第2話 2-3

「ああ、神様・・・・」

恵美に至っては神のお導きを請いたいに違いありません。


「耐えるのじゃ。この試練に耐え、答えを導き出せぬようであれば、真の賢者の資

格を得ることはかなわぬッ!」

西岡先生は苦渋に満ちた顔を浮かべながらも、二人を励まそうと必死なのでした。


恵美は決死の思いで二十一引く三を、同じく聡子も七十三引く十を算出したのでありました。

「で・・・・・、できました」

恵美と聡子の二人が声を揃えて言います。

二人がどれだけ精神摩耗し憔悴しきっているかは、最早語るまでもないでしょう。


「よくぞ・・・・、よくぞ無事な姿でこの試練を耐え抜いた!」

西岡先生は感動のあまり目が充血していました。

「計算により『出た数』をしっかりと覚えておくのじゃぞ」

つまり、恵美は二十一引く三ですから十八を、同様に聡子は六十三をしっかりと

覚えておけ、ということになりまくります。


「では、これから賢者の洗礼儀式を執り行う。ワシがお前達の計算により『出た

数』(恵美は十八、聡子は六十三)を百発百中で当てて見せよう。

じゃが、その前に・・・・・」


恵美と聡子は目を剥きました。それは、水の中に一分しか潜ってられない人間が、

限界一分目にやっと水面で息をしようとした瞬間! グイイッと足を掴まれて水

中に引きずりこまれる気分と全くを以ってして変わらないのでありました。


「まだ、・・・・・・何かあるの?」

恵美が目が半分虚ろになりながらも、深刻な顔をして呟いています。

すると、

「もももももももしかして、また試練なのですかーーーーーーーーーーッ!?」

 と、聡子。


彼女は発狂寸前なのでありました。

「ワシとて辛いのじゃ。では、最終試練を言い渡す」

西岡先生は敢えて勿体ぶったような言い方をしているかのようです。


「最終試練とは、計算して『出た数』の『十の位の数□一の位の数(恵美は一□八、聡子は六□三)』

を算出することじゃ!!」


恵美と聡子は気を失う寸前でしたが、何とか最後の試練に耐えて答えを導き出すことに成功し、

西岡先生にその計算結果を進言するに至ったのでございます。

「・・・・・見事じゃった。それでこそ真の賢者というもの。それでは儀式を執り行うッ!!」



このあと、西岡先生が恵美の『出た数』十八、聡子の『出た数』六十三を見事なまでに言い当てると、

驚きと感動のあまり、恵美と聡子は無事に二人仲良く天へと召されたのでありました。




問:文意に沿うように、文中『十の位の数□一の位の数(恵美は一□八、聡子は六□三)』の□に、

  +、×、-の何れか一つの記号を入れなさい。

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