第2話 2-1
とある公立高校の放課後。
教室の窓から、恵美と聡子の二人はグランドでのサッカー部の練習風景を見ていました。
「あ~あ、ヤダな~数学の補習なんて」
恵美が不満を漏らします。
恵美と聡子の二人は数学が大の苦手でした。
そのため定期試験でも赤点を連発。
このままだと進級が危ういということで、毎週木曜日の放課後は
数学の補習授業を受けさせられていたのです。
「西岡先生は若くて超イケメンなんだけど、数学の先生っていうのがマイナスだよね~」
今度は聡子が不満を漏らします。西岡先生こそ、
二人の補習授業を担当してくれている教師なのでした。
しばらくすると教室の前の戸が開き、西岡先生が教室へと入ってきました。
「さ、じゃあ今日の補習授業を始めようか」
恵美と聡子の二人は、半分はうんざり半分は諦め顔を作りながら自分達の席につきました。
「おいおい、何だその顔は?」
西岡先生も半分うんざりしたような表情になりました。
「だって数学って全然分からないんだもん。もうちょっと簡単にならないんですか、先生?」
と、恵美。
「あのな~、毎週言ってるようだけど、数学ってのはきちんと学べば
誰にでも理解できる学問なんだよ。ただ、積み重ねが大事な学問だからな。分からないとこ
ろをそのままにしてしまうと、たちまちついていけなくなる。だからその分から
ないところまで戻ってしっかりと理解して、演習を積む。それさえやってもらえ
れば何も難しいことはないんだぞ」
西岡先生が二人に向かって理想論を熱弁しています。
「またその話ですか~。それよりも先生、補習なんかやめてあたし達とどこか遊びにでも行きません?」
と、聡子。
「行ったら俺はソッコーでクビだ」
西岡先生は苦笑いを浮かべていました。
「しょうがないな。じゃあ、最初にクイズでもやるか? 数当てクイズだけど」
「な~んだ、結局数学じゃないですか」
聡子がつまらなそうに言います。
「数学のクイズなんて楽しくな~い」
恵美も聡子に続きました。
「いいからいいから。じゃあ、始めようか」
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