第2話 1-2
「なにやら嵐がやってきそうじゃのう・・・」
突如レイラの周りにだけ不吉な嵐が吹き始めます。
「嵐よ! 吹くなら吹くがいいわ!!もう何者もあたしの行く手を阻むことはできないのよ!!」
「おお、何という健気な言葉じゃ。レイラよ、必ず生きて帰るのじゃぞ!」
魔女オババはハンカチで目から滴る涙をおさえていました。
ゴオオォ。絶え間のない激しい風がレイラの行く手を遮ろうと轟いています。
決死の思いで何とか森を抜け、レイラは公道に辿りつきました。
すると向こうから人が歩いてきます。それはレイラの友達のジェシカでした。
「あら、レイラじゃない。何やってるの? 随分と深刻な顔しちゃって」
事の重大さを知る由もないジェシカが、能天気な顔してレイラに訊きます。
「あたし、これから・・・・、チック村に行かなきゃならないの」
レイラが慎重に、言葉を選びながらジェシカに告白しました。
「え〜〜〜〜〜っ、チック村に!?どうして?」
「村長さんのところへ・・・・・・、おつかいに」
「なッ! ナニィィィィィイーーーーーーーーッ!!お、おつかいに!?
レイラ一人で? そんな・・・・、無茶だわ!」
「とめないで。これが女の生きる道なの」
レイラは自分の無茶を思いとどまるよう促すジェシカに対し、片手を挙げて制しました。
「ああ、ジェシカ。あなたがあたしの友達でいてくれて本当に良かった」
「な、なにを言ってるのよ、レイラ!」
ジェシカの両目には涙が浮かんでおり、今にも溢れ出しそうです。
「もしあたしの身になにかあったら、サムに伝えてちょうだい。サム、
あたしはあなたのことが大好きでした、と」
「そんな! そんな大事なこと、私が彼に伝えられる訳ないじゃない!」
「それじゃあ・・・さよなら」
レイラは足早にその場から走り去ります。すると、背後からジェシカの叫ぶ声が
聞こえてきました。
「レイラーーーー! きっと、きっと帰ってねえ!!
因みにサムのことだけど、私も彼のことが好きなのーー!」
走りゆくレイラは、ジェシカの励ましの声に涙していました。
しかし、彼女の最後の言葉はいささかショッキングな内容であったため、
聞こえなかったことにすることで自身の迷いを取り除くことにしたのです。
果てしなき旅の果て。ついにレイラはチック村に到着しました。
「見慣れない村に着いたわ。まさにここは異郷の地。一瞬の油断が命取りになるわね・・・・・・」
レイラが用人深くあたりの様子を伺います。
すると、村を歩く見知らぬおじさんと目が合ってしまいました。
「しまった!」
レイラは駆け足で走り出そうとします。
ところが、おじさんに片手を掴まれてしまいました。
レイラは死を覚悟しました。
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