第44.5話
バチン!
大きな音がして、部屋が真っ暗になったのだった。
「停電したか。えっと、懐中電灯は昨日買ったやつがここにっと」
そう。停電が起こったのだ。おそらく、台風のせいだろうが。停電なんてそんなに起こらないのにお父さんは落ち着いて行動している。
すごいな。しかもこんな事まで想定して、懐中電灯まで買っているとは。すごくアワアワしている、お母さんとは正反対だ。
お母さんは停電してからずっとアワアワしている。こんな感じになるお母さんはあまり見たことがない。普段はもっとしっかりしているし、お皿割ってしまったりしても、落ち着いてきちんと対処してくれる。
そんなお母さんが、あわあわしているのは見ていて面白いが、私の隣でビクビクしている結心は、それ以上に守ってあげたくなる。もう日も落ちているので、周りは結構暗い。
その中で、外の音や部屋が軋むような音がすれば怖いのも分かるので、とりあえず結心にくっついて安心させてあげる。くっついたとこで分かったけど、結心は少し震えていた。ビクビクに加えて、プルプルともなると本当に怖いのだろう。
私たちは、お父さんが持ってきてくれた懐中電灯の方に寄って、みんなで電気が復旧するのを待つ。私とお母さんで結心を挟むようにして、安心感を少しでも、高めてあげたい気持ちもあったので、私は結心にぴったりくっつく。
それでも、まだ結心の顔は不安があるので、みんなでしりとりをする事にする。しりとりなら、声だけでいいし、声を出す事でお父さんもそばにいて、家族みんないるとこが強く実感できるからだ。
そこから、私たちのしりとりがスタートする。しりとりというと結構前にも、結心と2人で、私の想像力しりとりなんていうものをしてるのを思い出しながら、自分の番に単語を出して言葉を繋いでいく。
5巡目、6巡目ともなると結心は、言葉を考える事に集中する形で、不安な気持ちなど考える余裕がなくなってきている。こんなに狙い通りになるとは思ってなかったので。ここまでなると、逆に面白いともう。
その後も、私たちは電気のつかない世界の中、しりとりを続ける。途中、ただしりとりをするだけでは、飽きがくるので言った言葉のモノマネや、口調の変化などを付けながら楽しんだ。
結局、しりとりの3回戦目が終わるぐらいに停電が復旧し、電気がつくようになったので、しりとり大会はここに閉幕し、晩御飯を食べる事になった。
でも、流石に復旧してすぐだから、また停電してもいいように、今日はみんながカップラーメンを食べるのであった。
たまにはこんな日があってもいいよね。
〜真っ暗だ! 1時間〜
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