閑話 氷の騎士、たくらむ (あるいはチョロい話)

 一緒の家に住むんだし、挨拶は大事だよね。

 いってらっしゃいとただいまで、ほっぺにキスするんだよ。

 ほら、こうやって。

 あいさつ、あいさつ。ちゃんと慣れなきゃね。



 馬にもだいぶ慣れてきたけど、まだ一人では心配だな。一人で乗るのはもうちょっと練習してからにしようか。

 今日、迎えに行くからね。



 育ててる花を食べちゃったんだ。うーん、仕事としては花から離れた方がいいかもね。

(花を前にすると、どうしても目立ってしまうな。周りの男の視線を集めすぎだ。ちょっと牽制しておこうかな。)



 お店もいいけど、売り子は向いてないかもね。おまけし過ぎちゃうし。

(言い寄ってくる男に笑顔のおまけを振りまくようじゃあ、この仕事に許可は出せないな)



 家を探してる?

 一人暮らしをしたいのか。ふーーん。

 まあ、そう簡単に見つからないかもね…。


 いつもフィアに世話になっているお礼に家を貸してもいいかって?? 

 あり得ないな。そんなこと、僕が許すとでも?


 見つからないんじゃ、仕方ないよね。

 ねっ。



 両想いになったから、婚約しとこうか。

 書類作るのに二日くらいかかるかな。

 …え、早い? いや、普通だよ、これくらい。全然普通だから。


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