、それよりももっともっとミズキを悦ばせ、子宮の居心地をよくせねばならん」
「な、何ですかその屁理屈っ~~~ひゃあんっ!」
奥深くに刺さる刺激が私の中をジンジンと熱くさせた。
(と、蕩けちゃう~~!)
そのあまりにも壮絶な気持ち良さに私は軽く意識を飛ばしてしまった。
「はぁはぁ……っ」
「……ん」
ぼんやりとする意識と視界の中、リュウビは小さく囁いた。
「安心するがよい。俺はあと三十年程は生きられるぞ」
「……え」
「神にとっての三十年は短い。だが人間にとってはそれほど悲観する程の余命宣告ではないのではないか?」
「……」
「まぁ、おまえを置いて先に逝くことは避けられぬかも知れぬが、子どもたちと共に濃厚な日々を過ごすには多少猶予があるのではないか?」
「……リュ、リュウ…ビ」
「余計な心配をさせてすまなかった。だが安心しろ。俺は命尽きるその時までミズキと子どもたちを護る」
「~~~」
ぼんやりとしていた意識は嬉し泣きではっきりとした。
「だから泣かないでくれ、ミズキ」
「~~たちって」
「え」
「子どもたちって……言いましたね」
「──あ」
私はいつもリュウビの言葉を訊き逃さない。どんな些細な言葉も私にとっては大切で愛おしいものだから。
(子どもたち、ということは……子どもはひとりじゃないってこと?)
フライングとも取れるリュウビのうっかり発言の真偽はこの後十月十日後、判明することになるのだった──。
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