第3話 仕事は?

『グルゥ―――――ウ』


 和服の中年男の腹から音が鳴った。


「なんだ、オッサン腹が減ってるのか?」


「恥ずかしいが、その通りじゃ。だからあの猪を逃がしたのは、本当にしいんじゃ!!」


(まだ言ってる。)


 と、少年は思ったが自己紹介も考えてみればまだだったという事も有り、


「俺の名前は松元喬平まつもときょうへい。オッサンの名は?」


わし大和田太郎おおわだたろうという者じゃ。」


「ハハッ!!太郎?この時代に?俺のじいちゃんばあちゃんの時代でも、珍しいんじゃなかな??」


「ぬ!!何が可笑おかしいんじゃ!!」


「あ、いや、気にさわったら悪かった。御免ごめんよ。ただほとんど絶滅しただろうと思ってた名前だからさ。じゃあ、これからはアンタの事は(大和田さん)と呼ぶことにするよ。」


「ああ、分かってくれれば良いんじゃ。じゃあ、儂はキョウヘイと呼ばさせて貰おう。」


「うん、それでいいよ。」


 と言い終わった瞬間、キョウヘイのスマホが鳴った。


「ゴメン、ちょっと待って。」


 LINEを見ると更なる金の催促さいそくが、『黒岩』という人物からあった。


「クソ!!うるせーなあ!!そんな簡単に十万も金策きんさくできるかよ。」


 と言いながら、上着の内ポケにスマホを戻した。


「…どうした?なんだその箱状…」


「ああ、大和田さんはそういや、なんの仕事してるんですか?」


「だから。先程、野良仕事をしていて、猪を追っておったのじゃ。しかしまさか、あの洞窟どうくつの奥がこんなになっておるとはのう。」


「ハッハッハッ‼面白いオッサンだ!そこは絶対にぶれないんですね!」


「…わしが何か面白い事言っておるかのう?」


「言ってるよ。さっきからずっと。でも、ちょうど胸糞悪むなくそわるいことが起こってたから、ちょうどいいや。マックでも行きましょう。100円マックくらいならおごるよ。」


(なんか良く分からん若者じゃのう。ただ、腹が減っている以上奢られるのは有難い。此処ここはご相伴しょうばんにあずかろう。)


 2人は付近のマクドナルドへと歩を進めた。











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