第53話
「「いただきまーす!!」」
3時のおやつの時間になりました。今日のおやつはお母さんの手作りクッキーです。最近は10月も終盤に入り、ハロウィンも近づいて来たのでその予習だそうです。
何も事にもちゃんと前々から準備して取り掛かるのって、言うだけじゃなくてちゃんと実行できるの本当にすごいと思う。しかも、お母さんの場合、やった事を3日坊主で終わらせずにある程度出来るまで反復するので、お母さんの子どもとして見習わなければならないなって思う毎日です。
まぁ、そのせいで最近は3時のおやつがクッキーばっかりなので、他のものも食べたいなって思う事もある。けど、お母さんもそれを感じてくれているようで、クッキーなのは変わらないけど、味がチョコだったりバターだったりと味を変えたりしてくれる。
さらに今日はチェック柄や縞々、丸などいろんな模様まで付いているものもある。もうここまでくるとお店で売ってるものと、変化がなく無くなってくるよね。これ以上お母さんは何を練習する必要があるのか。
そんな疑問を浮かべながら私は出来立てのクッキーを頂く。うん、美味しい。当たり前。結心もすごく美味しそうに食べている。
「あぁ、結心こぼれてる、こぼれてる」
私たちが夢中になってクッキーを食べていると、お母さんが少し慌てた様子でティッシュを持ってくる。そこで私は結心の足元を見ると、そこには食べかすが散らばっていた。
「はい、一旦食べるのやめて机拭いてこれ敷いて。お母さんは床を掃くから」
「わかった。ありがとう」
結心は手に持っていたクッキーを凄い勢いで食べ終えると机の上を拭き始める。そして、あらかた拭き終わるとお母さんが持って来た新聞紙を敷いて食べはじめた。これで結心がこぼしても安心だ。ちなみに私の方は比較的綺麗であるから心配ない。
そんな事もありながら残りのクッキーを食べ始める。掃除の終わったお母さん合わせて3人で食べると一気になくなってしまった。
怖いものだ。美味しいものに対する私たちの胃袋は限界というものを知らない。今ならなんでも入ってしまいそうになる。
食べ終わった後、結心と一緒にお母さんにおかわりをお願いしたのだが、ダメだったらしい。直接聞きに行ってくれたことに感謝せねば。
クッキーを食べ終え、お茶で一息ついている時に奴は現れた。
「きゃあ!」
洗い物をしているお母さんの悲鳴が聞こえてくる。びっくりにながらも心配になってキッチンの事に座り込んでいるお母さん発見する。
「「どうしたの?」」
「あれが、あれが出たの!名前を言ってはいけないあの人が!」
〜黒くてカサカサした奴 1時間前〜
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