毒
満梛 平太老
毒
毒を吸った
質の悪い三流品
人知れずぼんやりした私は
知らぬ間に別の世界へ
色なき場所
暫くそこで暮らし
無を得て楽を知り
生きながら死んだ
私はそういう人生を送る側の人間なのか
声なき場所
幸せは諦めろ
不公平な世の中なんだからと
どこかで誰かが言っているのが聞こえる
悪態はよく耳に入るものだ
そして此処のような場所では
男らしく生きる事を憚り
私は何者にも成れないと嘆き
叶わない夢を時代のせいにして慰め
そうやって生きている
悪い癖だまったく男らしくない
挙げ句の果ての成れの果てには
地上の地下で陽を避けて生きながらえ
一人であるために他人と関わりを持ち
絶えず恐れを恐れて何も出来ずにいる
これらは私の一面であるが醜い
なんと醜く不快な恍惚感だろうか
救済の余地などあるのか不明ではあるが
須く不幸を好むその変態性を認めよ
決して他者の影響では無いと認めよ
全て自己決定による因果であると認めよ
受容は原因を深淵から引き上げるだろう
そうすれば毒を消す零が見えてくる
然りとて必ず壱に辿り着くとは限らない
量子の世界よりも複雑な私たちの世界で
簡単な答えを求める暴挙的な心情は純粋
あまり難しく考えなくていい
毒は消えるよいずれ
時には休養が必要だってことさ
空っぽになってもイイんだよ
毒 満梛 平太老 @churyuho
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます