第2話 出会い

「・・・・・。」


「…おい!!そこの小僧!!危ないではないか!!こんな所でボーッっと突っ立て追って!!」


「なんだあ!?オッサン!!アンタこそよく見ろよ!!それはこっちのセリフだよ!!」


「なにぃ!!?」


 と、中年の男がすごんで来たが、すぐに打ち解けてきた。


 何故なぜなら、少年の顔色がはとに豆鉄砲を食ったたように、ほうけたからである。


「…なんじゃ!?どうした?わしの顔にゴミでもついておるか?」


「…あ、いや顔にゴミって言うか・・・変わった格好してると思ってよ。それは和服か?オッサン。」


「なにを言っておる。普通にあいあわせじゃろが…というか、お主も妙なちをしておるな…。貫頭衣かんとういか?いや、それにしては…。」


 めつすがめつ、少年の衣服を物珍ものめずらしそうに眺めてくる。


「おい!!あんまり近寄るなよ!!オッサン!気持ち悪いじゃねえか。」


「ううむ。悪い。わしもその気はないのでな。」


「ハッハッハッ」と二人とも呵々大笑かかたいしょうしたので、初めて価値観を共有出来たのであろう。


「ところで、若人わこうど此処ここに今しがた目方六十五貫目(243・75キログラム)は有ろうかという巨体のいのししを見なかったか!?」


「…何言ってんだ?オッサン。こんな都会に猪なんているわけねーだろ?」


 腹の中で(…ニュースでもどっかの動物園から猪が逃げ出したなんて、聞いたことや見たこと無いよな。)と少年は思った。


 胡乱うろんな眼を中年の和服を着た男に、少年は向ける。さっきから話が、見えなすぎる。かといって馬鹿にしてだましたり、あおったりする、邪心が見え隠れもしない。真剣な感じで話しかけてくるのは、痛い程わかるのだ。ハロウィンも終わってそこそこ時間がつというのに、何なんだこの謎の言動をする中年男は?


「良く分からんが、取りえず見てはいないんだな?猪を。畜生!あいつめ、どこ行きやがった!?」


(変なオッサンだが、悪い人ではなさそうだな。)


 絵が好きな少年はまゆを開いた。

 













 








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