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「まあ!本当に?」
嬉しい…わたくしのことそのように紹介して下さるなんて。
「武のぉー?ありえんな。どこぞの美人だ」
「かけおちしてきた」
「は?お前家にいるけど?」
「んー、確かに。じゃあ誘拐かな」
「息子よ、さすがだな。しかーし、それは警察に言いつけるしかないぞ?」
確かにそうですわ。わたくしのせいでご家族にご迷惑をかけてしまう…
「今から、お電話します。お借りしてもよろしいでしょうか?」
「お嬢さん、警察にかけるの?」
「え、れんちゃん家にかけるってこと?」
「ええ、もちろんですわ」
武から携帯を借りる。わたくしは、持っておりませんの。
畳の部屋に座布団を敷いて頂いてるところに座る。緊張しますが、要件を言いましょう。
武もお父様も見てくださっています。
「わたくしは、れんこです」
「まぁ!あなたどこにいらして?学校にも来ていないと連絡がありましてよ?」
案の定お母様が出た。
「わたくしは、かけおちしましたの!」
「なにを言い出すのですか!」
お母様は怒っている。当たり前ですが。
「許婚などとは結婚しません。お母様の言いなりになどなりません。わたくしは、結婚したい方がいるのです」
「そんな、れんこをたぶらかす男…どこのどなたなの?」
「違いますわ。わたくしが、彼を選んだのですわ。柔道部の部長です。お母様は知りもしないでしょうね?わたくしは、書道だけでなく武道にも励んでいたのですよ?わたくしのこと、全く見ていなかったから、そんなこともわからないでしょうけど?」
「なにを…あなた今どこにいらして?」
「わたくしは、青森におります」
「な、なぜそのようなところへ?」
「学校には退学する旨をわたくしからお伝えしますわ。わたくしは、彼との結婚を認めて下さるまで絶対に帰りませんわ!」
「な、なにを!」
「わたくしは、書道家になりますけれど、お母様のようにお金を儲けるためにやりたくありませんわ。お爺様のような、自分磨きの書を書きたいのです」
「やめなさい!なぜそのようなことを考えるんですの?あなたは、わたくしの言う通りにしていればよいのですよ?」
「お断りします」
すぐに電話を切った。次に学校にかける。
「躑躅でございます。申し訳ありませんが本日で退学させて頂きます。学費は母にご相談下さい」
完了ですわ。
「れんちゃん、すごいしゃべるね」
「ええ。速やかに終わらせたかったのですわ」
「しっかし、お嬢さんを制服で連れ回してして…高校生プレイか?」
「は?れんこは高校生だよ」
「おまっ!なにー?」
お父様は大変お元気なお方ですわね。
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