第45話


 おはようございます。今日は11月3日、文化の日でございます。夏の暑さは見る影もなく、秋の肌寒さも超えて、すでに寒いでございます。普通に寒いでございます。


 あっ、ここ重要なので2回言いました。本当に11月に入ってから、朝が本当に寒い。そして、昼ごろに暖かくなるのかと思えば、そんなこともなく、気温の上昇もあまりありません。


 そんな中にある国民の祝日、文化の日。こんな日は外に出ずに、家でのんびり過ごすのが1番だと思うよね。私もそう思う。でも、今日は家の外に出ております。


 お父さんに連れられて、車で移動中です。どうもお母さんの勤めている学校が、文化祭らしく、一般客も来場可能とのことなので、私たちもお邪魔させてもらう事になりました。


 ちなみに、今日のことはお母さんには伝えていません。だから、お母さんは今日何も知らずに、学校へ出かけていきました。そう、そこに仕掛けるのです。学校生活での教師として、生活しているお母さんを覗こう、ドッキリを。


 なんか長いタイトルだけど、要約すると学校にいるお母さんに内緒で会いに行こうというものです。


 あとは、普通にお母さんの勤めている学校の文化祭を楽しみたいという目的もあります。というか、大半がそっち目的であります。まぁ、私が多分前世で通っていた学校なんだけどね。


 私たちが乗った車が会場に到着する。本来は学校に駐車場はあるのだが、行事ごとの時には特別駐車場みたいなところがある。私たちはそこに車を止めて、会場まで歩いて行くのだ。


「「すご〜い」」


「よく出来てるなぁ」


 会場に到着し、まず目に着くのはアーチだ。綺麗にデコレーションしてあり、いい意味で、すごく目を惹く。そのほかにも、学校の壁に垂れ幕がついてたり、バルーンが浮かんでいたりと、かなり大きな規模で開催されている。


 それに伴って、会場には結構な人数がおり、賑わっていた。この中から、お母さんを探すのは骨が折れそうだ。


 なんで考えていると、お父さんが必殺技を使う。受付みたいなところで、パンフレットをもらうと、その勢いのまま質問したのだ。


「湊先生って、どこにおられるか分かるかな?」


「湊先生ですか、、、。多分、担任を持っとられる2年6組におられると思いますよ」


「わかりました。ありがとうございますね」


 お父さんがお礼を言って、私たちを連れて行く。お母さんって今年クラス持ってたんだね。もう、お腹も大きくなってきたし、これからどうするんだろう。


 そんな事を考えていると、あっという間に目的に着いた。どうやら、出し物は、和風喫茶店のようだ。生徒たちが和服に身を包んで接客している。


 私たちは、教室の外からこっそりと、中の様子を観察する。


「「お母さんだ!」」


 私たちは見つからないぐらいの、小さな声でお父さんに報告する。着物を羽織って、会計のところに座っているお母さんの姿を。


〜お母さんを発見 1時間前〜

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