第41話


 いつのまにか雪も解けて、暖かな日差しと共に外の桜の花が、ひらく季節になりました。


 そう。今日は4月10日、私たちも生まれてから5年が経ちました。生まれてから、もう5年になるんだね。


 お母さんやお父さん、それに結心とも出会って5年目になる。いや、結心だけは5年じゃないな。お腹の中にいる時から、ずっと一緒にいる。ある意味、親よりも1番私と近い距離にいる人間だ。


 私は、部屋の飾り付けをしながらそんな事を考える。こんな事しみじみと考える機会なんてないし、合ったとしても少し恥ずかしいじゃん。


 だから、今みたいな機会はありがたいのかな。今日は平日だけど、おばあちゃんとおじいちゃんも用事があるらしく、今日は家を2人で飾り付けしている。


 お母さんの作り置きの昼ごはんを食べてから、準備し始めて結構たってもう完成に近い。


 お母さんとお父さんが帰ってきてから、ご飯の準備をして、私たちの誕生日会が開かれる。ケーキやお菓子、ジュースとかも買ってきてくれるらしい。今から、楽しみである。


「ただいまー」


 玄関が開く音がして、お母さんが帰ってくる。噂をすればなんとやらだったようだ。お父さんも、もう少しで帰ってくるらしい。仕事を早く終わらして、帰ってきてくれるとか、わかってた事だけど、わたしたち愛されてるね。


 少し、親バカ感は否めないけど、私たちを愛してくれる事は、素直に嬉しいと思う。


 お母さんも帰ってきてから、すぐに晩御飯に取り掛かってくれる。疲れてるはずなのに、買ってきた惣菜もうまく使いながらアレンジも加えて、美味しそうなものが、さらに美味しそうに進化していく。


「ただいま」


 お母さんの晩御飯作りも終盤に差し掛かった時にお父さんも帰ってくる。手にはケーキ屋の箱を持っている。どうやら、お父さんがケーキを選んでくれたようだ。今年のやつはどんなのかな。


「ご飯できたよー、運んでくれるかな〜」


 お母さんの声に答え、料理をキッチンから机の上に運ぶ。お母さんは短い時間だったのに関わらず、多くの料理作ってくれている。


 当たり前のように、私たちの好きな料理を増やしてくれているのも、優しさを感じる。


 見えないところにある優しさって、本当に優しい人しか出来ないよね。


「準備出来た?」


「「できたー!」」


 お母さんの質問に対して、私たちは元気な声で答える。その声に着替えを終えて、部屋に戻ってきたお父さんもニコニコしている。


「じゃあ、始めようか」


「「結笑、結心。5歳誕生日おめでとうー!」」


〜5歳誕生日会 1時間前〜

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