第4話 食事

 もう注文を終え、窓越しのカウンターに二人とも並んで座っている。


「め…珍しい飯屋じゃな。それにさっきの言葉はくにの言葉か?」


 大和田がキョロキョロ周囲を見渡す。


「え?マックが?大和田さん何処どこ田舎いなか出身?北の最果て?それとも南の常夏の島嶼部とうしょぶ?」


 相変わらずキョウヘイは微苦笑びくしょうが止まらない。


「まあ、確かにわし坂東ばんどうの田舎者だがそれゆえに、荒夷あらえびすで勇猛な気性じゃし、この「越中則重」《えっちゅうのりしげ》は相州鍛冶そうしゅうかじの流れを組む、都会育ちじゃぞ。」


 すっと、あわせふところたもとからか、鞘ごと、一匕いっぴの短刀を取り出した。


「…おいおい、玩具オモチャといってもそんなの店内に持ち込んじゃ、ダメでしょw」


 と今風の若者らしく、キョウヘイは失笑する。


「…まあ、たしかにあの猪を狩るには玩具オモチャかも知れん。しかし、それでも波紋はもんえ、におい、どれも一級品じゃぞ。無銘むめいの数打ちとは…。」


「あー、分かった分かった。ほら、ハンバーガーとチキンクリスプが来ましたよ。」


 若者はこの中年男性をほとんど相手にしていない。大学生のバイトの様な若娘の店員が慇懃いんぎんな態度と言葉遣いで、オーダーしたメニューを持ってきた。


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