第7話 母親

ガチャ!


 鍵が開けられる音がした。


「ただいま、キョウちゃん今帰ったわよ。今日はアナタの好きな豚キムチ丼だからね。楽しみに…えええ!?ちょっと、アンタ誰!?警察呼ぶわよ!!」


 若者の母親が帰宅するなり、見ず知らずの和服を着た、中年男がっているのだ。騒がない方がおかしい。


  しかし、その男がすぐに一枚のチラシの裏を見せて、長らくシングルマザーをしていた女性は静かになった。


『その和服の中年男性は僕の、友人なので驚かないで下さい。僕はちょっと用事が有るので外出します。夜9時には戻る予定なので心配しないで下さい。』


 と、お世辞せじにも綺麗きれいとは言えない字で、書き殴ってあった。だが、母親が見るに間違いなく息子の筆跡ひっせきである。母子2人で今まで十数年も暮らしてきたのだ。見間違えるはずはない。


「・・・でも、貴男アナタ、私は貴男アナタウチめる気は無いわよ!!」


 毅然きぜんと言い放った。


「よろしいでしょう。足下そっか嫡男ちゃくなんとは最早もはや肝胆かんたん相照あいてらす仲の友垣ともがきですじゃ。しかしわしがあそこに行かなければ、ご子息しそくあやうい。なので今から助勢じょせいつかまつります。」


「…え?それはどういう意味ですか?」


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