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「この中でわたくしよりも強いと言う方はいらっしゃらないの?男性方も、なにをそんなに怯えていらっしゃるの?」


小さな子供が、年の離れた部長をひとえに投げ飛ばす。割と成績はよかった部長をだ。


「まぁ、なんて弱い方たち。これでは個人戦の練習にもなりませんわ」


お嬢様なのか、言葉が丁寧語からお嬢様言葉になる。


「仕方がありませんわね。部長にはわたくしがなりますわ」


れんこは一人で喋り続けた。


「遅れてすみません。補習があって…」


遅れて道場に入ってきたのは、ひょろっとした雰囲気のある男子高校生だ。


「え?なにかあったんですか?」


「まぁ、あなたどなた?こちらの皆さん弱くて。わたくしが今から部長になるところですのよ?」


「え?部長?どういうことですか?」


「皆さんが弱いんです。歳はわたくしよりも上なのに残念でなりませんわ」


部長は苛立ちで顔を歪めるしかなかった。


「ちょっと着替えてきます」


「まぁ、あなたは柔道部なのですか?そんな体型で?残念ですわ」


「…お嬢さん、静かにそこで待っていて下さい」


なにかしら?とれんこは小首をかしげた。

それは、お嬢様らしい仕草である。


「お待たせしました。試合がしたいんでしょう?」


「ええ。もちろん。まぁ、あなたなどたやすいですわ」


男子高校生、たけしは…ものの数秒で、れんこを投げ飛ばした。


「あのね、先輩は敬うのが常識。そんなこともわからない?」


「あ、あの…」


「お嬢様だかなんだか知らないけど、入部したいんならそう言えばいいでしょ?」


わなわなと彼女は震えて、そのまま立ち去った。

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