第2話 1-3

必死に最後の抵抗を試みようとすると、

「シッ! 静かに。私は君の味方だ」


レイラが安堵のため息をつきます。

まさに危機一髪、胸をなで下ろした瞬間でした。

「ではお尋ねします。このへんに、村長さんのお宅があるとお聞きしたのですが・・・?」

「え~~っ、村長さんのお宅ですと!!」

おじさんが滅茶苦茶大きな声をあげます。そして、

「そ、村長さんの家ならあそこのお花屋の手前を・・・・・」

と続けます。


「お花屋の手前を!? 」

「そう、左に曲がるのです」

「なんですって! 左にッ!? 」

興奮のあまりレイラとおじさんは顔が真っ赤です。

「そうなのです! そしてここからが一番肝心なのですが・・・・・」

「ニャニィィィイイイイーッ! まだ重要な秘密が!?」

「曲がってから四件目のお宅こそが村長の家なのです」


レイラは既に走り出していました。走りながら、

「ちっとも知らなかった。ありがとう、おじさん!

あたしはあなたのこと、一生忘れないッ!!」

と叫んでいました。


 レイラは幾多もの困難を乗り越え、とうとう命からがらチック村の村長の家へとたどり着きました。

「長い苦難の道を乗り越え、よくぞここまでたどリついたものじゃ」


チック村長がレイラの勇気ある行いを褒めちぎりまくります。

「そなたのよう立派な娘を弟子にもたれて、魔女オババもさぞお喜びのことじゃろうて」

「そのような恐れ多きお言葉、あたしには大変ありがたく存じ奉り候でございまする」


「どうじゃ? ワシの息子の嫁にならんかの?

 そなたほどに大きな器を持った娘、そうそう巡り合えるものではない」


レイラは一瞬迷いました。しかし、すぐに顔を俯けると、

「恐れながら、あたしには心に決めた人が居るのでございます」

と哀惜の意を伝えました。


「そうか・・・・・。そなたほどの人間の心を射止めた者。まさしくその者は勇者と

いっても過言ではないじゃろう。

ゆくがよい、レイラよ! 勇者がきっとそなたの帰りを待ちわびているに違いないぞよ!!」


村長は残念がる表情を浮かべながらも、レイラの誇り高く気高き精神と決意を称え、

賞讃しながらレイラを送り出したのです。


 レイラは決意を胸に秘め旅立ちます。

「さぁ、行こう! 勇者サム様の元へ」


レイラは決意を胸に秘め旅立ちます。

真っ赤な夕陽が、まるでレイラの旅立ちを祝福しているかのように、

レイラの姿を照らしていました。

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