第22話 Ground Work

さて、軽く運動するとしますかね


目の前に広がる平原。視界を遮るものもないのでモンスターもよく見える


ゴブリンの集団が...一つ、それほど大きくはない。大体10体程度か


そして...ゴーレムがいる、街付近じゃあまり見かけない。積極的に狩っていきたいところだ


まずは、ゴブリンの群れから倒すか


「よし、引き続きレベル上げの為のモンスター狩りだ!まずは、あそこに見えるゴブリンの群れ。その後にゴーレムを倒すぞ」


「え?ゴーレムなんている?」


「ほら、あの辺りをよく見ろ」


スレイが指を指してみせる


「あ、ホントだ。珍しい、岩が集まって出来たみたいな見た目してるじゃない」


「みたいじゃなく、実際にそうなんだ。ゴーレムの本体はあの岩の中にあって、岩を集めて成長するために、個体ごとに違う見た目をしている」


「へ〜、そうなんだ」


「で...私は何をしてればいいんだっけぇ?」


そういえばそうだ、一緒に戦ってもらえると助かるが


「お前、前にケインと戦ったとき、ミサイルを生やしてたよな?本当はなんでも生やせるんじゃないのか?」


あまりの戦いに霞んでいたが、ミサイルを地面から生やして攻撃するなんていうデタラメなことをやってみせていた


「ミサイル?そんなの生やしてたっけぇ?記憶にないけどね〜?」


とぼけているのか、本当に覚えていないのか...後者だと、ギーチェは自分で言っていた通り、本当に二重人格かなにかなのか...


「なんでも生やせるってのは、ちょいと語弊があるかなぁ〜。実際に手にとって、詳しく解析っぽいことして、そしたらなんとなくね?」


解析?


「解析っていっても、そんな大層なことはしないよぉ〜。触ってたらなんとなく分かるんだよねぇ〜」


とりあえず、"なんとなく"でやってるってことか


待て、じゃあミサイルを触ったことがあるのか?今のこの人格...?じゃ聞いても無駄だろうが


「じゃあ、あの鎌もいくらでも作れるんじゃないのか?」


「いやぁ、そりゃあ試したさぁ〜。でも」


「「「でも?」」」


「なんとなく分からなかったんだよねぇ」


だいぶ重要なところだ


「話を本題に戻すぞ、じゃあ、木を生やして、モンスターの動きを封じる。これくらいなら出来るんじゃないか?」


「えぇ〜。生き物を傷つけたりなんか出来ないよぉ〜」


...


はぁ〜?


「ということで、私は手伝えないよ〜。みんなに任せた!」


「可哀想に思うくせに他の人がやっても別にいいのね...」


「んだ!」


...


「まあ、いいじゃないか、人によって色々あるんだ。リーダーだって、変なプライドを見せるときがあるだろ?」


「まあ確かに...とりあえず俺たち3人で戦ってくるからよ。襲われないように注意しておくんだ」


「はぁ〜い!」


こういうときは調子いいんだな、全く...


「よっしゃ行くぞスレイ!」


「了解」


おりゃぁぁぁぁあーー!!!!


......


...


「あんれー?ルシアさんはいかないのぉ?」


「あまり、あなたを一人にするわけには行かないからね、それに、もう強化魔法はかけておいたし」


ていやー!


ぼこぼこ!


力が、力が漲るぞぉ!!


スレイ!お前は、どうだ!?


問題ない、久しぶりだが、やはり気持ちがいいな、武器を振り回したり、あまり性分じゃないんだが


久しぶりに体から動かすとサイコーだよな!


「あの脳筋バカ二人...」


男の子って...なんというかバカっていうか、IQが低いっていうか...なんか幸せそう


「んー...でも、みんないい人だよねぇ」


「そう?レイズは口も悪いし、ツンツンしてるし、可愛くないわよ?」


「だれもぉ、レイズのこと聞いてないんだけどもぉ」


なっ...


「ス、スレイも無口だし?」


急いで付け加える


「無口ってのは悪いことじゃないよぉ、ただの個性さぁ」


「ふーん...」


その時、急にギーチェちゃんが走り出した


「あ、あっちの方!なんかすごーい花畑あるよぉ!」


「ちょ、ちょっと待って!」


急いで追いかける


「いやぁ〜、壮観だねぇ!黄色い花...なんていうんだろぉねぇ?」


はぁ


ちょっと走り疲れながらも、その花を見る


「これは、ハナノノじゃないかな?」


「あぁー!聞いたことあるかもぉ〜」


それほど珍しい花じゃない、そこら辺に生える至って普通の花だ。ただ、こんなに群生しているのは見たことがない


そよ風に吹かれて、揺れている


日が指して、きらめいている


あぁ、きれいだな、そう思ったその時、背後から声がした


「ねぇねぇ、もっといい花畑があるんですけど、一緒に探しに行きません?」


急いで振り返る


そこにいたのは、男女二人組、女の子の方は私と同じくらいの年の子で、長く黒い髪が可愛らしかった


そして、もう一人、こっちは...なんというか、だらしない。そして、若干老け込んでいるようにみえる


「うーん?はじめましてぇ...だねぇ、こんにちは〜」


「こんにちは」


その女の子が同じように返す


「えっと、その花畑ってなんのこと?」


「あ!はい!この辺にですねぇ、三年に一日しか咲かないとも言われる、伝説の花畑があるんですけど、その日が今日なんですよ!」


そんなもの、本当にあるの?


正直、初対面の人にいきなりそんな話するかなぁ、と疑わしい気持ちだ


「せっかくなんで、この花畑よりも良いもの一緒に見ませんか?お花が好きならいい提案だと思うんですけど」


「オイオイ、ナンパが過ぎるっての」


男の方が急に口を開いた


「レイは黙っててください、今は、私が、話してるんです」


「いきなりそんなこと話し始めても、怪しいに決まってるだろ」


「あ、いえ、別に怪しいなんて思ってないですけど...」


一応、そう答える


「ですよね!?ほら、こう言ってるじゃないですかー」


「ま、いいけど」


なんだか気に食わない男...


「で、どうします?もうちょっとで見つかりそうなんですけど!」


「えっと...実は私パーティー組んでて、あと二人いるんだけど...」


「あっ、さっきからあの木の裏でコソコソしてるあの二人ですか?」


なっ!?


女の子が指を指した方を睨む


...


「バレてしまっては仕方ない」


そう言って、二人で走ってきた


「話は聞かせて貰った!」


「お花畑を探す、面白いじゃないですか、引き受けましょう」


別に、引き受けるなんて大した話じゃないと思うけど...


「ありがとうございます!話が早くて助かります!この人と違って...」


レイ?と呼ばれていた男の方を見て言う


「すぐにそうやって俺を引き合いに出す...」


仲が悪いのかな?


「わたしもぉ、行きたいかなぁ〜。ちょっとめんどくさいけどねぇ、そんなこと言ってたらなんも出来ないしねぇ〜はっはっ」


ギーチェちゃんも賛成なら、いいかな


「そうですね」


うん、そうだ、せっかくの三年に一度の機会なんだから


「それじゃあ、行きます!伝説のお花畑探し!」



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