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「ははうえ、おはようございます」


れい、しっかり頭を下げなさい」


スパルタ教育れんこ。


「ちちうえ、おはようございます」


「うん、おはよう」


れんちゃんに似てとても目がくるっとしていてかわいい零。あどけない。


「お箸をしっかり持ちなさい。零、お皿は持ちなさい」


かなりマナーを身につけさせる。これは、ちゃんと躑躅の跡取りとして見据えている。


「どう?零はマナー身についてきた?」


「わたくし、ちゃんと教えられているか不安ですの」


かわいい。厳しいこと言うけど、このかわいさ。

だってー、若ママだし。


零が高校に上がる頃、青森から福岡へと移り住んだ。理由は、躑躅れんこの名前が有名となり、お母様が指導しきれないほど生徒が増えたから。もちろん、れんちゃんだけでなく、僕の方も…道場は弟子に任せてこっちで新しく道場を開くために移り住んだ。


「父上、母上はどうしてあのようにすぐに怒るのですか?」


「怒ってはいないよ」


「母上など、父上のような方にはふさわしくありません」


零は無知。誰が書道を教えて、生け花からマナーにいたっても教えていたか忘れたのか?れんちゃんは零のこと大切に思ってるんだよ。


「零はれんちゃん似だね」


「母上には似たくありません」


嫌そうな顔をした。


「はは。いいねぇー」


「零、なにをしているの。生け花の稽古を始めますよ」


「は、はい」


零、それはきっと役に立つから。

きっと、いい跡継ぎになれるよ。

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