12

親父がうるさい。絶対騒ぐと思ってたけど。

れんちゃんをじろじろ見てるし。電話もがっつり聞いてたし。


「は!つつじってテレビに出てたばーさんの書道家か?なんか性格悪そうな?」


「それは、恐らく母ですわ。大変厚化粧をしておりますの」


れんちゃん、ひどい言い方するな。


「おお!そうなのか?それで家出?」


「かけおちですわ」


「いや、武などただの人だが?ぶおとこってやつ?」


「おい。…まぁ、とりあえずここにれんこ住ませるから」


「まあ!よろしいのですか?」


きらきらした笑顔のれんちゃん。


「いいよ。部屋あるし」


「武の部屋でお楽しみってわけ?」


「黙れくそ親父」


「れんこちゃんは…ふむ、なかなかにいい身体をしているなぁ」


「なんですの?お父様?」


じろじろ見てるんですけど。


「無視していいよ。親父はただのエロじじーだから」


「どういうことですの?」


「…れんちゃん着替えようか。制服はゆっくりできないしね。母の服があるから」


「お母様の?」


「遺品だけど」


「そう、なのですね。わたくしがお借りしてもよろしいのでしょうか?」


れんちゃんは少し悲しそうにした。


「いいぞ?母さんのまだ着れるから捨てにくくてな。好きなのを着るといい。まぁ、古臭いけどな」


くそ親父はほったらかして、母の服のある部屋へ。


「はい、これ」


「洋服ですね。わたくしは、普段着物なので緊張しますわ」


「へぇ着物。ま、着てみてよ」


後ろを向いておく。一応ね。


「少しきついですけど、入りましたわ」


振り返ると、スカートにTシャツのれんちゃん。うわ、胸強調しちゃうのかぁ。


「えっとー浴衣も確か…あった。でもこれ寝巻きだな」


「まぁ!浴衣は助かりますわ!寝巻きにさせていただきます」


なんかすごい喜んだよ。とりあえず居間に戻る。


「ほー!眺めが良いのー」


「じじい見んなよ」


「なんの話ですの?」


「れんこちゃんはいい乳じゃのー?」


ぱっと隠した。かわいいなぁ。


「親父、まじでうざいから。じゃ、夕飯作るから」


「あの!わたくし料理は得意ですのよ!やらせて下さいませ」


確かによく弁当持ってきてたけど、あれは本当に自作か?


いや…本当でして、適当にあったものでさっさと作るれんちゃん。すごいじゃん。あしらっててごめんなさい。


「ほー!うまいのぉ!武、飯の後は仕事しろ」


「わかってる」


「なんの仕事ですの?」


「柔道とか、空手とか、武道の稽古とかやってるよ」


「軟弱なんでねぇ、こいつは。頼りなくて、ダメな男で。それに比べ私はなんでも頼りになるいい男でね?うん、一緒に布団にでも寝てみるかい?」


「え?お布団に?2人ですか?」


「おい、親父!アホなこと言うな!」


「ちょっとくらいいいよね?」


「え?」


「れんちゃん、道場おいで」


「ええ、もちろんですわ」


この親父と2人きりはまずい。

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