5年目
第42話
7月に入りました。少し暑さも混じり始めて、衣替えも考えないといけない季節です。前までは、着る服とかも選んでもらってたけど、5歳になってから自分で選ぶことが増えました。
私たちの好みもあるし、いつまでも親に頼ってたら、自立できないしね。ちょっとずつでも今から、成長していかないと小学校入った時に馬鹿にされるのは、嫌だしね。
最初の頃は、私も結心も服選びで適当に選んでたから、肌寒いのに半袖だったりとか、みたいな事はあったけど、今では慣れたもので、2人とも自分で選んで着るまで、問題なくできるようになった。
今日も休みの日なので、張り切って着替えたは良いが、お留守番になってしまった。別に私たちもついていって良いと思うのだが、ついてきても暇だろう、という事で家でお留守番だ。
お母さんもお父さんも出てしまったので、私と結心2人な訳だが、最近は休日とかにお留守番の回数が増えたこともあって、慣れてしまった。
お母さん達は私たちが5歳になってから、いろんな事に挑戦させてくれるようになった。これまでも、自転車とかピアノとか、危なくない範囲で遊ばせてもらったりとか挑戦したりとかする事はあったけど、最近はお留守番や料理の手伝いもさせてくれるようになった。他にも、洗濯物を畳んだり、干したりなどもさせてくれる。
ここまで考えて、私は思ったんだけど、これやらせてくれるって言うより、家事とかの手伝いをやらされてるだけなのでは?
まぁ、どっちにしろ将来役に立つのだがら、どっちでも良いが、私たちがやらせてもらっていると考えさせるように、お母さん達が行動していたのなら、なんだか怖いなと思うのだった。
「おねえちゃん?」
「あっ、ごめん。どうしたの?」
「だいしょうぶ?」
どうやら、考え込んでいた私の顔が険しくなっていたらしい。隣でピアノを弾いていた結心が心配してくれる。結心、なんて良い子なの。私のかわいい、かわいい、妹に返事を返して一緒に遊び始める。
最近は、私がリクエストした音楽を結心がピアノで弾いてくれるようになった。4歳になった時に買ってもらった、楽譜のどれかを開くとそれを弾いてくれる。
最初の頃は、お世辞でも綺麗な旋律とはいえなかったものが、今ではスラスラと綺麗な旋律を奏でていく。しかも、これが全部の楽譜でできるのだ。凄くない、これ独学でここまでやってるんだよ。
私は、全然やってないので素直にすごいと思う。私の妹だと言う家族贔屓を無しにしても、これはすごい事だと思う。
その後も、私は結心にリクエストを続ける。それを結心が、楽しそうに弾いてくれるのが嬉しいのだ。さらに、ピアノを弾いてる結心とメロディーを聴いて私が幸せになる。
ここに喜のループが発生するのだ。
永遠でも、このループは続けることが出来る。私が、次の曲をリクエストした時だった。
「「ただいま」」
家のドアが開く音がして、お父さん達が帰ってくる。
どちらも幸せそうな顔をしている。そして、部屋に入ってきて私たちにお母さんが言った。
「結笑、結心。あなた達はお姉ちゃんになるんだよ」
〜姉になる(予定)お知らせ 1時間前〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます