第52話
暑さは過ぎ去り9月に入りました。7月、8月は暑い暑いって言ったけど、終わってみると一瞬だったね。まぁ、さっき暑さが過ぎ去ったと言ったけど、それは夏本番のって意味だからね。
「あーあー」
「どうしたの?あおば」
急に声を出した青葉にびっくりする。さっきまで眠っていたはずなのにいつ起きたんだろう。赤ちゃんの生活のサイクルって本当不規則だよね。今みたいにさっきまで寝ていたと思ったら、起きてたり。逆にさっきまで起きていたはずなのに、振り向いたら眠っていたりと、行動を予想するなんて無理に近い。
私たちなんて、手も足も出ない青葉のお世話だが、それをいとも簡単にこなしてしまう人もいる。それがお母さんだ。いつも苦労してないと言ったら嘘になるが、何か起こった時などの対応力が高い。
私たち2人のお世話をした経験も活かしながら、青葉の行動を予測して動いている。今だって、青葉が声を出したのは急だったはずなのにもう抱き抱えて、寝かせてるもん。まぁ、じゃあなんで起きたんだろうって話になるけど、、。
お母さんの腕の中でスウスウ眠っている青葉はすごく気持ちよさそうに寝ている。わかる。本当にお母さんの腕の中って気持ちいいよね。そんな事に共感しながら私もされたいな、なんて思っているとお母さんのスマホが鳴った。
「ごめん、結笑。私のスマホとって来てくれる?」
「わかった」
お母さんに頼まれた私は机の上のスマホを取りに行く。私がスマホを持って帰ってくる時には、青葉はお母さんの腕の中から下されて、ベットの上に寝かされていた。
「持って来たよー」
「ありがとう。結笑」
私にお礼を言ったお母さんは電話に出る。会話の内容はあんまり聞こえてないけど、普通に世間話でもしているのだろう。お母さんに驚いた様子もなく、楽しそうに電話相手と話している。
「わかった。じゃあ、また」
そんな言葉と共にお母さんはスマホを置いて、私たちの方を向いて少し考えたような顔をしてから、覚悟を決めたように私たちに言った。
「結笑、結心。私少しだけ、ほんの少しだけ外に出てくるから青葉とお留守番できるかな」
「「できるー!」」
お母さんの話に少し驚きながらも私たちは元気な返事を返す。何事も挑戦って大事だよね。まぁ、お母さんは言ってた通りすぐに帰ってくると思うけど3人でのお留守番は初めてなので少し緊張する。
私も今の人生と合わせたら結構生きている方なので、多分大丈夫だとは思うが何せ体は小さいし力もない。けど、結心はやる気満々だ。そのやる気を無意味なものにしてはいけない。
覚悟を決めた私たちは、その後心配そうに家から出ていくお母さんを見送るのだった。
〜姉妹と留守番 1時間前〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます